~カスタマーサポートや接客スタッフへの不満がネット上で多数投稿される結果に~
AI与信管理サービスを提供するアラームボックス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:武田浩和、以下「当社」)は、この度、11,230社を対象に、2025年上半期にSNS等インターネット上で投稿された各企業に関連する口コミや評判の中から悪評・クレームを抽出し「2025年上半期 インターネット上で悪評・クレームが多い上位10業種」を集計しましたので発表します。また、業界ごとの悪評・クレームの内容を解析し、頻出単語の集計をしましたので合わせて発表します。
 
◆2025年上半期 インターネット上で悪評・クレームが多い上位10業種
ランキング表
◆調査背景
スマートフォンやSNSの普及に伴い、誰でも手軽に情報の発信や収集が行える時代となりました。消費者庁が発表した「消費者意識基本調査(※4)」によると、様々な情報収集手段がある中でSNSを情報収集目的で活用している人が84.1%と最も多いことから、多くの人がSNSから情報を得ていることがわかります。このことから、企業はSNSやインターネット上にある悪評やクレームなどの書き込みが事業に悪影響を与えないよう、適切なレピュテーションマネジメントを行い、社会からの評判を維持・向上させる必要があると言えます。
 
これらを背景として、アラームボックスは、AI与信管理サービス「アラームボックス」の提供を通して得た膨大なネット上の口コミから、インターネット上で悪評・クレームが多い業種やその口コミの傾向を定点調査しています。社会情勢と悪評・クレームの関係性の考察や、クレームに頻出する単語を発表することで、企業がレピュテーションマネジメントに取り組むきっかけとなること、企業活動や与信管理における定性情報の重要性と活用法を啓発していくことを目的として、本調査の実施と発表に至りました。
 
※4:消費者庁 2022年6月7日「消費者意識基本調査」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/research_report/survey_002/assets/survey_002_220607_0005.pdf
 
 
◆主な調査結果(サマリー)
ネット上に存在する口コミなどの定性情報を業種別に分析したところ、ECを展開する無店舗小売業で悪評・クレームの投稿数が最も多い結果となりました。、悪評・クレームの内容としては、「配送が来ない」「問い合わせに返信がない」など、注文後の状況が見えないことへの不満が顕著でした。通信業や放送業では、解約・契約手続きやサポート対応に関する悪評・クレームが多く、電話が繋がらない、連絡が来ないといったカスタマーサポートへの不満が目立ちました。 医療・飲食・宿泊といった対面型サービスでは、接客の質や説明不足への悪評・クレームが多く、繁忙期における人手不足や経験の浅いスタッフによる対応が影響していると考えられます。全体として、生活に密着したサービス業種において、「対応の遅れ」や「連絡がつかない」ことを原因とする悪評・クレームが多く見られた点が、今回の特徴でした。
 
・EC(通販事業)
EC(通販事業)においては、配送の遅延や返品・交換対応の遅さ、問い合わせへの未返信など、対応面への不満が多く見られました。特に、注文後の状況が把握できないことへの不安や不信感が、悪評・クレームとして投稿される傾向が強くなっています。
 
・通信、放送
通信業では、解約やサポート対応に関する不満が多く、「電話が繋がらない」「対応が遅い」といった声が多く見られました。放送業ではケーブルテレビに対する悪評・クレームが中心で、契約内容の齟齬や工事連絡の遅れ、ネット接続の不具合に関するトラブルが多く見られました。
 
・小売(店舗販売)
店舗販売を行う小売業では、接客態度や商品知識の不足に関する不満が多く、「説明が不十分」「質問に答えられない」といった声が目立ちました。専門性が求められる業態において、その期待に応えられない対応が悪評・クレームにつながっている状況が多く見られました。
 
・医療業
美容クリニックでは予約の取りづらさや接客態度への不満、一般病院では受付対応や診療の雑さに関する悪評・クレームが多く見られました。
 
・飲食店
飲食店では、料理の提供速度や味に対する不満に加え、スタッフの接客態度や予約管理など店舗運営の不備に関する悪評・クレームが目立ちました。
 
・宿泊業 
宿泊業では、設備の老朽化や清掃の不備、スタッフの対応に関する不満が多く見られました。特に、人手不足の影響とみられる対応の遅れが目立ち、施設の稼働率上昇にオペレーションが追いついていない状況が悪評・クレームにつながっていました。
 
