理想の働き方を妨げる職場の壁、1位「業務過多・人手不足」
累計20,000社460万人以上の組織開発・人材育成を支援するALL DIFFERENT(オールディファレント)株式会社(所在地:東京都千代田区 代表取締役社長:眞崎大輔)および「人と組織の未来創り(R)」に関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所(R)は、2026年2月26~28日の期間で、ビジネスパーソン1,200人を対象に「働き方への価値観の変化」に関する意識調査を行いました。
背景
2019年の働き方改革関連法の施行以降、日本の働き方は大きく転換しました。時間外労働の上限規制や年次有給休暇の取得義務化、勤務間インターバル制度の導入、フレックスタイム制度の拡充などによる、長時間労働の是正や柔軟な働き方が着実に進展してきたといえます。特にコロナ禍を経て、テレワークの活用も広がりました。
 
一方で、こうした働き方改革による変化は、現場で働くビジネスパーソンの「働きやすさ」や「負担軽減」への実感につながっているのでしょうか。制度施行以降、人手不足の深刻化や業務の高度化・複雑化がより一層進む中、現場ではどのような変化が生まれたのでしょうか。
 
本調査では幅広い年代のビジネスパーソンを対象に、働き方に対する価値観の変化や物理的・精神的負担の変化などを調べました。
調査結果の概要
社会の変化に伴う業務・働き方への影響、「なし」が45.5%。影響の1位は「働く時間の変化」
5年間の働き方に対する考え方・価値観、約4割が「変わった」、約6割が「変わっていない」
働くうえでの負担の変化、「変わらない」約半数、「増えた」約4割、「減った」約1割
「人手不足による業務負荷の増加」あった人、約8割が物理的または精神的な負担の増加を実感
理想の働き方、1位は「プライベートと両立しやすい働き方」、約4人に1人が回答
理想の働き方をするうえでの職場の障壁、1位は「業務過多や人手不足」で3割が回答
会社に求める職場環境や制度、1位は「給与・待遇の充実」
考察 社員が理想とする働き方を実現するカギは、「制度 × 人材定着・育成」
 
調査結果の詳細
1. 社会の変化に伴う業務・働き方への影響、「なし」が45.5%。影響の1位は「働く時間の変化」
まずは、社会や職場全体の変化に伴い、自身の業務や働き方に影響があったものは何か質問しました。
結果、「特に大きな影響はない」と回答した割合が最も高く、45.5%が回答しました。
 
受けた影響としては、「働く時間の変化(残業、勤務時間、拘束時間など)」が24.8%でトップとなり、次に「人手不足による業務負荷の増加」(18.4%)、「業界の変化に伴う業務量・業務スピードの変化」(16.9%)が続きました(図1)。
2. 5年間の働き方に対する考え方・価値観、約4割が「変わった」、約6割が「変わっていない」
次に、この5年で自身の働き方に対する考え方や価値観は変わったか質問しました。結果、「大きく変わった」は12.9%、「ある程度変わった」は29.6%となり、約4割が変わったと感じていました。
              
一方、「あまり変わっていない」は33.3%、「全く変わっていない」は24.2%となり、約6割が変わっていないと感じている結果となりました(図2)。
3. 働くうえでの負担の変化、「変わらない」約半数、「増えた」約4割、「減った」約1割
次に、社会や職場全体の働き方の変化により、働くうえでの物理的・精神的負担はどう変わったか質問しました。
 
結果、働くうえでの負担が「変わらない」と回答した割合が49.8%でした。一方、「物理的・精神的負担がともに増えた」が16.6%、「主に物理的負担が増えた」が7.8%、「主に精神的負担が増えた」が15.2%となり、何かしらの負担が増えたと回答する割合は約4割の結果となりました。
              
一方、「物理的・精神的負担がともに減った」は10.7%となりました(図3)。
4. 「人手不足による業務負荷の増加」あった人、約8割が物理的または精神的な負担の増加を実感
社会や職場全体の変化に伴い、業務や働き方に影響を受けたとする項目ごとに、働くうえで物理的・精神的負担の変化を感じている人の割合がどれほどか分析しました。
 
結果、影響を受けた項目として「人手不足による業務負荷の増加」と回答した人は、「物理的・精神的負担がともに増えた」と感じる割合が45.2%、「主に物理的負担が増えた」は14.0%、「主に精神的負担が増えた」は20.4%となりました。約8割の人が何かしらの負担増加を感じており、この割合は他項目に比べて最も高くなりました。
 
影響を受けた項目として「働く場所の変化(テレワーク/出社頻度)」と回答した人は、「物理的・精神的負担がともに減った」と感じる割合が30.5%と他項目に比べて最も高くなりました。
              
影響を受けた項目として「コミュニケーションの変化(テレワーク/出社頻度)」と回答した人は、「主に精神的負担が増えた」と回答する割合が25.4%と、他項目に比べて高くなりました(図4)。
5. 理想の働き方、1位は「プライベートと両立しやすい働き方」、約4人に1人が回答
ここまで、社会や職場全体の働き方の変化や、負担への実感について質問してきました。ここからは、今後理想とする働き方について見ていきます。

