2025(令和7)年 8月 12日国立大学法人岡山大学

•次世代の説明可能AI「拡張型自由エネルギーモデル」で、磁性材料のエネルギー損失の原因を明らかにしました。•実用材料である無方向性電磁鋼板を対象に、損失の原因を顕微鏡画像上で直接「見える化」することに成功しました。•トポロジーと熱力学の融合で、環境エネルギー材料を解析する汎用的なAI技術を創出しました。

次世代の説明可能AI「拡張型自由エネルギーモデル」で、磁性材料のエネルギー損失の原因を明らかにしました。

実用材料である無方向性電磁鋼板を対象に、損失の原因を顕微鏡画像上で直接「見える化」することに成功しました。

トポロジーと熱力学の融合で、環境エネルギー材料を解析する汎用的なAI技術を創出しました。

東京理科大学 先進工学部 マテリアル創成工学科の谷脇三千輝 氏(2024年度修士課程修了)、小嗣真人教授らの研究グループは、次世代の説明可能AI「拡張型自由エネルギーモデル」を用いて、実際の磁性材料のエネルギー損失の原因を明らかにしました。電気自動車(EV)の心臓部であるモーターでは、磁性材料が発生する「エネルギー損失(鉄損)」が、大きな効率低下の原因となっています。この損失はモーター全体の約30%を占め、世界規模では年間約6億トンのCO2排出に相当する深刻な課題です。しかしこれまで、その損失のメカニズムは詳しく解明されておらず、材料設計のボトルネックとなっていました。そこで本研究では、モーターに広く使われる無方向性電磁鋼板(NOES)を対象に、次世代の説明可能AI「拡張型自由エネルギーモデル」を用いて解析しました。本モデルは、数学のトポロジーと熱力学の自由エネルギーの概念を組み合わせて、構造―機能―因果をホワイトボックス的に接続できるモデルです。解析の結果、エネルギー損失が増大する場所を、顕微鏡画像上に可視化することができました。特に、これまで一括りにされてきた複雑な磁壁の役割を見分けて、その位置を「見える化」することに、世界で初めて成功しました。これは、実際の材料に潜んでいた知見を引き出す、新たなアプローチとなります。今回の手法は、物理とデータ科学を融合した次世代の説明可能AIであり、「AI for Science(AI4Science)」を象徴する技術です。熱力学の汎用性を活かして、磁性材料に限らず、半導体デバイスや電池材料など、多様な環境エネルギー材料への展開も期待されます。今後はエネルギー利用の最適化を通じて、未来社会の実現に貢献していきます。本研究成果は、2025年7月15日に国際学術誌『Scientific Reports』に、オンライン掲載されました。

URL:https://www.nature.com/articles/s41598-025-00357-z※本研究の一部は、日本学術振興会(KAKENHI)科学研究費助成事業(A)(21H04656)、文部科学省革新的パワーエレクトロニクス創出基盤技術研究開発事業(助成番号 JPJ009777)、および科学技術振興機構(JST-CREST・助成番号 JPMJCR21O1)の助成を受けて実施したものです。

Alexandre Lira Foggiatto 東京理科大学 先進工学部 マテリアル創成工学科  助教

三俣千春 筑波大学 数理物質系 教授、東京理科大学 マテリアル創成工学科  客員教授

大林一平 岡山大学 学術研究院 異分野融合教育研究領域(AI・数理) 教授

Sepehri Amin Hossein 物質材料研究機構 磁性・スピントロニクス材料研究センター グループリーダー

大久保忠勝 物質材料研究機構 磁性・スピントロニクス材料研究センター 副センター長

小嗣真人 東京理科大学 先進工学部 マテリアル創成工学科 教授

◆本件お問い合わせ先<研究に関する問い合わせ先>東京理科大学 先進工学部 マテリアル創成工学科 教授 小嗣真人<報道・広報に関する問い合わせ先>東京理科大学 経営企画部 広報課TEL:03-5228-8107

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階TEL:086-251-8463E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp※ ◎を@に置き換えて下さいhttps://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください

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