・持ち帰り・配達飲食サービス
持ち帰り・配達飲食サービスでは、勝手なキャンセルや配達遅延、問い合わせへの未返信など、非対面でのやり取りに関するトラブルが多く見られました。
 
◆調査結果詳細
1位 無店舗小売業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:7.33件
主な事業:通販事業
過去の調査に引き続き、通販事業を専門とする無店舗小売業が1位となりました。多くの事業者がネット上で複数のECサイトを運営しており顧客との接点が多いことから、ネット上の悪評・クレームの平均件数が引き続き最多となっています。
商品に対する不満としては、傷や汚れ、不良品、説明と異なる素材やサイズ感などの指摘が多く、品質や表示への信頼を損ねる内容が多く見られました。一方で、悪評・クレーム全体の中でも特に多かったのが、注文後に連絡が取れない、返信が遅い、返品・交換がスムーズに進まないといった“対応面”への不満です。発送に関する投稿も多く見られましたが、それ以上に、連絡の遅さや対応の不透明さがユーザーの不満を高める要因となっていました。発送予定や対応の見通しなどを適切に伝えることは、顧客の不安を和らげ、不要な悪評・クレームを防ぐ上でも重要であるといえます。
〈無店舗小売業の悪評・クレーム頻出単語〉
※名詞のみを抽出
 
2位 通信業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:4.86件
主な事業: 携帯キャリア、ネット回線サービス、プロバイダ代理販売店など
通信業のクレームでは、問い合わせやサポート対応に関する不満が多く見受けられました。近年、多くの通信事業者がサポートのオンライン化を進めていますが、「電話がつながらない」「チャットやメールでやり取りしたが解決しなかった」といった声が多く、オンライン対応の体制が、連絡の取りづらさや対応の遅さといったコミュニケーション上の不満に繋がっていました。
特に、解約や契約内容の変更といった重要な手続きにおいてスムーズなやり取りができないことに対して、強いストレスを感じている投稿が多く見られました。また、「契約内容と請求が一致しない」「契約前の説明が不十分だった」といった、料金や契約に関する悪評・クレームも目立っており、手続きや支払いに関する情報提供の不足が、ユーザーに不信感を与える結果となりました。
〈通信業の悪評・クレーム頻出単語〉
※名詞のみを抽出
 
3位 各種商品小売業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:4.63件
主な事業:百貨店や総合スーパーなど、衣食住にわたる各種商品を一括して販売する小売業など
百貨店や総合スーパーの接客対応に関する悪評・クレームが、引き続き多く見られました。特に、「店員が高圧的だった」「明らかにやる気がない」といった、店員の態度や言動に対する不満が目立ちました。また、商品に関しても「包装が雑」「「箱がつぶれていた」「思っていた品質ではなかった」といった声があり、特にギフト対応や百貨店ブランドに対する期待とのギャップが、悪評・クレームに繋がる要因となっていました。
さらに、近年は店舗だけでなくオンラインショップを運営するケースも増えており、非対面での対応機会が拡大しています。その中で、「問い合わせに返答がない」「指定した配達日に届かない」といった、対応の煩雑さに関する指摘も複数確認されました。
〈各種商品小売業の悪評・クレーム頻出単語〉
 
※名詞のみを抽出
 
4位 医療業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:4.35件
主な事業:病院、美容クリニック、歯科矯正、医療脱毛など
医療業の悪評・クレームは、対応や態度に関連する内容が最も多く、次いで施術内容や予約関連の投稿が多く確認されました。また、美容クリニックと一般病院・診療所で傾向が異なり、美容クリニックでは、施術や対応に関する投稿が多く、「看護師や医師の態度が悪い」「施術が雑」などの声が多く見られました。また、「予約が取れない」「待ち時間が長い」といった予約に関する不満も多数寄せられていました。一般病院や診療所に関しては、「受付が高圧的」「説明が簡素」「診療が一方的に終わる」といった内容が繰り返し投稿されており、受付や診療時の対応に関する記述が中心となっていました。
〈医療業の悪評・クレーム頻出単語〉
 
