―福祉サーベイQuillの結果から見える現場の傾向―

特定非営利活動法人NPO人材開発機構(本部:東京都新宿区、理事長:水谷正夫)は、「福祉サーベイQuill」( https://fukushisurvey.jp/quill/ )を通じて、全国の障害福祉事業所を対象にアンケート調査(回答数:3,271件)を実施し、「虐待防止と組織体制」に関する実態を分析しました。
本調査の結果、利用者への対応や権利尊重、プライバシー配慮といった基本的な支援姿勢は、全体として高い水準で実践されていることが確認されました。一方で、人員不足や業務負担、チーム内コミュニケーションといった組織・環境面において、課題が見られる結果となりました。
 
 
■ 本調査における平均点の考え方
本調査では、各設問について4段階評価で回答を得ており、「4点=できている/そう思う」「3点=ほぼできている/ややそう思う」「2点=あまりできていない/あまりそう思わない」「1点=できていない/そう思わない」として平均値を算出しています。
 
平均値の目安は以下の通りです。
3.5以上:非常に高い水準(十分に実践されている)
3.0~3.4:概ね良好(一定水準で実践されている)
2.5~2.9:やや課題あり(改善の余地がある)
2.4以下:課題が大きい(優先的な対応が必要)
 
 
■ 高水準で実践されている項目
調査結果から、虐待に直結する行為や権利擁護に関する項目は、非常に高い水準で実践されていることが分かりました。
特に以下の項目は、平均3.5以上と高い評価となっています。
・不適切な身体接触や性的言動を行わない:平均3.74
・利用者のプライバシーに配慮した対応:平均3.68
・利用者の金銭・貴重品の適切な管理:平均3.65
・利用者を力ずくで誘導しない等の適切な対応:平均3.62
 
これらの結果から、現場における倫理観や支援の基本姿勢は高いレベルで浸透していることがうかがえます。
 
 
 
■ 人員不足と業務負担の課題
一方で、組織運営に関する項目では、人員体制と業務負担の両面に課題が見られました。
 
特に、
・利用者数に対して職員数は充足している:平均2.47
・記録や事務作業等の業務負担軽減に取り組んでいる:平均2.98
と、いずれも3.0を下回る、または近い水準となっています。
 
さらに、半数以上(51.1%)の職員が人員不足を実感している結果となりました。
これらの結果から、人員不足に加え、業務負担軽減の取り組みも十分とは言えず、現場における余裕のなさが構造的に生じている可能性が示唆されます。
 
 
 
■ チーム・職員の状態
また、チームや個人の状態に関する項目では、
・職場を「居場所」と感じている:2.99
・利用者満足を実感している:2.94
・体調不良時に適切に休めている:3.05
といった結果が見られ、職員の心理的余裕や組織内コミュニケーションにおいて、一定の課題が見られます。
 
 
 
■ 今後に向けて
今回の調査から、障害福祉の現場においては、職員一人ひとりの高い倫理観と支援意識によってサービスの質が支えられていることが明らかとなりました。
 
一方で、今後は以下のような取り組みが重要となります。
・人員配置や業務負担の見直し
・チーム内コミュニケーションの強化
・職員の心理的安全性の確保
 
個人の努力に依存しすぎない、持続可能な組織体制の構築が求められ、組織的な支援体制の強化が、今後の重要なテーマと考えられます。
 
■ 調査概要
調査期間:2024年11月18日~2026年3月31日
回答数:3,271件 (のべ回答数)
調査対象:障害福祉事業所職員
調査ツール:福祉サーベイQuill   https://fukushisurvey.jp/quill/ 
調査内容:虐待防止および組織体制に関する実態