長年にわたる医工連携支援と中小企業振興の発展に貢献
有限会社安久工機(本社:東京都大田区)は、令和8年春の叙勲において、弊社会長 田中隆が「旭日単光章(中小企業振興功労)」を受章いたしましたことをお知らせいたします。
 
受章の背景
今回の受章は、弊社が50年以上にわたり取り組んできた「研究開発型町工場」としての活動が、日本の産業および先端医療技術の発展に寄与したとして評価されたものです。
特に、人工心臓をはじめとする高度な医療機器開発において、基礎研究段階から長年にわたり試作・改良を支え続けてきた点は、日本の先端医療を根底で支えた重要な功績として認められました。
医工連携支援と中小企業振興への功績 | 安久工機の「4つの役割」
安久工機の歩みは、単なる一企業の歴史に留まらず、日本の先端医療の発展と中小企業の地位向上を支え続けた軌跡でもあります。今回の受章におきましては、特に以下の3つの役割が評価されました。
1.
先端医療の発展を長年支え続けた「社会への貢献」
2.
モノづくりのすそ野拡大と町工場の発展のための「地域貢献」
3.
学問と現場を繋ぐ「共創型ビジネスモデル」の確立
4.
町工場の在り方を再定義した「中小企業振興の先駆者」として
数十年にわたる継続的な技術活動および研究支援が、日本の技術基盤の構築に寄与したこと、また、単なる製造メーカーではなく「研究開発を支える存在」として、構想段階からアカデミアとモノづくりの現場を繋いできた特異性も高く評価されました。
 
加えて、大田区を中心とした50社を超える協力企業との強固なネットワークを構築し、国内外からの工場見学や実習を積極的に受け入れ、次世代を担う若者たちへモノづくりの楽しさと大切さを伝え続けてきた点も受賞に繋がりました。
 
■ 受章によせて ー有限会社安久工機 会長 田中隆よりみなさまへ
この度、「中小企業振興功労」として、旭日単光章を賜りました。
勲章とは、町工場のオヤジにとって無縁のモノと思っておりました。
勲章拝受はひとえに今まで関わって頂いてきた皆さんのご協力の賜物です。
 
有限会社安久工機は1969年に父親(田中文夫、2005年他界)が大田区で設立しました。
“安久(やすひさ)”は、父親出身の宮崎県都城市安久からとりました。創業当初から早稲田大学土屋研究室・東京女子医大の人工心臓開発にモノづくりの面から協力しました。
今はやりの言葉「医工連携」の先駆けでした。
1982年大学院修了後、当時大阪国立循環器病センター研究所(以下、国循)人工臓器部の研究員をされていた梅津光生氏(早大土屋研出)の協力を得て人工臓器部の研修生として勤務。4年間にわたり、人工心臓・駆動装置・血液循環シミュレータ等の設計・製作に関わり、医療機器関係の知識・試作技術等に加え幅広い人脈が得られました。
1986年5月に安久工機に戻り、この医工連携のつながりをさらに広げて行きました。
2004年には栗田晃宜氏@香川盲学校美術教師の問合せから、視覚障がい者用筆記具「触図筆ペン」の開発がスタートしました。大田区内の仕事仲間と試作を進め、大田区・経産省・厚労省の補助金を得て2012年に製品化しました。これを機に視覚障がい者関係の器具開発・製作にも関わるようになりました。

医療機器・精密機器・一般工業機器等、顧客からの様々な試作依頼に対して、“モノづくりの便利屋”をモットーに長年のノウハウと大田区を中心にした50社を超える外注さんの協力を得て仕事をこなして来ました。
外注さんは安久工機の“命”で、初代社長も常々「外注さんには絶対迷惑はかけるな!」と言ってました(支払いは遅れない、無茶は言わない)。現在もこの“教え”は生きています。
今回の受賞を一番喜んでくれるのは、日頃協力してくれている外注さん達かもしれません。
仕事とは別に、大田区内や地方からの小・中・高校生の工場見学や工場実習も積極的に行って「モノづくりのすそ野拡大」にも注力してきました。

