訪日外国人のモノ消費はインバウンドをきっかけにアウトバウンドへ
5カ国共通で帰国後も購入したい商品1位「お菓子」2位「化粧品・美容用品」3位「食品」旅マエから購入を決定する「ブランド指名型商品」、旅ナカで決定する「カテゴリー指名型商品」「出会い型商品」の特性理解が重要
株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:名倉健司、以下 博報堂)は、世の中の関心が高まっている「訪日外国人のインバウンド消費」に着目し、インバウンドのチャンスを掴み、企業の売上拡大に貢献すること、およびインバウンドをきっかけにアウトバウンドへと繋げ、企業のビジネス拡大に貢献することを目的とした「博報堂クロスバウンド・ビジネス・ラボ」を立ち上げました。
ラボでは近年訪日外客数の多い5カ国(中国・韓国・アメリカ・タイ・インド)について、改めて「訪日外国人のモノ消費」をテーマに調査を実施。調査結果からは、国別のインバウンド攻略への手掛かりとなる購買実態や、インバウンド消費を各国国内での消費(アウトバウンド)へと繋げ、企業のビジネスを拡大するためのヒントが見えてきました。
【調査結果サマリー】
1. 日本旅行中に購入したもの:各国のインバウンド顧客の購買商品カテゴリーは異なり、その特性を踏まえることが必須。
5カ国全体ではお菓子、化粧品・美容用品、食品が上位に。
各国それぞれでは、全体平均よりも高く特徴的なカテゴリーが存在。例えば、中国のグッズ(アイドル・キャラクターなど)、韓国のお菓子、化粧品・美容用品、アメリカの洋服、インドのバッグ、ジュエリー・アクセサリーなど。
一方で中国のお菓子、韓国の洋服など全体よりも低い項目も見られる。
 
2. 購入決定のタイミング:〈買う〉を決めるタイミングに違いが。「ブランド指名型商品」「カテゴリー指名型商品」「出会い型商品」の違いを理解し、それに対応するコミュニケーション設計が重要。
化粧品・美容用品、薬は旅マエにブランドまで決めてくる「ブランド指名型商品」。
家電・電子製品、洋服、ジュエリーは旅マエから購入することは決めているものの、購入する商品・ブランドは訪日してから決める「カテゴリー指名型商品」。
食品、お菓子は旅ナカで決定することも多い「出会い型商品」。
 
3. 次回来た時に買いたいもの:次回訪日時にはさらに広い商品選択の意向あり。ジュエリー・アクセサリー、バッグ、伝統工芸品、健康食品、雑貨、家電・電子製品などが高く、新しい商機の可能性も。
今回買わなかったが次回は購入したいものについて、5カ国全体では、ジュエリー・アクセサリー、バッグ、伝統工芸品、健康食品、雑貨、家電・電子製品などが比較的高い数値に。
国別で違いがあり、前回日本で購入したものとは異なる新たなカテゴリーにも関心が高まっていることがうかがえる。
帰国後も継続購入したいもの:日本で買ってもらって終わりではない。自国に帰った後にも買ってもらえるチャンスが。
日本へ行くかどうかに限らず帰国後も継続購入したいと思う商品について、5カ国全体では、お菓子、化粧品・美容用品、食品、グッズ(アイドル・アニメ・キャラクター等)、お酒が比較的高く、次いで健康食品、洋服、薬が並ぶ。
継続購入したい理由としては、化粧品・美容用品、洋服、お菓子などは品質、お菓子、洋服はコスパの良さなどが評価され継続利用意向が高くなっている。
 
【調査概要】
○調査名:5カ国インバウンド顧客購買意識調査
〇調査手法:インターネットリサーチ
〇調査地域:5カ国 中国・韓国・アメリカ・タイ・インド
○実施期間:
中国:  2025 年 3/14-3/24 及び6/25-6/30
韓国:  2025 年 3/14-3/24
アメリカ:2025 年 3/14-3/24
タイ:  2025 年 3/17-3/25
インド: 2025 年 3/18-3/26
○調査対象:
スクリーニング調査・本調査ともに男女20歳以上 かつ1年以内に日本に旅行経験があると回答した人
○回答数:各国258人(性年齢での割り付けなし)
〇ウェイトバック方法:全体(5カ国)は2024年度訪日客国別人口(JNTO)を用いてインバウンド顧客数に合わせてウェイトバック
〇調査主体:博報堂クロスバウンド・ビジネス・ラボ
〇調査委託先:QO 株式会社 ※中国での調査実施は、涉外調査許可を保有する調査パネルを活用
 
