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熊谷市 |
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立正大学 データサイエンス学部 |
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熊谷市サッカー協会 |
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NTT東日本株式会社 埼玉支店 |
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株式会社NTTSportict |
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埼玉県熊谷市(市長:小林 哲也、以下「熊谷市」)と立正大学 データサイエンス学部(学部長:家富 洋)、熊谷市サッカー協会(会長:黒澤 三千夫)、NTT東日本株式会社 埼玉支店(支店長:小池 哲哉、以下「NTT東日本」)、株式会社NTTSportict(代表取締役社長:中村 正敏、以下「NTTSportict」)は、2025年1月17日(金)に締結した「産学官連携による映像分析を用いた地域スポーツ活性化に関する共同研究協定書」に基づき、地域スポーツの振興とスマートシティの推進を目的に、スポーツDXソリューションを活用した共同研究を実施してまいりました。 |
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本実証では、スポーツ専用AIカメラ「STADIUM TUBE※1」および映像分析ソフト「VIDSWAP※2」などのスポーツDXソリューションを活用し、地域スポーツ団体の練習および試合を自動で撮影・解析しました。選手や指導者への分析結果の提供やフィードバックを通じて、戦術理解の深化に加え、チーム全体および選手個々人が注力すべきポイントを明確化し、それを意識した指導・練習の実施につなげる成果が得られました。この実証成果について広く共有し今後の展開を図るため、関係者や立正大学学生および熊谷市民に向けた成果報告会を2025年8月26日(火)に開催しました。 |
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産学官民が連携した地域スポーツDXの先進事例として得られた成果をもとに、今後は熊谷市内外での地域スポーツ団体の利用促進等を検討してまいります。 |
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▼熊谷市スポーツ・文化村「くまぴあ」内 人工芝グラウンドへ設置した |
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スポーツ専用AIカメラ「STADIUM TUBE」および実際の撮影模様 |
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映像分析ソフト「VIDSWAP」による解析結果(イメージ) |
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本協定では、AIカメラおよび映像分析ソフトを活用し、地域スポーツの振興による地域活性化について調査検討することを目的としており、地域スポーツの活性化とともに、熊谷市のスマートシティ化を推進し、地域全体の価値向上をめざし、以下を実施してまいりました。 |
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<協定に基づく取り組み>
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・STEP 1:AIカメラによる映像取得 |
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-熊谷市スポーツ・文化村「くまぴあ」内の人工芝グラウンドへAIカメラ「STADIUM TUBE」を設置し、 |
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撮影に同意をいただいたチームの練習や試合を自動撮影 |
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・STEP 2:目的設定と映像分析 |
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-協力チームの目標を明確化した上で、目標達成に向けて重要となる指標を設定し、映像分析ソフト |
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「VIDSWAP」を活用してパフォーマンスおよび戦術に関するデータを解析し、指標ごとに分析を実施 |
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・STEP 3:フィードバックと効果測定 |
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-立正大学 データサイエンス学部より協力チームの指導者・選手に対して、現状の課題や今後の改善に |
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向けた方策を含む分析結果を複数回にわたり提供。分析結果に基づくフィードバックを行い、取得データ |
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の具体的な活用方法を説明 |
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・STEP 4:ノウハウ共有と活用促進 |
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-立正大学 データサイエンス学部による共同研究協定関係者への分析ノウハウの共有 |
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-実証で使用したスポーツDXソリューションの今後の具体的な活用方法や展開に向けたモデルの検討 |
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開催日時:2025年8月26日(火)14:00~15:00 |
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開催場所:立正大学熊谷キャンパス 19号館(アカデミックキューブ)A204室 |
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主催:熊谷市、立正大学 データサイエンス学部、熊谷市サッカー協会、NTT東日本、NTTSportict |
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出席者:本共同研究関係者、熊谷市民、立正大学学生 |
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<成果報告会における発表内容>
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今回は、熊谷市サッカー協会に所属する「CALIENTE KUMAGAYA」様の試合を、AIカメラ「STADIUM TUBE」で撮影しました。5試合分の映像を映像分析ソフト「VIDSWAP」で解析し、データを取得しました。 |
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事前にチームから伺った目標やプレースタイルをもとに、特に重要と考えられる以下の3つの指標を設定しました。 |
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- セカンドボール回収率(最初のプレー後にこぼれたボールをどれだけ自チームが拾えたか) |
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- デュエル勝率(1対1の競り合いにどれだけ勝てたか) |
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- サイド攻撃の効果(サイドからの攻撃がどれだけチャンスにつながったか) |
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これらの指標についてデータを集計し、分析・考察を行った上で、チームへフィードバックを提供しました。 |
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・分析1.:設定した指標と試合結果との関係性 |
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映像と収集したデータを活用してプレーの質を可視化し、戦術面の強み・課題・改善点を明らかにしました。 |
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■セカンドボール回収率 |
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セカンドボールの回収率は平均41.5%と相手チームより17%低く、直近3試合ではさらに低下。セカンド |