今後理想とする働き方は何かを質問したところ、1位は「プライベートと両立しやすい働き方」(24.8%)となりました。次に、「休息をしっかり確保できる働き方」が19.4%と続きました(図5)。
6. 理想の働き方をするうえでの職場の障壁、1位は「業務過多や人手不足」で3割が回答
次に、理想の働き方をするうえで、今の職場ではどんなことが障壁となると思うかを質問しました。

結果、1位は「業務過多や人手不足」(31.5%)となり、次に「特に障壁はない(現状に満足)」が29.9%、「業務の特性(出社・対面が必要な場面が多いなど)」が14.1%と続きました(図6)。
7. 会社に求める職場環境や制度、1位は「給与・待遇の充実」
最後に、今後会社に求める職場環境や制度を質問しました。

結果、1位は「給与・待遇の充実」で、34.3%が回答しました。次に「協働・コミュニケーション(チームの連携、上司部下の良好な対話)」(21.2%)、「休暇制度の柔軟性(有休取得のしやすさ、特別休暇など)」(18.3%)と続きました(図7)。
まとめ
本調査では、社会や職場全体の変化が仕事に与える影響について、「特に大きな影響はない」と感じる人が約半数を占める一方、受けた影響としては「働く時間の変化」や「人手不足による業務負荷の増加」が上位に挙がりました。また、この5年間で働き方に対する考え方や価値観が「変わった」と感じる人は約4割にとどまり、約6割は「変わっていない」と回答し、この5年間の変化を感じる人は限定的であることがうかがえました。
 
働き方の変化による物理的・精神的負担は、「変わらない」とする回答が約半数を占めたものの、約4割は何らかの負担を感じている結果となりました。また、受けた影響によって、物理的・精神的負担の変化も異なりました。特に「人手不足による業務負荷の増加」の影響があったと答えた回答者は、そのほかの回答者に比べて、物理的・精神的の両面で負担を感じている割合が最も高いことが明らかになりました。一方で、「働く場所の変化」を選んだ回答者では物理的・精神的負担が軽減したと感じる層が約3割と、一定数負担の軽減を感じる人が存在していることがわかりました。
 
今後の働き方に関する意識を見ると、理想の働き方として最も多かったのは「プライベートと両立しやすい働き方」となり、ワーク・ライフ・バランスを重視していることが強く示されました。理想の働き方の実現を妨げる今の職場の最大の障壁には、「業務過多や人手不足」が挙げられ、理想と現実のギャップが浮き彫りとなりました。さらに、今後会社に求める職場環境や制度では、「給与・待遇の充実」が突出しました。長期的な物価高で将来への不安が増す中、働きやすさに加えて、処遇改善への期待が一層高まっていることが示唆される結果となりました。
考察 社員が理想とする働き方を実現するカギは、「制度 × 人材定着・育成」
近年、テレワークの普及を始め、働き方に関する制度や仕組みの整備は着実に進んできました。しかし、本調査では、過去5年間で自身の働き方や価値観が「変わった」と回答した人は約4割で、約6割は「変わっていない」と回答。働き方を取り巻く環境が大きく変化する中でも、価値観の変化は一様ではないことがわかりました。
 
また、社会や職場の働き方の変化は、働くうえでの負担軽減につながっているかを見ますと、「物理的・精神的負担が減った」と感じている人はわずか1割にとどまり、約半数は「負担は変わっていない」と回答。制度は整いつつも、幅広い企業で人手不足感が広がり続ける中、現場では働きやすさの向上や負担軽減を十分に実感できていない状況が浮き彫りとなりました。
 
今後の理想の働き方では「プライベートと両立しやすい働き方」が求められているものの、「業務過多や人手不足」が障壁になっている点も注目すべき結果でした。こうした課題は制度導入だけでは解決しづらく、対応が不十分な場合、特定の社員の業務集中や疲弊を招き、離職リスクを高める可能性があります。
 
多様で柔軟な働き方の実現や、生産性向上、人的能力の発揮などの目的を達成するためには、制度導入にとどまらず、中長期的な人材の定着・育成と一体で取り組む必要があります。具体的にどのような取り組みをすべきかご紹介します。
◆組織として取り組むこと
既存の制度が現場でどのように運用されているのかを継続的に点検することが重要です。残業時間や制度利用状況、業務のしわ寄せが特定の個人に生じていないかを可視化し、「制度はあるが、現場は楽になっていない」というズレを早期に把握することで、エンゲージメント低下や離職の防止につなげることができるでしょう。
 
