~カーボンニュートラル社会の実現と食料安全保障の強化に貢献~
 ENEOS株式会社(以下「ENEOS」)は、株式会社フェイガー(以下「フェイガー」)と、このたび、農業由来J-クレジットの長期購入契約(オフテイク契約)を締結しました。ENEOSが推進するカーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みと、フェイガーが農家とともに積み重ねてきた温室効果ガス(以下「GHG」)を削減する農法および暑さや乾燥ストレスといった気候変動への適応※1支援の実績が合致したことから、両社は日本の水稲農家によるGHG削減と気候変動への適応を一体的に支援する取り組み(以下「本取り組み」)を開始しますのでお知らせいたします。
 
 本取り組みを通じて、農家が安心してGHGを削減する農法に踏み出せる環境を整えるとともに、気候変動下でも安定した農業経営を続けられる基盤づくりに貢献することを目指します。将来的にフェイガーは、日本の水田の約20%に相当する規模での展開を通じて、年間100万t-CO2規模の創出を目指し、ENEOSは、その実現を後押しすることで、食料安全保障に資する社会的インパクトの創出を図ります。
 
本契約の取組図
◆本契約の狙い
 現在、カーボン・クレジット市場は形成途上にあり、制度の不確実性が農家にとってGHGを削減する農法の導入を阻む構造的な障壁となっています。GHGを削減する農法の効果や意義は認識されているものの、継続的な収益が見込めない不透明な状況では、農家が実際に営農方法を変えることは容易ではありません。
 ENEOSは、こうした課題を取り除くことを目的の一つとして本契約を締結しました。実証レベルにとどまらず、日本の水田の約20%相当という社会実装規模で農業由来クレジットの需要を創出することで、農家が安定的に収益を得られる基盤の確立を目指します。農家の方々に取り組んでいただくのは、日本の水稲農業に古くから根ざした「中干し」の延長です。中干しとは、田んぼの水を一定期間抜いて土を乾かす工程であり、本取り組みでは、中干し期間をさらに延長することで、水田から発生するメタンガスを抑制し、GHG削減につなげます。加えて、土壌に酸素を供給しやすくすることで根の発達を促し、稲がより深く根を張ることで、出穂から収穫まで根の活力が維持されやすくなり、収量や米の品質確保に貢献します。
水田の中干しの様子
 近年、夏季の高温や乾燥に伴う品質低下が全国の産地で課題となっています。本取り組みは、GHG削減に寄与するだけでなく、品質及び収量の維持・向上を通じて安定した食料生産の確保にも貢献する点に大きな意義があります。さらに、ENEOSが長期的なクレジット需要を生み出すことで、農家には中干し延長に伴うクレジット収入が継続的にもたらされます。農家はこの収入を気候変動に対応した営農技術※2や資材の導入に充てることができ、この資金と技術の循環を通じて、更なるGHG削減と気候変動適応を一体的に進める持続可能な農法の社会実装を目指します。
 
 ENEOSグループは、Scope1、2のCO2排出量を2030年度までに2013年度対比46%削減するという目標の達成に向けて、農業由来のJ-クレジットを創出し活用する取り組みを推進することで、「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に向けて挑戦しています。
 
 フェイガーは、持続可能な農業の実現を目指し、国内外で農業由来のカーボン・クレジットの生成と、気候変動適応のための耐候性ソリューション※3サービスを提供しています。農業分野に特化し、農家とともにこれらの取組を推進しています。
 
 両社は今後、クレジット購入にとどまらず、気候変動適応に向けた取り組みにおいても連携を一層強化してまいります。気候変動の影響下においても安定した食料生産を維持できる持続可能な農業の実現に向け、両社で貢献してまいります。
 
※1:気候変動とは、地球の気温や降水量などの平均的な状態が、自然要因や人間活動の影響により、長期的に大きく変化し ていることである。この気候変動は農業生産にも影響を及ぼし、特に夏季の高温の影響により米の高温障害が増加し、品質低下を招いている。気候変動への適応とは、今後も気候変動が進行すると予想される中で、農業生産への影響を極力抑えるために、適切な時期に適切な対策を講じていくことである。
※2:営農技術とは、作物の栽培方法、肥料・農薬の管理、農業機械の操作といった生産技術から、効率的な経営ノウハウまでを含む、農業従事者が生み出す知的成果のことである。ドローン、AI、IoTを活用したスマート農業技術や、省力化・低コスト化のための技術開発などが含まれる。
※3:耐候性ソリューションとは、気候変動下でも安定した生産を可能にする技術や資材を提供し、農業経営のレジリエンス(回復力)を高めることで、農産物の供給安定性と価値を向上させる方法のことである。