株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月1日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件研究解説 「我々紅麹業界に何が起こったか」
「モナコリンK=スタチン」と書いたのは小林製薬自身である
─ 副作用・薬物相互作用の検討を怠ったのは誰か ─を公開した。
▼対象記事URL
https://kunsei.com/archives/788
令和8年4月 株式会社薫製倶楽部
令和8年5月 株式会社薫製倶楽部
「我々紅麹業界に何が起こったか」
㊹ 「モナコリンK=スタチン」と書いたのは小林製薬自身である
─ 副作用・薬物相互作用の検討を怠ったのは誰か ─
【概要】 小林製薬バリューサポート株式会社は、自社ウェブサイト「紅麹の成分と作用」において、「モナコリンKはその後の研究を経てコレステロール抑制剤(スタチン剤)として発売されました」と明記していた(現在トップページからリンク切れ)。 主作用がスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害)であるならば、副作用もスタチンの既知の副作用プロファイルに従うことは医薬品科学の基本常識である。横紋筋融解症、ミオパシー、薬物性心筋症、肝機能障害、CYP3A4を介した薬物相互作用——これらすべてが最初に検討されるべき事項であった。 本プレスリリースは、「モナコリンKの曝露量を測定すべき」との当社の主張が、私(森)個人の意見ではなく、小林製薬自身が公表したデータからの当然の帰結であることを示す。これを知りながら(あるいは知るべきであったにもかかわらず)3,402名の患者に対して検討すら行わなかったとすれば、小林製薬・厚生労働省・有識者会議委員の責任は極めて重大である。 |
1 小林製薬が自ら公表していた事実
【一次資料】小林製薬バリューサポートHP「紅麹の成分と作用」
小林製薬バリューサポート株式会社のウェブサイトには、現在もアクセス可能な状態で以下の内容が記載されている(https://www.kobayashi-vs.co.jp/benikoji/component.html、現在トップページからのリンクは切れているが、URLは生存)。
【引用:小林製薬バリューサポートHP「モナコリンKとは」より】 「1979年、東京農工大学の助教授(当時)・遠藤章氏によって、紅麹菌(Monascus ruber M1005)から、高いコレステロール抑制効果を持つ成分が発見されました。その成分がモナコリンK。モナコリンKはその後の研究を経てコレステロール抑制剤(スタチン剤)として発売されました。」 「モナコリンKは、HMG-CoAという還元酵素に作用して、コレステロールの生成を抑制。その結果、LDLコレステロールと総コレステロール値を下げるのです。」 |
この記述は事件前から公開されており、小林製薬が「自社製品に含まれるモナコリンKはスタチン(医薬品)と同一の成分・同一の作用機序を持つ」という事実を自ら認識・公表していたことの証拠である。
2 医薬品常識から導かれる当然の帰結
スタチン系薬剤の既知の副作用・薬物相互作用は、医薬品分野では教科書的常識である。モナコリンKがスタチン剤であるならば、以下の検討が事件発生直後に当然行われるべきであった。
| 検討すべき事項 | 具体的内容 |
| ① モナコリンK曝露量 | 製品ロット間の含有量のばらつき(Gordon et al. 2010で最大100倍)と紅麹マトリックスによる吸収促進(活性型Cmax最大5倍、小林製薬自身のラット試験)を考慮した実際の全身曝露量 |
| ② 筋・心筋毒性 | 横紋筋融解症・ミオパシー・薬物性心筋症はスタチン系薬剤の代表的副作用。朝日新聞が報じた50代女性の動悸・息切れ・心筋症疑い症例は典型的 |
| ③ 薬物相互作用 | モナコリンKはCYP3A4で代謝されるため、CYP3A4阻害薬(カルシウム拮抗薬・マクロライド系抗生物質等)や阻害食品(グレープフルーツ等)との併用で血中濃度が劇的に上昇する可能性 |