※名詞のみを抽出
 
5位 飲食店:1社あたりの平均悪評・クレーム数:4.08件
主な事業:レストラン、専門料理店、酒場、喫茶店など
飲食店に関するクレームでは、料理そのものに対する不満が最も多く、「味が薄い」「量が少ない」「価格と釣り合わない」といった投稿が多く見られました。次に多かったのは、注文や提供、予約に関する内容で、「予約していたのに待たされた」「注文が通っていなかった」「料理の提供が遅い」といったオペレーションに関する指摘が複数寄せられていました。また、接客やスタッフの態度に関する投稿も一定数見られ、サービス全体への期待とのギャップが悪評・クレームに繋がる傾向が見られました。
〈飲食店の悪評・クレーム頻出単語〉
 
※名詞のみを抽出
 
6位 宿泊業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.78件
主な事業:旅館、ホテル
宿泊業に関するクレームでは、部屋の老朽化や清掃不備、スタッフの対応、施設の混雑など、宿泊体験の根幹に関わる不満が多く見られました。特に、「設備が古い」「清掃が不十分」といった投稿が多く、施設の維持管理に十分な投資が行き届いていない状況がうかがえます。また、チェックインや朝食会場、大浴場の混雑に関する声も複数寄せられており、観光客の急増によるオーバーツーリズム的な課題が一因となっているケースも見受けられました。こうした背景には、人手不足により清掃や接客、混雑対応といった基本業務が十分に機能していないという、宿泊業界全体が抱える構造的な問題があると考えられます。。
〈宿泊業の悪評・クレーム頻出単語〉
※名詞のみを抽出
 
7位 放送業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.58件
主な事業:有線テレビジョン放送業(ケーブルテレビ)、民間テレビジョン放送業(地上波)
放送業に関する悪評・クレームは、そのほとんどがケーブルテレビ事業者に集中しており、中でも「問い合わせの電話がつながらない」「契約時の説明不足で思ったより料金を取られた」といった不満が最多でした。さらに、「解約がスムーズにできないせいで引っ越し後も料金を払わされた」といった声も多く、手続きの不透明さや対応の遅さに対する声が多く見られました。また、ケーブルテレビに付随するインターネット回線サービスに対する不満も目立ち、「工事が予定通りに進まない」「連絡が来ない」といった投稿が多く見られ、通信インフラとしての期待に応えられていない現状がうかがえます。
〈放送業の悪評・クレーム頻出単語〉
 
※名詞のみを抽出
 
8位 その他の小売業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.55件
主な事業: 書店、ホビー販売店、スポーツ用品、化粧品、インテリア用品などの小売店
その他の小売業では、ECと実店舗それぞれに特徴的なクレームが寄せられました。ECに関しては、「不良品が届いた」「商品の状態が記載と異なる」といった商品品質に関する投稿が多く見られ、特に中古商品やコスメなど、商品の状態が重要となる商材に対しての不満が目立ちました。また、「梱包が簡素すぎる」「返品対応が遅い」といった、対応面への不満も確認されました。
一方、実店舗においては、スタッフの接客態度や商品知識に関する投稿が複数寄せられ、「説明が曖昧だった」「態度が冷たい」といった声が見られました。専門店が多い業種であることから、商品への理解や丁寧な接客を期待する顧客との間にギャップが生じ、悪評・クレームにつながっていると考えられます。
〈その他の小売業の悪評・クレーム頻出単語〉
 
※名詞のみを抽出
 
9位 飲食料品小売業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.45件
主な事業:コンビニ、健康食品販売、食品スーパーなど
飲食料品小売業では、ECと実店舗でクレーム内容に違いが見られました。EC系企業では「商品が写真と違う」「品質が悪い」といった商品面の不満に加え、「発送連絡がない」「返品対応が遅い」といった、連絡・対応面への不満が多数寄せられていました。一方、コンビニなどの店舗系では、店員の接客態度や説明不足に対する指摘が目立ちました。特にレジ対応に関するトラブルが多く、顧客への声かけや案内が不十分だったことが、クレームに発展しているケースも見受けられました。
〈飲食料品小売業の悪評・クレーム頻出単語〉
 
