| ー系統用蓄電池の接続はどう変わる? 次世代電力系統WG第10回で見えた「空押さえ対策」と8月開始の新運用ー |
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| 系統用蓄電池に関する重要情報を無料で公開する専門ニュースサイト「BESS NEWS」はこのたび、2026年4月20日に開催された経済産業省・資源エネルギー庁の「第23回 同時市場の在り方等に関する検討会」について、系統用蓄電池・DER・DR・発電事業者が確認すべき実務論点を整理した号外解説記事、「4月20日開催『第23回 同時市場の在り方等に関する検討会』~市場参加者が確認すべき論点を整理~」を近日公開いたします。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 目次 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 1.BESS NEWSが今回解説するテーマ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 系統用蓄電池に関する重要情報を無料で公開する専門ニュースサイト「BESS NEWS」は、2026年4月20日に開催された経済産業省・資源エネルギー庁の「第23回 同時市場の在り方等に関する検討会」について、系統用蓄電池・DER・DR・発電事業者が確認すべき実務論点を整理した号外解説記事を公開しました。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 今回の会合で扱われた議題は、「電源起動・出力配分ロジックの技術検証(検証A)の進捗報告について」と、「同時市場に関する今後の検討事項について」の2本です。BESS NEWSが注目したのは、単なる検討会速報ではなく、同時市場の議論が制度の大枠から実際の業務設計に近い段階へ進みつつあることです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 同時市場とは、電力量であるkWhだけでなく、周波数や需給のズレを埋めるための調整力、すなわちΔkWも一体的に扱う市場構想です。今の電力市場が「どの発電所を動かすか」「どれだけ出力するか」「送電線が混まないか」「急な変化に備える余力を残すか」を別々に決めている状態だとすれば、同時市場はそれらを一枚の大きな設計図で同時に決めようとする発想です。再エネ増加、売り入札不足、価格高騰、系統混雑の増加などに対応する仕組みとして検討されています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 2.今回の議題はこの2本 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 1つ目の議題は、電源起動・出力配分ロジックの技術検証、いわゆる「検証A」の進捗報告です。今回の資料3で中心的に扱われたのは、自己計画電源等に一定の制約を課すロジックです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 自己計画電源とは、電源等の起動や出力容量下限までの出力を、電源の保有主体が自ら決める電源等を指します。一方、市場計画電源は、起動や出力配分を同時市場の約定結果に委ねる電源等です。一見すると、自己計画電源は「自社で自由に動かせる電源」のように見えますが、系統混雑や需給ひっ迫が起きる場面では、一定の制約を受ける可能性があります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 2つ目の議題は、同時市場に関する今後の検討事項です。資料4では、第二次中間取りまとめを前提に、今後は第1フェーズとして詳細業務設計や技術研究等を進めることが整理されています。検討事項は、前日市場、時間前市場、直前市場、入札・登録、約定、BG計画、API連携、価格規律、取引監視、アップリフト、運営主体、蓄電池・DERなど、非常に広範囲に及びます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 3.今回の会合で確認すべきポイント | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 今回の第23回会合は、同時市場の最終ルールを確定する会ではありません。資料4は、あくまで今後の検討事項を並べた文書です。記載された検討事項は限定列挙ではなく、すべてを第1フェーズで決める想定でもないと整理されています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| そのため、今回の会合は「制度確定の告知」ではなく、実務設計の宿題リストを確認する場として読む必要があります。一方で、検証Aの当初設定項目が完了したことは大きな節目です。今後は、どの市場を開くのか、誰がどの情報を登録するのか、どのロジックで約定するのか、約定結果をどのように計画や精算へ反映するのかが問われます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 実務者にとって重要なのは、「決まったこと」と「これから決めること」を分けて見ることです。開催時刻、入札方法、API連携、価格規律、取引監視、アップリフト、蓄電池・DERの扱いなどは、現時点では今後の検討事項です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 4.開催市場の論点 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 開催市場の論点は、前日市場、時間前市場、直前市場の3層です。前日市場では、現在想定されている午前10時入札締切以外の選択肢も検討対象とされています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 時間前市場については、前日の夕方頃に1回、当日に2回の合計3回程度を基本方向としつつ、開催時刻や開催回数を改めて検討するとされています。ザラバ方式、つまり連続的に売買を突き合わせる方式の市場を開設するかどうかも論点です。直前市場では、1日24回開催するか、48回開催するか、取引対象コマを直前コマだけにするか、終日分まで対象にするかが残論点になっています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| これは単なる会議日程の話ではありません。売買の締切時刻が変われば、発電予測、需要予測、燃料判断、社内承認、システム連携の締切も変わります。特に蓄電池やDRのように時間帯によって価値が変わるリソースにとっては、収益機会に直結する可能性があります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 5.入札・登録の論点 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 入札・登録の論点は、非常に実務的です。売り入札では、発電計画の詳細内容や提出方法、運転パラメータ、運転制約、自己計画電源の登録方法、アグリゲーターや小売電気事業者による売り入札の方法などが検討事項として並んでいます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 買い入札では、量だけを登録できるのか、受電地点の特定が必要なのか、データセンターなどの大規模需要について地点を特定した入札を求めるのかが論点です。