この培養技術は、10年以上に及ぶ東京慈恵会医科大学をはじめとした医療機関との共同臨床研究で培ったものです。今後も、がん個別化医療の実現へむけて、当施設は継続的な技術提供でサポートしてまいります。
リゾートトラストグループである株式会社アドバンスト・メディカル・ケア(東京都港区)が運営支援を行う「東京ミッドタウン先端医療研究所(以下:先端医療研究所)」が、樹状細胞ワクチン作製技術で協力している東京慈恵会医科大学らとの共同臨床研究において、Wilms腫瘍遺伝子(WT1)に対する新規多機能型(Neo-WT1)ペプチドを使用した(または用いた治療法である)樹状細胞療法「Neo-WT1樹状細胞療法」を用いた「WT1標的免疫化学療法」は、 外科手術による切除不能と判断された進行膵癌患者10名中7名にて腫瘍の縮小および全身状態の改善が認められ手術が可能となり、そのうち4名は5年以上の長期生存が可能となったことを明らかにしました。今回、これらの長期生存例により、治療効果を予測しうる複数のバイオマーカー候補を同定しました。今後は臨床試験を通じて本治療法の有効性と安全性を検証するとともに、治療前に効果が期待できるかどうかを見極める指標として、バイオマーカーの開発が重要であると考えています。この研究成果は2025年8月26日、東京慈恵会医科大学より厚生労働記者クラブ、 厚生日比谷クラブ、文部科学記者会、科学記者会の記者クラブにて発表されました。
切除不可能と診断された進行膵癌患者10名に「WT1標的免疫化学療法」を実施したところ、7名で膵癌の縮小や病状の安定がみられ、手術が可能となりました。さらに、4名が5年以上の長期生存を達成し、3名は再発・転移なく6年以上の生存を維持しています。
長期に生存した患者では、治療前からWT1に反応する免疫の働き(免疫応答)が認められ、特に「記憶型T細胞(セントラルメモリーCD8+T細胞)」の増加が長期生存と関係している可能性が示されました。また、本治療法ではWT1以外の膵癌抗原にも免疫が反応していることが確認され、WT1に対する免疫応答を有する患者にとって、本治療法が有望な選択肢となる可能性が示唆されました。
本研究の成果は、2025年7月31日に Journal for ImmunoTherapy of Cancer 誌オンライン版に掲載されています。
WT1樹状細胞ワクチンは先端医療研究所内にある無菌状態を厳格に管理された専用の細胞培養加工施設で作製され、GMP基準※に準拠した、衛生管理のもと実施しております。また、日本免疫学会をはじめとする6学会共同で発行している「免疫細胞療法細胞培養ガイドライン」に記載されている基準にのっとり、培養を行っています。この培養技術は、10年以上に及ぶ東京慈恵会医科大学をはじめとした医療機関との共同臨床研究で培ったものです。今後も、がん個別化医療の実現へむけて、当施設は継続的な技術提供でサポートしてまいります。
※GMP基準:WHO(世界保健機構)が規定する医薬品製造の国際規格基準であり、製造管理・品質管理に関する国際的な標準規格です。
細胞培養加工施設 厚生労働省届出施設番号 FC3150488
【東京ミッドタウン先端医療研究所について】
2010年の開所以来、癌免疫細胞療法をはじめとした先端医療分野の治療開発を行い、また2017年以降はゲノム医療に基づいた個別化医療の確立を目指して臨床研究に積極的に取り組んでおります。なかでも大阪大学医学部教授の杉山治夫医師により、開発・特許取得された人工癌抗原「WT1ペプチド」を用いた樹状細胞ワクチン療法にはいち早く着手しています。
また、リゾートトラスト株式会社のグループ企業である株式会社アドバンスト・メディカル・ケアの運営支援により、次世代の医療確立・提供を推進。ミッドタウンクリニックグループの各医療施設との提携によるトータルサポートと、メディカル事業をはじめとした幅広い分野で事業を展開するリゾートトラストグループのノウハウを活かし、患者様お一人おひとりに合わせた医療のご提供を目指しております。
・所在地:〒107-6206 東京都港区赤坂9丁目7−1 ミッドタウン・タワー 6F
田口 淳一東京ミッドタウンクリニック 総院長・健診センター長
東京ミッドタウンクリニック 総院長・健診センター長
1984年 東京大学医学部卒業。1993年 ワシントン大学(シアトル)へ留学。
東京大学医学部附属病院助手、宮内庁侍従職侍医、東海大学医学部付属八王子病院循環器内科准教授を経て、2007年 東京ミッドタウンクリニック院長。2010年 東京ミッドタウン先端医療研究所所長に就任。2020年5月 日本橋室町三井タワー ミッドタウンクリニック総院長に就任。2024年5月 東京ミッドタウンクリニック総院長に就任。
島袋 誠守東京ミッドタウン先端医療研究所 所長
琉球大学医学部附属病院、那覇市立病院、北部地区医師会病院、新古賀病院、豊見城中央病院外科副部長を経て、2015年8月より東京ミッドタウン先端医療研究所に着任。2020年 東京ミッドタウン先端医療研究所 副所長に就任。2024年 東京ミッドタウン先端医療研究所 所長に就任。
リゾートトラストグループのメディカル事業では、「ご一緒します、いい人生」というブランド・アイデンティティのもと、「人生100年時代の健康長寿・ウェルビーイングへの貢献」をスローガンに掲げています。また、「癌で大切な人を亡くさない社会を作りたい」という思いから、癌検診・治療に関わっており、癌治療への取り組みを通じて、より豊かでしあわせな時間(とき)を創造するお手伝いをするとともに、癌治療に新たな光をもたらしていきたいと考えています。
【株式会社アドバンスト・メディカル・ケア】
会員制ホテル事業などを展開するリゾートトラスト株式会社のグループ企業。東京ミッドタウンクリニックをはじめ、全国の医療施設のプロデュースを行い、日本の長寿社会において“より健康に”“より美しく”生きるためのベストソリューションを提案。メディカルサービスだけではなく、医師監修による高付加価値サプリメントや、化粧品開発、さらにフェムテック/フェムケア商品の開発など、積極的に取り組んでいます。
・所在地 :〒107-6206 東京都港区赤坂 9-7-1 ミッドタウン・タワー6F
・主な業務内容:医療施設の運営支援ならびにサプリメント・化粧品の企画、販売など
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本研究はJSPS科研費の助成をうけたものです。