【調査結果詳細】
1. 日本旅行中に購入したもの:上位10カテゴリー抜粋(5カ国全体と各国)
日本で購入した商品のカテゴリーを見ると、全体ではお菓子(49.8%)、化粧品・美容用品(46.2%)、食品(42.9%)が上位で約半数の訪日客が購入している。続いてグッズ(アイドル・アニメ・キャラクター等)(30.8%)、お酒(30.6%)となっている。
国別にみると、中国は化粧品・美容用品(44.6%)が高く、その後グッズ(37.2%)、洋服(32.6%)と続く。グッズ、洋服は全体と比較しても高く、お菓子(29.5%)は極端に低い。
韓国はお菓子(66.7%)、食品(54.3%)、化粧品・美容用品(53.4%)が高く、お酒(41.9%)、薬(36.8%)が続く。いずれも全体よりも高く韓国顧客の特性がうかがえる。一方で他国では上位の洋服(10.9%)は全体と比較して低く留まっている。
アメリカは洋服(48.4%)、食品(45.7%)、お菓子(43.0%)が上位。洋服と合わせてパーソナルケア商品(29.5%)、伝統工芸品(29.1%)が全体と比べて高い。薬(12.0%)や化粧品・美容用品(31.4%)は低い傾向。
タイはお菓子(59.7%)、洋服(48.1%)、化粧品・美容用品(37.2%)が上位かつ全体よりも高くなっている。
インドは洋服(55.0%)、食品(51.2%)、お菓子(49.6%)が上位。洋服と共に、ジュエリー・アクセサリー(41.1%)、伝統工芸品(35.3%)、パーソナルケア商品(32.9%)が全体より突出して高く、特徴的な購買行動がうかがえる。
各国のインバウンド顧客の購買商品カテゴリーは異なり、その特性を踏まえることが重要に。
2. 商品購入決定のタイミング(5カ国全体)
商品カテゴリーによって〈買う〉を決めるタイミングには違いがみられる。
化粧品・美容用品、薬は、「旅行する前から具体的に買うブランド・商品を決めていた」という回答が最も多く(化粧品・美容用品48.1%、薬40.0%)、旅マエから購入する商品・ブランドを確定しているインバウンド顧客が多い。旅マエに商品情報に触れて、ピンポイントで購買商品を決めて訪日している率が高く、いわば「ブランド指名型商品」と言える。
家電・電子製品、洋服、ジュエリーでは、「旅行する前からこのカテゴリーの物は買うとは決めていた(ブランド・商品は決めていなかった)」という回答が高い(家電・電子製品35.9%、洋服37.6%、ジュエリー・アクセサリー35.6%)。いずれも、旅マエに商品情報に触れて買いたいカテゴリーを決めて訪日する「カテゴリー指名型商品」と言える。ただ、洋服やジュエリー・アクセサリーは「旅行の途中(店頭で見つける前)で買うと決めた」も多い(洋服33.0%、ジュエリー・アクセサリー34.3%)。
食品、お菓子は旅マエからも検討はしているが、旅ナカでの決定することも多いカテゴリー。「店頭で見て、その場で購入を決めた」という回答が最も多い(食品33.3%、お菓子36.3%)。いわば「出会い型商品」であり、旅ナカでのコミュニケーション活動も旅マエと同等に重要と考えられる。
以上のような「ブランド指名型商品」「カテゴリー指名型商品」「出会い型商品」を理解し、それに合わせたコミュニケーション設計が重要であるとうかがえる。
3. 日本旅行中には購入していないが、次回来た時に買いたいと思うもの:上位5カテゴリー抜粋(5カ国全体と各国)
今回は買わなかったが次の訪日時に買いたいものについて、5カ国全体でみると、ジュエリー・アクセサリー(18.1%)、バッグ(17.5%)、伝統工芸品(16.4%)、健康食品(16.1%)、雑貨(14.2%)などが高く、次回訪日時の新しい商機がうかがえる結果に。
