ベートーヴェンとシェーンベルクで問う、人生の真理
デビュー30周年を経て、2018年に開始した10年にわたるプロジェクト「The Road to 2027 仲道郁代リサイタル・シリーズ」がいよいよ9年目を迎えます。

今年のテーマは「音楽の哲学」と題し、5月~6月にかけて各地(西宮、浜松、名古屋、東京)でのツアーに先駆けて先般、記者懇親会が開催されました。

今回は、仲道郁代のベートーヴェン演奏の原点ともいえる研究家・故 諸井誠氏との共同プロジェクトに深く携わった音楽評論家・柴辻純子氏をゲストに迎え、当時を懐古し、現在に至る取り組みや解釈の深化について対談しました。
 

長年ベートーヴェンと向き合い続けてきた仲道は、「それぞれのソナタに試みや概念をテーマとして据えることで、音楽の中に見出すものが明確になった」と語り、「諸井先生との研究を土台に、様々な観点から研究を重ねてきたことで、今では音の一つひとつに意味を持たせる確信が得られました。楽譜を読み解く確かな裏付けがあるからこそ、今の私はより自由に、自分自身のベートーヴェンを響かせることができているのです」と、改めて原点を振り返りました。
 
今回のプログラムでは、ベートーヴェン最後の三大ソナタ(第30番、31番、32番)に、シェーンベルクの6つの小品を織り交ぜます。全く異なるアプローチでありながら、いずれも人間の心理と言える感覚や考えが聞こえる作品であると仲道は捉えています。「ぜひシェーンベルクの後に32番を聴いてみてください。シェーンベルクに聴こえる不条理さや無常さ、そのアフォリズムの世界を体験すると、ベートーヴェンが生々しく生きる姿、人間的に泥臭く人生を問うているINGな姿が、より強く感じられると思うのです。」と仲道は語ります。

近年取り組んできたベートーヴェンピアノ室内楽やフォルテピアノでのソナタ全曲シリーズも大きな糧となり、「楽譜への光の当て方にいくつものレイヤー(階層)が重なり、より重層的に読み解けるようになりました。諸井先生がおっしゃるモチーフが、今では私の中で『言葉』に思えてきたほどです。ベートーヴェンが語ることを、私の中にある多様な物差しで音に変換できている感覚があります。「音楽の哲学」は、人生のこれまで、自分という存在に、想いを至すことができるプログラムです。今、この最後の3つのソナタを音にすることが楽しみでなりません」と期待感を熱く語りました。

仲道郁代が提示する「音楽の哲学」。その真髄を、ぜひ会場で体感してください。
 
《公演情報》
The Road to 2027 仲道郁代 ピアノ・リサイタル 音楽の哲学
2026年5月23日(土)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール TEL:0798-68-0255
2026年5月30日(土)アクトシティ浜松 中ホール TEL:053-451-1114
2026年6月6日(土)宗次ホール TEL:052-265-1718
2026年6月14日(日)サントリーホール TEL:0570-00-1212