大規模需要が特定地域に集中すれば、需給だけでなく、送電線の混雑や系統制約にも影響する可能性があります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 分かりやすく言えば、まだ詰め切れていないのは「誰が、何を、どこまで細かく書いて市場に出すのか」という点です。DERやFIP電源をどのように登録させるかは、将来の市場参加者層を広げるか、狭めるかに直結します。蓄電池やDR、アグリゲーションを扱う事業者にとって、入札単位、登録単位、価格算定方法は、収益モデルそのものに関わる論点です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 6.約定・精算・公表の論点 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 約定とは、どの電源が動き、どれだけ出力し、どの価格で成立するかを決めることです。同時市場では、電力量だけでなく調整力も含めて市場設計が検討されます。そのため約定結果は、単なる売買成立にとどまらず、発電計画、需要調達計画、BG計画、精算、系統運用に関わります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 資料4では、小売・TSO想定需要の扱い、自己計画電源等に一定の制約を課すロジック、調整力の精算方法、差分精算に伴う費用回収、約定結果の通知・公表、調整力価格、BG計画への反映、送電ロスの扱いが検討事項として整理されています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| また、BGとはバランシンググループのことで、計画値同時同量制度の下でインバランスを管理する単位です。GC前の最終時間前市場まで約定結果を反映できるかどうかは、制度だけでなく、実務フロー全体に影響します。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 実務で特に重いのは、専用プラットフォームの構築、API連携、タイムラインの明確化です。API連携が前提になれば、人手で登録する運用よりも、機械連携の品質が競争力になります。約定結果をいつ、どの形式で受け取り、どの計画に反映するのかは、電力取引・需給管理・システム部門に直接関係します。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 7.価格規律・取引監視・アップリフト | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 価格規律では、入札価格の最低価格・最高価格を設けるか、市場価格の上限を設けるか、市場支配力をどう判定するかが論点です。これは、「どの価格で参加できるか」と「その価格が不当と見なされる境界」が別問題だからです。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 取引監視では、監視機関が行う監視の在り方や、同時市場または関係機関が行う市場モニタリングの在り方が検討対象です。将来、特定の時間帯や地点で重要なリソースを保有する事業者が、どのように評価されるかも関係します。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| アップリフトとは、市場価格だけでは回収しきれない起動費などを補う個別補償の仕組みです。補償対象や負担配分、起動に長時間を要する電源の補償費用算定方法は、火力、蓄電池、短時間リソース、長時間リソースの競争条件に影響する可能性があります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 8.周辺制度との接続 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 同時市場は、単独の市場を新設するだけの話ではありません。インバランス制度、容量市場、FIT特例、揚水発電、蓄電池、DER、余力活用契約、広域機関システム、次期中給システムなど、既存制度や他システムとの接続も検討対象です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| インバランス制度については、基本的に現行制度と同様の制度設計を前提に、BGの不足インバランス回避を促す観点から検討するとされています。容量市場リクワイアメントについても、適切な時期に改定が必要とされています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| つまり同時市場は、既存制度の上に単純に後付けされるものではなく、電力実務全体の配線を組み替える論点に近いといえます。市場部門だけでなく、需給運用、システム、法務、会計、規制対応まで横断して確認する必要があります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 9.技術面で最重要の「自己計画電源」論点 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 今回の技術面で最も重要なのは、自己計画電源への「一定の制約」です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 自己計画電源は、起動や出力容量下限までを事業者が自分で決める電源です。市場計画電源は、起動や出力配分を同時市場の約定結果に委ねる電源です。言い換えると、自己計画電源は「一定部分までは自社の計画を優先する電源」、市場計画電源は「市場の約定結果に委ねる電源」です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| ただし、自己計画電源だからといって、常に完全に自由に動かせるとは限りません。安定供給や送電容量制約の観点から真に必要な場合には、自己計画電源も公平に制約に服するべきだと整理されています。制約要否は、原則として一つ前の市場のSCUC結果をもとに判断する方向です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 10.自己計画電源への「一定の制約」 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 今回の資料3では、自己計画電源等に一定の制約を課すロジックが検証されました。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 余剰時には、混雑系統のグループにおける下げ可能量の合計がゼロかどうかを見て、自己計画電源に出力下限解除を求める方向が整理されています。ひっ迫時には、非混雑系統のグループにおける上げ可能量の合計がゼロかどうかを見て、出力上限解除を求める方向が整理されています。言い換えると、「もう他に下げられる電源がない」「もう他に上げられる電源がない」場面では、自己計画電源であっても、市場や系統の都合に応じて動いてもらう可能性があります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| また、LMPベースのクラスタリング手法と、潮流感度ベースの手法も比較されました。LMPベースでは、系統のグルーピングは可能である一方、ループ系統で境界があいまいになるなどの課題があります。一方、潮流感度は、ある地点の出力を変えたときに混雑送電線の潮流が増えるのか、減るのかを見る考え方です。今後の詳細検討は、この潮流感度ベースの手法を土台に進める方向です。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| さらに、DC-OPFを用いることで、自己計画電源を含む出力再配分により系統混雑を解消できるかも検証されています。