最大200万円もらえるのに…断熱リフォーム補助金の利用率が低すぎる理由
 
 
年々厳しさを増す猛暑。冷房をつけても効かない、光熱費がかさむ…そんな声が増えています。リフォーム一括見積もりサービスを行うメディア「アンドリフォーム」が全国1,016名のリフォーム経験者を対象に行った調査で、この猛暑のなか断熱リフォームに高い関心を持ちながらも補助金の利用や制度認知が低いという現状が明らかになりました。
 
酷暑中で高まる断熱リフォームへの関心と、補助金の低い認知度
まずは、断熱リフォームへの関心についての質問を行ったところ、8割を超える人が断熱リフォームに関心があるという結果になりました。昨今の温暖化、猛暑化を考えると当然の結果なのかもしれません。
では、実際に断熱リフォームを実施した人に対して、補助金の利用状況について調査を行なったところ、利用したのはわずか2割にとどまっているという結果になりました。
 
その背景には「制度を知らなかった」という理由が大きく、実際に利用しなかった人の約7割がこの認知不足によるものでした。せっかくの支援制度があっても周知が行き届いておらず、多くの人が機会を逃しているのが現状です。
リフォームに関する補助金制度の概要
2025年度、環境省・国土交通省・経済産業省が連携して推進する「住宅省エネ2025キャンペーン」では、住宅の断熱改修や省エネ化を支援する多様な補助金制度が用意されています。
 
・既存住宅の断熱リフォーム支援事業(戸建て:最大120万円/戸、集合住宅:15万円/戸)
・長期優良住宅化リフォーム推進事業(最大210万円)
・次世代省エネ建材の実証支援事業(最大400万円)
・住宅エコリフォーム推進事業(最大35万円)
 
これだけ充実した制度があるにも関わらず、あまり一般家庭でのリフォーム補助金の活用率は高くありません。実際にリフォームをしたけど、補助金を活用しなかった人に利用しなかった理由を聞きました。
利用しなかった理由としては、「制度を知らなかった」が43.4%と、最も多く挙げられました。
次いで、「手続きが面倒そう」が18.9%、「対象になるかわからない」が12.9%となっており、全体的に制度自体を十分に理解していないことに起因する声が目立ちます。
「猛暑国」日本で高まる断熱性能への不満
年々厳しさを増す猛暑。冷房をつけても暑さが和らがないと感じる人も少なくありません。実際に、今の住まいの断熱性にどれほど不満を持っているのかを調査しました。
結果を見ると、実に4人に3人以上が「断熱性に不満を感じている」と回答しています。特に「多少感じている」が半数を占め、「とても感じている」人も4人に1人と少なくありません。一方で「不満を感じない」と答えた人は2割強にとどまり、多くの人が住まいの暑さや寒さに悩まされている実態が浮き彫りとなりました。
 
断熱に不満を感じている人が多い中で、実際に「どの部分に問題を感じているのか」を詳しく聞いてみました。窓や壁、さらには冷暖房の効きや光熱費など、暮らしに直結するポイントに注目が集まりました。
断熱の不満で最も多かったのは『窓』でした。窓は壁に比べて熱の出入りが大きく、夏は冷房の効きが悪くなり、冬は暖房を入れても冷えやすい場所です。そのため光熱費が増える直接の要因になっていると考えられます。結果を見ると、最も多かったのは「窓」に関する不満で、すきま風や日差しによる暑さ・寒さを強く感じる人が目立ちました。次いで「壁・床・天井」の冷えや暑さへの不満も多く、断熱性能の不足が住まい全体の快適性を損なっていることがわかります。また、冷暖房の効きにくさや高い光熱費を挙げる声も多く、断熱改善が省エネや生活コストの観点でも重要であることが浮き彫りになりました。
 
これらはすべて補助金制度の対象工事に該当します。アンケート結果からは「制度を知らなかった」「対象になるかわからない」といった、情報不足に起因する声が多く寄せられ、制度利用の大きな障壁となっている実態が明らかになりました。アンドリフォームの以下の記事では、こうした制度の概要や申請の流れ、専門家による知見、対象工事の具体例を整理し、わかりやすく紹介しています。
詳細記事:
2025年版|断熱リフォームで利用できる補助金について徹底解説
断熱リフォームに活用できる代表的な制度
例えば、断熱リフォームに活用できる代表的な制度のひとつに「先進的窓リノベ2025事業」があります。高性能な窓やガラスへの交換を行うことで、戸建て・集合住宅を問わず最大200万円の補助を受けることが可能です。
 
また「子育てグリーン住宅支援事業」では、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、省エネ改修やバリアフリー工事などで最大60万円が交付されます。
 
さらに、「既存住宅の断熱リフォーム支援事業」では戸建て最大120万円、集合住宅最大15万円、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では最大210万円、「次世代省エネ建材の実証支援事業」では最大400万円、「住宅エコリフォーム推進事業」では最大35万円と、目的や工事規模に応じて多様なな選択肢が用意されています。
 
対象工事は窓や玄関ドアの断熱改修、壁・天井・床への断熱材追加、屋根の遮熱改修、床下断熱など幅広く、いずれもアンケートで不満の声が多かった「窓のすきま風」「壁や天井の冷え・暑さ」「光熱費の高さ」などの解消につながります。
 
最後に
本調査は、関心の高さと制度利用や認知の低さというギャップを浮き彫りにしました。つまり今後、制度の周知や申請サポートの充実を図ることで、より多くの住宅が快適かつ省エネな環境へと住宅改修が活発化することが見込まれるでしょう。当社は引き続き、断熱リフォームに関する正確でわかりやすい情報を提供し、補助金を活用した快適で安心な住環境づくりを一層後押ししてまいります。
 
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:リフォーム経験のある全国の一般ユーザー
・回答数:1,016件
・実施時期:2025年
・調査実施者:アンドリフォーム運営事務局