また、人手不足が常態化する中では、既存社員一人ひとりの生産性を高める取り組みがより重要になります。そこで、各社員の業務内容や必要なスキルの棚卸しを行い、業務の優先順位付けや属人化した業務の見直しを進めることも欠かせません。
◆社員に対して取り組むこと
人手不足の環境であっても、理想の働き方で1位だった「プライベートとの両立」を実現するためには、一人ひとりの生産性を高め、生み出す付加価値を高めていくことが不可欠です。具体的には、優先順位付けや課題発見力などの思考力、チームで効率的に成果を生み出すためのコミュニケーションスキル、時間の使い方を最適化するタイムマネジメントなどのバイタルスキル(R)*を習得することは、無駄な業務や手戻りを減らし、生産性向上の基盤となります。結果、組織力の向上にも寄与するでしょう。
*バイタルスキル(R):人と組織の成長・成果を生み出すために不可欠なビジネススキル
◆管理職に対して取り組むこと
管理職の役割や評価基準を「人材の育成・定着」とより強く結び付けることも重要です。例えば、チームの負担状況や残業時間、定着率、育成の進捗といった観点を管理職の評価項目に取り入れることで管理職の意識を変革しやすくなります。1on1ミーティングなどを通じて現場の実態把握に努めることで、これまで見えにくかった「業務のしわ寄せ」や「無理を続けている人」に早期に気づき、業務の優先順位やアサインなどの対応が可能になります。
 
これまで各企業が取り組んできた働き方改革が真に意味あるものとなるかどうかは、制度の導入そのものだけではなく、人が定着し、育ち、無理なく持続的に働ける状態を実現できているかが重要です。働く環境づくりと人材の定着・育成をセットで捉え、より戦略的に連動させていくことが、今後の企業には一層求められていくでしょう。
ALL DIFFERENT株式会社
事業開発推進本部 コンテンツマネジメント部 ユニットリーダー
宮澤 光輝(みやざわ・こうき)
東京大学卒業後、ALL DIFFERENT (旧トーマツ イノベーション/ラーニングエージェンシー)に入社。コンサルタントと研修講師を兼務し、サービスの企画・開発、研修講師育成、中堅~大企業に対して研修の企画・提案および実施などをはじめとした人材育成支援に従事。複数の全社プロジェクトでプロジェクトリーダーを担当。現在はサービスの企画・開発チームのリーダーとして、対面研修、オンライン研修などの新サービスの企画・開発、研修講師育成を担う。研修講師としては公開講座や企業内研修等で、OJT指導者向け、管理職向けの研修を中心に年間100回以上実施。
 調査概要
調査対象者 10代~60代のビジネスパーソン
調査時期 2026年2月26~28日
調査方法 調査会社によるインターネット調査
サンプル数 1,200人
属性 (1)企業規模
1~50人 298人(24.8%)
51~100人 128人(10.7%)
101~300人 168人(14.0%)
301~1,000人 122人(10.2%)
1,001~5,000人 183人(15.3%)
5001以上 173人(14.4%)
わからない 128人(10.7%)
 
(2)年代
10代 15人(1.3%)
20代 201人(16.8%)
30代 253人(21.1%)
40代 244人(20.3%)
50代 247人(20.6%)
60代以上 240人(20.0%)
 
(3)性別
男性 630人(52.5%)
女性 570人(47.5%)
 *本調査を引用される際は【ラーニングイノベーション総合研究所「ビジネスパーソン1200人調査(働き方の価値観の変化)」】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
 
ラーニングイノベーション総合研究所
「人と組織の未来創り(R)」に関する様々な調査・研究活動を行っている当社研究機関。データに基づいた組織開発に関する解決策を提供。
ALL DIFFERENT株式会社
組織開発・人材育成支援を手掛けるコンサルティング企業。
人材育成から、人事制度の構築、経営計画の策定、人材採用までの組織開発・人材育成の全領域を一貫して支援。

《沿革》
2006年 トーマツイノベーション株式会社として人材育成事業を開始し、業界初や特許取得のサービスを多数開発・提供
2019年 株式会社ラーニングエージェンシーとして、デロイトトーマツグループから独立
2024年 ALL DIFFERENT株式会社へ社名変更

代表取締役社長  眞崎 大輔
本社所在地   〒100-0006 東京都千代田区有楽町2-7-1 有楽町 ITOCiA(イトシア)オフィスタワー 15F(受付)・17F・18F
支社      中部支社、関西支社
人員数     328人(2025年4月1日時点)
事業      組織開発支援・人材育成支援、各種コンテンツ開発・提供、ラーニングイノベーション総合研究所による各種調査研究の実施
サービス    定額制集合研修「Biz CAMPUS Basic」/ライブオンライン研修「Biz CAMPUS Live」/ビジネススキル学習アプリ「Mobile Knowledge」/ビジネススキル診断テスト「Biz SCORE Basic」/IT技術習得支援サービス「IT CAMPUS」/デジタルスキル習得支援サービス「DX CAMPUS」/管理職アセスメント「Discover HR」「Competency Survey for Managers」/人事制度構築支援サービス「Empower HR」
経営計画策定支援サービス「Empower COMPASS」/転職支援サービス「Biz JOURNEY」ほか
URL       https://www.all-different.co.jp/corporate

▼ALL DIFFERENT株式会社では事業拡大に伴い、採用活動にも力を入れています。
新卒採用 https://newgraduates.all-different.co.jp/
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社会の変化に伴う業務・働き方への影響、「なし」が45.5%。影響の1位は「働く時間の変化」

1. 社会の変化に伴う業務・働き方への影響、「なし」が45.5%。影響の1位は「働く時間の変化」