短時間で処理できれば、次の市場で反映するだけでなく、1回の市場取引の中で自己計画電源に一定の制約を課すことも検討対象になります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 11.市場参加者は何を準備すべきか | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 発電事業者、蓄電池事業者、アグリゲーターは、自社の電源やリソースについて、どの制約が設備由来で、どの制約が契約由来なのかを棚卸ししておく必要があります。物理的に下げられない制約なのか、契約上その出力を維持したいだけなのかでは、今後の扱いが変わる可能性があります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 小売電気事業者や大口需要家は、買い入札で受電地点の特定が必要になるのか、外部調達分の登録がどうなるのか、BG計画への反映がどこまで自動化されるのかを確認する必要があります。特にデータセンターのような大規模需要は、地点情報の扱いが系統混雑や約定結果に影響する可能性があります。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| IT・システム担当者は、専用プラットフォーム、API連携、データ更新頻度、精算処理を早めに確認しておくべきです。実務上は、「どの締切までに」「どの形式で」「どのデータを提出し」「どの結果を受け取り」「どの計画へ反映するのか」が競争条件になります。BESS NEWSでは、同時市場を「まだ先の制度論」としてではなく、系統用蓄電池・DER・DR・再エネ・電力取引の収益モデルや運用設計に関わるテーマとして、今後も一次情報ベースで追いかけていきます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| よくある誤解(Q&Aで短く) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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Q. 4月20日の会合で、同時市場の細目はほぼ決まったのですか。 A. いいえ、決まっていません。資料4は、第1フェーズの検討事項を示した文書であり、検討事項は限定列挙ではなく、すべてを第1フェーズで決める想定でもないと明記しています。 |
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Q. 自己計画電源なら、市場から動かされないのですか。 A. いいえ、そうではありません。第二次中間取りまとめは、真に必要な場合には自己計画電源も公平に制約に服すると整理しています。今回の資料3は、その判定ロジックをさらに技術的に検証しています。 |
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Q. LMP方式でやることが確定したのですか。 A. いいえ、確定していません。今回の技術検証では、今後の詳細検討は潮流感度ベースを土台に進める方向が示されました。LMPクラスタリングは検証されましたが、境界の妥当性などに課題が残るとされました。 |
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| 出典(一次情報のみ) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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出典: 経済産業省・資源エネルギー庁、電力広域的運営推進機関 「第23回 同時市場の在り方等に関する検討会」配布資料 資料1「議事次第」 資料3「電源起動・出力配分ロジックの技術検証(検証A)の進捗報告について」 資料4「同時市場に関する今後の検討事項」 参考資料1「略語の正式名称と用語の定義」 |
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注記: 本記事は、上記の公開資料をもとに、BESS NEWS編集部が系統用蓄電池・DER・DR・電力実務の観点から独自に整理・解説したものです。 |
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| 【BESS NEWS編集部コメント】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 今回のテーマで本当に重要なのは、「早期化」という言葉だけを見て判断しないことです。一次情報が示しているのは、条件が合わない案件に、より早く結論を返せるようにする運用変更であり、系統増強の工期そのものが一律に短くなるという話ではありません。とりわけ高圧案件では、申込み前に上位系統増強を受け入れるか、工事費負担金の上限額をどう置くかという社内判断が、接続検討の入口でこれまで以上に重要になります。BESS NEWSは今後も、制度改正を単なるニュースで終わらせず、現場でそのまま判断材料として使える一次情報ベースの解説を届けていきます。【BESS NEWSについて】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| BESS NEWSは、系統用蓄電池に関する重要情報を無料で公開する専門ニュースサイトです。制度、政策、設置実務、運用、投資判断に関わる情報を、できる限り一次情報に基づいて整理し、事業者、需要家、投資家、自治体関係者が迅速かつ正確に判断できる情報基盤の構築を目指しています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 【BESS NEWSについて】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 今回の第23回検討会で重要なのは、同時市場の議論が、抽象的な制度論から、入札・約定・制約・計画反映・システム連携といった実務設計に近い段階へ進みつつあることです。特に、検証Aの当初設定項目が完了し、今後は業務設計・技術研究会で残る論点を扱うという整理は、電力実務にとって大きな節目です。自己計画電源にも一定の制約がかかる可能性が示され、蓄電池・DERも今後の検討事項として明確に位置づけられています。BESS NEWSでは、同時市場を「将来の市場制度」としてではなく、系統用蓄電池・DER・DR・再エネ・電力取引の収益モデルや運用設計に関わるテーマとして注視しています。今後も、制度改正を単なるニュースで終わらせず、現場でそのまま判断材料として使える一次情報ベースの解説を届けていきます。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| 【公開記事】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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| 【WATT-TUNE株式会社について】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
| WATT-TUNE株式会社は、株式会社テクノロジーズグループである株式会社エコ革の100%子会社です。低圧系統用蓄電池をはじめとする分散型エネルギー領域において、情報発信、事業開発、運用体制の構築を通じ、実務と制度をつなぐ取り組みを進めています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||