※名詞のみを抽出
 
 
10位:持ち帰り・配達飲食サービス業:1社あたりの平均悪評・クレーム数:3.44件
主な事業:仕出し料理、弁当屋、フードデリバリー、給食・配食サービスなど
持ち帰り・配達飲食サービス業では、「連絡がつかないまま注文が勝手にキャンセルされた」「返金されない」といったトラブルが多数見られました。配達では配達員と顧客との間での認識のずれが生じるケースや、持ち帰りでは注文が正しく反映されていないケースなど、対面・非対面を問わず、注文から受け渡しまでのプロセスにおいて、多くの不満が発生していました。また、問題発生後の問い合わせに対して「返信がない」「責任の所在が不明確」といった対応面での悪評・クレームも頻出しており、注文後のフォロー体制が十分に整っていないことが原因となっていると考えられます。
〈持ち帰り・配達飲食サービス業の悪評・クレーム頻出単語〉
 
※名詞のみを抽出
 
◆考察
今回の調査では、EC、通信、医療、飲食など、生活に密着したサービス業種において、悪評・クレームの発生が特に目立つ結果となりました。これは、コロナ禍を経て買い物・外出・対面接客などの生活様式が戻り、利用機会が再び増加する中で、消費者の期待水準が高まっていることが背景にあると考えられます。さらに、オンライン対応が中心となっている業種では、問い合わせへの未返信や、注文後の状況が把握できないといったケースが多く見られ、企業との接点が見えづらいことが顧客の不安につながっている点も特徴的です。これらは「商品やサービスが届くかどうか」だけでなく、「企業が対応してくれるか」という信頼面への懸念が強まっていることを示しています。
 
また、対面型業種では接客対応の質に関する悪評・クレームが多く見られました。宿泊業や飲食業では、スタッフの対応の遅さや接客態度への不満が多く寄せられましたが、これは単なる現場レベルの問題にとどまらず、業界全体の人手不足がサービス品質に影響を及ぼしていることが一因と見られます。特に最近では、単発・短時間で働ける“隙間バイト”の普及により、十分な現場経験や商品理解を持たないまま接客にあたるケースも見られ、こうしたことが対応力の低下や説明不足といった悪評・クレームの増加に繋がっている可能性もあります。
 
このような悪評・クレームは、単なる一時的なトラブルにとどまらず、企業の運営体制や顧客との信頼関係に起因する、中長期的なリスクを示唆する情報でもあります。財務指標や公開情報だけでは把握しきれない兆候を捉えるうえで、ネット上の声を含む定性情報は、取引先の実態をより深く理解するための重要な補完手段となります。
 
今後は、こうした悪評・クレームを自社の改善に活かすだけでなく、取引先の経営状態の把握にも活用し、リスクの早期察知とレピュテーション管理の強化を両立させる視点が求められます。
 
◆調査概要
調査期間:2025年1月1日~2025年6月30日
対象企業:アラームボックスでモニタリングしていた企業のうち、11,230社
対象データ:インターネット上に投稿された口コミのうち、アラームボックスが「悪評・クレーム」と分類したもの
 
◆アラームボックス株式会社
AI与信管理クラウドサービス「アラームボックス」( https://alarmbox.jp  )は、企業や自治体のHPに掲載された情報や、SNSや口コミなどインターネット上で投稿された情報をAI技術で収集・解析し、提供するクラウドサービスです。新規取引時の与信判断、既存取引先の継続的な与信管理、さらに売掛保証までを一括して行うことができます。収集・判断の難しいネット上の情報を、与信への影響度を診断したうえで提供するため、インターネット上の情報を活用した高精度な与信管理を、簡単に、低価格で導入できます。それにより、取引先の情報収集に関わる業務負荷を大幅に削減し、スマートフォンやPCから取引先を登録しておくだけで、迅速にリスクに対応できます。
 
◆会社概要
代表者:代表取締役社長 武田 浩和          
所在地:東京都新宿区市谷本村町3-22          
設立 :2016年6月                        
資本金:340,200千円
事業内容:与信調査サービス、売掛保証サービス、事業用物件専門の家賃保証
企業サイト: https://alarmbox.co.jp
サービスサイト: https://alarmbox.jp