| ④ EFSAの規制値との整合性 | EFSAは2018年に「紅麹由来モナコリンKの安全上限を3mg/日」と勧告(EFSA Journal 2018;16(8):5368)。公称2mg/日の製品でも管理なき大量服用・吸収促進が重なれば上限超過は自明 |
| ⑤ 腎以外の臓器影響 | スタチン系薬の副作用として肝機能障害・腎機能障害・末梢神経障害が知られており、「腎障害一元論」ではなくマルチオルガン毒性の観点からの評価が必要 |
3 これは私の意見ではなく、小林製薬自身の記述の帰結である
当社(森雅昭)が「モナコリンKの曝露量を最初に検討すべき」と主張するとき、それは独自の推論ではない。論理の連鎖は以下の通り極めて単純である。
【論理の連鎖】 1. 小林製薬バリューサポートHP:「モナコリンKはスタチン剤として発売された」(一次資料、自社公表) 2. スタチン系薬剤には、横紋筋融解症・心筋症・肝障害・CYP3A4薬物相互作用という既知の副作用プロファイルが存在する(医薬品添付文書・医学教科書レベルの常識) 3. 製品間の含有量のばらつき(最大100倍)と紅麹マトリックスによる吸収促進(最大5倍)の掛け算で、実際の曝露量は公称値から大きく乖離しうる(Gordon 2010、小林製薬自身のラット試験) 4. EFSAは2018年に安全上限3mg/日を勧告しており、この情報は厚生労働省に当然届いていたはずである 5. 【結論】∴ 健康被害の原因究明において、モナコリンK曝露量の推計と既知スタチン副作用プロファイルとの照合を最初に行うことは、薬学・医学の基本手順である |
4 知らなかったか、知っていて無視したか
3,402名の患者が健康被害を訴え、そのうち1,162名が腎疾患以外の症状を呈している(朝日新聞2026年4月28日)。動悸・息切れ・薬物性心筋症疑い・骨折を伴う転倒。これらはスタチン過剰曝露ないし薬物相互作用で十分説明可能な症状群である。
小林製薬・厚生労働省・有識者会議委員がこの検討を行わなかったとすれば、二つの可能性しかない。
【二者択一の責任】 ● 知らなかった場合——「モナコリンK=スタチン剤」という自社HP記載すら副作用評価に活用できなかったことになり、専門的知識の著しい不足として、医薬品行政・安全管理上の重大な失態である。 ● 知っていて検討しなかった場合——目の前で苦しむ3,402名の患者に対し、副作用評価を行う義務を意図的に回避したことになる。原因をプベルル酸に一元化し、他の可能性を遮断することで、患者が正しい診断・治療を受ける機会を奪った可能性がある。これは医師倫理・行政責任の観点から極めて深刻である。
いずれであっても問題は重大である。当社は「外道」という言葉を使う立場にはないが、少なくとも患者に対する説明責任は果たされていないと断言せざるを得ない。 |
5 当社の要求
小林製薬および厚生労働省に対し、以下を求める。
● 全3,402件の健康被害事例について、製品ロットごとのモナコリンK含有量実測値と各患者の摂取期間・服用量からモナコリンK曝露量を推計し、各症状との相関を解析・公表すること
● CYP3A4阻害薬・阻害食品との相互作用の有無を全症例で調査すること
● 薬物性心筋症疑いを含む腎疾患以外の1,162件の症例について、スタチン副作用プロファイルと照合した再評価を行うこと
● EFSAの3mg/日勧告を厚生労働省がいつ入手し、どのように評価したか(または評価しなかったか)を公文書で開示すること
● 小林製薬バリューサポートHPに記載されていた「モナコリンK=スタチン剤」の記述を、今回の健康被害評価にどのように反映したか(または反映しなかったか)を明らかにすること
【参照資料・文献】
■ 小林製薬公表資料(一次資料)
・小林製薬バリューサポート「紅麹の成分と作用」
https://www.kobayashi-vs.co.jp/benikoji/component.html
(現在トップページからリンク切れ。URLは現在も生存。事件前から継続公開)
■ 学術文献
・Gordon RY et al. Marked variability of monacolin levels in commercial red yeast rice products. Arch Intern Med 2010;170:1722.
