~観光開放が進むシルクロードの古都で、持続可能な文化遺産保護の新たなモデルを構築~
京都外国語大学(学長:北寿郎、所在地:京都市右京区)の国際文化資料館は、2026年3月4日、ウズベキスタン共和国の世界文化遺産の「ヒヴァ・イチャン・カラ国立保護区博物館」と相互協力に関する覚書を締結しました。2017年から同地域で続けてきた「フィールドミュージアム活動」を基盤に、今後は伝統的建造物に影響のある地盤沈下や塩害といった「水問題」の解決に向けた研究・教育・観光活用の三位一体の協働体制を強化します。
 
世界文化遺産ヒヴァ:カルタミカレ・ミナレットの調査
観光の転換期を迎えるウズベキスタン
ウズベキスタン政府はビザ免除措置の拡大や地方都市への直行便誘致を積極的に推進しています。特に「シルクロードの再生」をテーマにしたインフラ近代化が進む中、歴史的景観の維持とサステナブルな観光振興の両立が急務となっています。本学は、ウズベキスタン初の世界文化遺産である「イチャン・カラ(ヒヴァの博物館都市)」において、約10年にわたり地域密着型の保全活動を展開してきました。今回の覚書締結は、これまでの信頼関係をより強固にし、国家的な観光振興の潮流の中で「守りながら活かす」遺産保護を実現するためのものです。
■ 深刻な「水問題」の解決と、住民・観光客参画型の保全
現在、イチャン・カラは地下水の低下や塩害という、目に見えにくいが深刻な危機に直面しています。本協力体制では、単なる修復に留まらず、以下の施策を通じて「持続可能な開発」を目指します。
・伝統的建造物ガイダンスルームの設置
 保存技術や歴史を伝える拠点を博物館内に設置。
・住民主体による「キャラバンサライ博物館」の開設提案
・地域住民が遺産の価値を再発見し、主体的に関わる仕組み作り。
・「伝統的建造物のカルテ作り」の実施
 観光客も調査プロセスに参画できる仕組みを検討し、観光を保全の力に変える試み。
アーディルベク・イブラギモフ館長による覚書署名
■ 語学と観光、国際貢献の知見を総動員する「全学横断プロジェクト」
本プロジェクトは、国際文化資料館を軸に、全学的な国際交流活動として展開していきます。現地調査や公文書読解、政府機関との折衝、現地ガイドや学生への日本語教育を通じた人材育成、持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)のモデル構築など、語学の壁を越え、文化遺産という共通言語を通じて、世界の課題解決に貢献する学生の教育の場としても活用してまいります。
【覚書の概要】
(協力項目)
・世界遺産学・博物館学の研究および教育
・歴史的建造物の保存・公開・活用に関する協力
・研究員、学芸員、研究者の相互交流
・共同研究、展覧会、セミナーの開催
 
【関連リンク】
これまでの活動の経緯については、以下のウェブページをご覧ください。 
ウズベキスタンにおけるフィールドミュージアム活動 

・地域住民が遺産の価値を再発見し、主体的に関わる仕組み作り。