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ボール回収後のパス成功率は相手チームと互角ながら、どれだけ効果的に前方へボールを運べたかを示す前進 |
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成功率は18.5%と低く、攻撃への展開力に課題があることが分かりました。一方で、セカンドボール回収後の1本目のパス成功率は安定しており、ボール保持力には一定の強みが見られました。 |
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■デュエル勝率 |
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ピッチを自陣・中央・相手陣の3エリアに分けて勝率を比較した結果、中央エリアでのデュエル勝率が高い試合 |
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ほど勝利傾向が強く、逆に低い試合では敗北や引き分けが多いことが判明しました。地上戦の勝率が32%以 |
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下と低い一方で、セットプレー(コーナーキック・フリーキック)でのデュエル勝率は60%以上と高く、空中戦に強 |
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いというチームの特性が確認されました。 |
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■サイド攻撃の効果 |
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セットプレーの成功率は高水準で、コーナーキック47%、フリーキック83%と、得点チャンスに直結する強みが確 |
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認されました。通常のクロスの成功率は26%と低く、ゴール前に入る選手との連携のズレが課題ですが、 |
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クロスの質自体は良好であり、サイド選手の精度向上によって得点力強化が期待されます。 |
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映像分析ソフト「VIDSWAP」で取得したデータの活用 ・映像分析ソフト「VIDSWAP」の画面 |
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・分析2.:生成AIを活用した戦術分析 |
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生成AIを活用し、チームのプレースタイルや戦術的な課題を客観的に可視化しました。 |
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主成分分析(PCA)※3とクラスタリング※4を用いて攻撃性や効率性などの指標を抽出し、チームの傾向を分類・評価しました。分析の結果、対象チームは「慎重かつ堅実」「効率的」といったスタイルで善戦する傾向があり、限られたチャンスを確実に活かす力や接戦で粘り強く戦えるという強みが確認されました。一方で、「整理された戦術型」の相手には苦戦する傾向が見られ、戦術の幅を広げる必要性が明らかになりました。 |
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これらの分析結果は、チームの戦術設計や育成方針の見直しに活用できる貴重な材料となります。 |
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※3.主成分分析(PCA):多くのデータから特徴を抽出し、情報を圧縮する統計手法 |
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※4.クラスタリング:データを似た傾向ごとにグループ分けする分析手法 |
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本共同研究関係者の集合写真 |
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成果報告会当日の模様 |
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<関係者コメント:CALIENTE KUMAGAYA選手の方より>
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今回の分析を通じて、これまで感覚的に捉えていたチームの課題が明確になり、選手全員で共有できたことは非常に大きな成果でした。選手として感じていた改善点を言語化して相手に伝える難しさがありましたが、分析結果によりチームとしての方向性が定まり、共通認識を持って取り組めるようになりました。その結果、練習試合では8戦中6勝1敗1分と好成績を収めています。9月から始まる後半戦に向けて、この取り組みを糧に、一部リーグ昇格という目標に向かって全力で挑んでいきます。 |
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3. 各者の役割 |
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熊谷市 |
・本取り組みの運営主体 ・実施フィールドの提供 |
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立正大学データサイエンス学部 |
・地域スポーツ団体とのデータ活用目的および目標の設定 ・映像分析ソフト等による分析および地域スポーツ団体へのフィードバック ・分析ノウハウの共有と取得、データの活用方法のレクチャー等 |
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熊谷市サッカー協会 |
・協力チームの調整 ・AIカメラで撮影した試合の映像データ提供 |
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NTT東日本 |
・本取り組みのプロジェクトマネジメント ・映像分析ソフトの準備 ・ネットワーク環境の構築とAIカメラや映像分析ソフト等の接続および設定 ・地域スポーツ向けの新たなサービスの検討 |
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NTTSportict |
・AIカメラの機材および配信サイトの提供、導入時の運用レクチャー ・AIカメラの機材および配信サイトや映像分析ソフト利用時のオンラインサポート ・地域スポーツ向けの新たなサービス検討 |
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4.実証の成果(今後の展望) |
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協力チームへのアンケート結果から、選手たちの意識や行動に前向きな変化が見られました。課題が明確になったことで練習の質が高まり、実践内容にも良い影響が表れています。実際に練習試合では好成績を収め、選手の意識やモチベーションの向上もみられました。データや映像は、地域スポーツに関わるすべての人が立場や役割を超えて共通の視点で対話を進めるための“共通言語”となり、地域スポーツの活性化に大きく貢献する可能性を示しているといえます。 |
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発表資料より抜粋 |
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|
発表資料より抜粋 |
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1. |
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本実証で得られた成果をもとに、熊谷市ではスポーツDXの導入を通じた地域スポーツの活性化およびスマートシティの推進に向けた取り組みを検討します。立正大学 データサイエンス学部では教育・研究への応用を進め、データを扱える人材育成に取り組み、熊谷市サッカー協会では、あらゆるスポーツへの展開を視野に入れながらスポーツDXを広める取り組みとして活かしてまいります。NTT東日本およびNTTSportictは、地域スポーツ向けの新たなサービス展開に向けた検討を進め、他地域への展開も視野に入れています。 |
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2. |
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今後も産学官民の連携による地域活性化モデルとして、さらなる発展をめざし、取り組んでまいります。 |
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