株式会社Datachain(代表取締役:久田 哲史、以下「当社」)は、ブロックチェーン技術を活用した金融インフラの高度化に向けた取り組みの一環として、「トークン化預金のアーキテクチャと法的性質に関する考察レポート」を本日公開いたしました。
公開の背景
トークン化預金は、銀行の預金基盤システムをブロックチェーン(分散型台帳技術・DLT)を通じて構築するものであり、24時間365日の即時決済やスマートコントラクトを活用したプログラマブルな取引の実現など、金融インフラの大幅な効率化が期待されています。欧州ではEBA(欧州銀行監督局)が2024年に「Report on Tokenised Deposits」(以下、「EBAレポート」)を発表するなど、国際的に議論が進展しています。
一方、日本においてはトークン化預金に関する体系的な整理が十分に進んでおらず、社会実装に向けた共通基盤の構築が喫緊の課題となっています。当社は、日本の金融技術が国際的な潮流に遅れを取らないためには、トークン化預金の早期の社会実装が急務であると考えております。その実現には専門的知見の共有による議論の活性化が不可欠であるとの認識から、本レポートを公開するに至りました。
 
 
レポートの概要
本レポートでは、EBAレポート等の国際的な議論を踏まえ、以下の論点を整理しています。
 
1. 「トークン化預金」と「預金トークン」の概念整理
しばしば混同される両概念について、DLT上の記録が預金債権の「表示・管理手段」として機能するか、DLT上のトークン自体が「価値の移転単位」として機能するかという本質的な差異を明確化しています。
 
2. トークン化預金の実装事例
EBAがEEA域内で調査した範囲における実装例と実証実験を紹介しています。
 
 
3. トークン化預金の3つの記録モデル(アーキテクチャ分類)
EBAレポートを参考に、トークン化預金のアーキテクチャを以下の3類型に整理しています。
 
1. DLT単一台帳型:既存の伝統的台帳を完全にDLTに置き換え、DLT上の記録が法的に預金債権として認められるモデル
 
2. トークン変換型:預金債権は従来の台帳で管理しつつ、顧客が預金をDLT上のトークン(電子マネートークン等)に変換して利用するモデル
 
3. 並列型:伝統的台帳とDLTを並行運用し、双方の残高がいずれも法的に預金債権として扱われるモデル
 
これらのアーキテクチャは、預金債権の記録主体(DLTか伝統台帳か)と、DLT上の記録の法的性質(預金債権と認められるか否か)の2軸で整理されており、日本における社会実装の方向性を検討する上での基礎的なフレームワークとなることが期待されます。
 
レポート全文(PDF):https://reports.datachain.jp/tokenized-deposits-architecture-and-legal-nature.pdf
 
当社の取り組みについて
当社は、中長期的には「預金トークン」の実現を目指しつつ、現環境下においては「トークン化預金」の社会実装に取り組んでいます。技術選定の初期段階から、コンプライアンス、利用者保護、現行法制とのギャップを評価し、法務・技術両面からのアプローチにより、安全で利便性の高いオンチェーン金融インフラの構築を推進してまいります。