また、海外からの「大田区町工場見学」依頼も多く、10か国以上にのぼります。ちなみに、見学者の母国語を使っての“片言挨拶”がウケます。安久工機は昨年5月に田中宙(ひろし、息子)が社長になり、「Venture Friendly」を合言葉にさらなる人脈・事業拡大を進めています。
私は会長として、自分の持っているノウハウの若手社員への伝承作業と引き続き設計業務をこなしています。

最後に、1982年の国循研修生時代から現在に至るまでの44年間協力して頂いた方々に感謝を込めて、2011年博士論文「謝辞」最後の文章をお贈りします。
Thank you・謝々・감사합니다・Merci・Grazie・Gracias・Danke そして ありがとう。

有限会社安久工機 会長 
田中隆
 
田中隆プロフィール
有限会社安久工機 会長。1986年安久工機入社以来、開発設計の第一線に立つ。
 
2009年大田区モノづくり優秀技能者「大田の工匠100人」に選出。
2011年早稲田大学理工学研究科生命理工学専攻博士号取得。1980年代から大学や医療系研究機関と共に人工心臓開発プロジェクトに参加。補助人工心臓のプロトタイプや血液循環シミュレータの開発設計を担当。医療以外にも「諦めない」精神で様々なモノづくりプロジェクトを支援。盲学校の美術教員の相談を受け視覚障がい者用ペン「ラピコ」を開発。
2024年6月公開の映画『ディア・ファミリー』では人工心臓の実験に関する技術監修を担当。脚本校正や現場装飾のアドバイスなどを行う他、映画に登場する人工心臓のプロトタイプや実験装置を製作。
2026年4月、令和8年春の叙勲において「旭日単光章(中小企業振興功労)」を受章。
 
経歴
1955年10月 東京都板橋区生まれ
1980年3月 東京農工大学工学部機械工学科卒業
1982年3月 東京農工大学工学研究科機械工学専攻修了
1982年4月-86年4月 国立循環器病センター研究所人工臓器部研修生
1986年5月 有限会社安久工機 入社
2005年4月 早稲田大学大学院理工学研究科生命理工学専攻医用機械工学研究入学
2006年1月 安久工機代表取締役社長(田中文夫初代社長逝去に伴い就任)
2011年2月 早稲田大学大学院理工学研究科生命理工学専攻医用機械工学研究修了 博士[工学]
2011年4月 早稲田大学理工学研究所 招聘研究員
2018年4月~2020年3月 工和会協同組合理事長・大田工業連合会副会長
2022年4月~2026年3月 明治大学理工学部兼任講師
2025年5月~ 安久工機会長
 
現在に至る
 
有限会社 安久工機について
1969年創業。東京都大田区を拠点に、研究開発・新規事業開発における試作開発を支援するものづくり企業です。機械・機構設計を中心に、構想段階の技術相談から、試作設計、部品製作、組立、検証までを一貫してサポート。「モノづくり天国」の実現を掲げ、大学・研究機関・スタートアップ・大手企業の研究開発部門とともに、まだ世の中にない製品や装置の社会実装に取り組んでいます。2025年5月、旧町工場を改築し新たに設立した挑戦と創造の新拠点「ヤスラボ(ヤスヒサコーキイノベーションラボラトリ)」をオープン。
 
【安久工機 公式HP】https://www.yasuhisa.co.jp/
【ヤスラボ 公式HP】https://www.yasuhisa.co.jp/yasulabo/
 
表彰・受賞歴 
1997年(平成9年) 第13回警察装備資機材開発改善コンクール「長官官房長賞」(パタコーン)
2008年(平成20年) 第19回大田区中小企業新製品・新技術コンクール「特別賞」(触図筆ペン Lapico)
2012年(平成24年) 第23回大田区中小企業新製品・新技術コンクール「優秀賞」(大動脈弁形成術のための弁寸法測定用器具『Ozサイザー』)
2012年(平成24年) 福祉のまちづくり功労者に対する知事感謝状(東京都)2012年平成24年 大田区の工匠100人(田中隆会長)
2014年(平成26年)「がんばる中小企業・小規模事業者300社」(経済産業省)