・EFSA Panel. Scientific opinion on the safety of monacolins in red yeast rice. EFSA Journal 2018;16(8):5368.
・Fukami H et al. A Review of Red Yeast Rice, a Traditional Fermented Food. Molecules 2021;26(6):1619.
■ 当社プレスリリース
・PR㊸「朝日新聞報道への見解─全副作用においてまずモナコリンK曝露量を測定すべき」(2026/4/29)
・PR㊶「小林製薬紅麹事件 プベルル酸の行政記録なし 5機関文書不存在」(2026/4/28)
【薫製倶楽部プレスリリース・シリーズ一覧】
① 東京科学大学のプベルル酸研究に科学的疑義申立(2026/3/10)
② 2024年紅麹事件、大阪市保健所が収去していないことを確認(2026/3/12)
③〜⑤ プベルル酸の根拠不明 研究解説1〜3(2026/3/13〜17)
⑥ プベルル酸の使用根拠について主要報道機関10社へ疑義照会(2026/3/18)
⑦ 刑事告発状の提出について(2026/3/19)
⑧〜⑩ 動物実験を実施したのは小林製薬だった(前編・後編)(2026/3/19〜23)
⑪ 小林製薬公表資料に基づくPK試験データの整理(2026/3/24)
⑫ 国立医薬品食品衛生研究所長を刑事告発(2026/3/25)
⑬ コカ・コーラが示す食薬区分の本質 研究解説10(2026/3/27)
⑭ 厚労省健康・生活衛生局長を刑事告発(2026/3/30)
⑮ 決定的証拠 小林製薬の標準品で小林製薬の検体を試験した(2026/3/31)
⑯ 収去記録の特定に60日 存在しないから探せない(2026/4/1)
⑰ 大阪市保健所は最大の被害者である(2026/4/2)
⑱ 収去なき断定の全体像(2026/4/3)
⑲ 小林製薬紅麹コレステヘルプa(G970)消費者庁に行政不服審査請求(2026/4/3)
⑳ 厚生労働省が公文書で判断放棄を確認(2026/4/3)
㉑㉒ プベルル酸と誘導された経緯 調査報告1・2(2026/4/6〜7)
㉓ 天然物の同定に時間がかかることは科学の常識である(2026/4/8)
㉔ カビの世界と利益相反-吉成文献への重大な疑問(2026/4/9)
㉕〜㉝ 我々紅麹業界に何が起こったか(2026/4/10〜20)
㉞ 行政は本当にプベルル酸を同定できているのか その1(2026/4/21)
㉟ 行政は本当にプベルル酸を同定できているのか その2(2026/4/22)
㊱ 検体表が証明する同一性の欠如(2026/4/23)
㊲ 九州大学今坂論文への疑義申立(2026/4/24)
㊳ 大阪市保健所の回答の自己矛盾(2026/4/25)
㊴ 農林水産省の回答の自己矛盾(2026/4/26)
㊵ 自主点検はいつ、どのように行われたのか(2026/4/27)
㊶ 小林製薬紅麹事件 プベルル酸の行政記録なし 5機関文書不存在(2026/4/28)
㊷ 衆参両院議長ほか国会議員5名に陳情書を送付(2026/4/28)
㊸ 朝日新聞報道への見解─全副作用においてまずモナコリンK曝露量を測定すべき(2026/4/29)
【㊹】 「モナコリンK=スタチン」と書いたのは小林製薬自身である(2026/5/1)
【会社概要】
| 会社名 | 株式会社薫製倶楽部(倉敷花桜ハム) |
| 代表者 | 代表取締役・薬剤師 森 雅昭 |
| 所在地 | 〒701-0303 岡山県都窪郡早島町前潟611-1 |
| 事業内容 | 薫製食品の製造・販売(倉敷ソーセージ等) |
| ウェブサイト | https://kunsei.com |
| お問い合わせ | sales@kunsei.co.jp |