国別にみると、中国では伝統工芸品(19.4%)、ジュエリー・アクセサリー(19.0%)、家電・電子製品(17.4%)。韓国はバッグ(17.4%)、ジュエリー・アクセサリー(17.4%)、健康食品(15.9%)。アメリカ顧客はインテリア家具(23.3%)、バッグ(22.1%)、ヘルスケア・フィットネス用品(19.8%)。タイ顧客はバッグ(21.7%)、家電・電子製品(19.4%)、伝統工芸品(19.0%)。インド顧客はスポーツアウトドア用品(24.0%)、インテリア家具(23.6%)、ヘルスケア・フィットネス用品(22.5%)が高く、前回日本で購入したものとは異なる新たなカテゴリーにも関心が高まっていることがわかる。
4. 日本へ行くかどうかに限らず継続購入したい商品とその理由:上位5カテゴリー抜粋(5カ国全体と各国)
帰国後も購入したい商品カテゴリーについて、5カ国全体でみると、お菓子(35.5%)、化粧品(30.1%)、食品(27.9%)、グッズ(22.6%)、お酒(21.4%)が上位に。日本で買って終わりではなく、自国に帰ってからの購買につながる機会がうかがえる。
国別にも特徴があり、中国は化粧品(39.1%)、グッズ(29.1%)、洋服(24.8%)。韓国はお菓子(46.5%)、食品(31.4%)、お酒(27.1%)。アメリカは洋服(36.8%)、お菓子(35.7%)、食品(34.9%)。タイはお菓子(53.5%)、洋服(38.0%)、化粧品・美容用品(31.4%)。インドは洋服(46.9%)、食品(39.9%)、化粧品(36.4%)となる。
継続購入したい理由について、化粧品・美容用品、お菓子、食品では、品質およびコスパが評価されている。化粧品ではブランドへの信頼度、お菓子・食品では周囲の反応の良さが続く理由になっている。
【参考:ウェビナー開催のご案内】
5カ国インバウンド顧客購買意識調査の詳細は、博報堂が運営するポータルサイト「BIZ GARAGE」主催のウェビナー内にてご説明いたします。
こちらのウェビナーではその他に、インバウンドビジネスをこれから始める方に向けた、基礎的なカスタマージャーニーの考え方やメディア活用の仕方や、すでに実践中の方に向けた内容として、博報堂・博報堂グループ会社が持つ独自のソリューションやナレッジを、事例も含めながらお伝えする予定です。幅広い方に役立つ内容になっていますので、ぜひご参加ください。
 
タイトル:
【X-BOUND Expo2025】訪日客をLTVでとらえる、インバウンドビジネスの新たなあり方とは
日時:2025年9月11日(木) 15:00-16:30
参加方法:事前登録制 ※無料
詳細:https://www.bizgarage.jp/seminar/20250911
ウェビナー詳細

株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:名倉健司、以下 博報堂)は、世の中の関心が高まっている「訪日外国人のインバウンド消費」に着目し、インバウンドのチャンスを掴み、企業の売上拡大に貢献すること、およびインバウンドをきっかけにアウトバウンドへと繋げ、企業のビジネス拡大に貢献することを目的とした「博報堂クロスバウンド・ビジネス・ラボ」を立ち上げました。

ラボでは近年訪日外客数の多い5カ国(中国・韓国・アメリカ・タイ・インド)について、改めて「訪日外国人のモノ消費」をテーマに調査を実施。調査結果からは、国別のインバウンド攻略への手掛かりとなる購買実態や、インバウンド消費を各国国内での消費(アウトバウンド)へと繋げ、企業のビジネスを拡大するためのヒントが見えてきました。

1. 日本旅行中に購入したもの:各国のインバウンド顧客の購買商品カテゴリーは異なり、その特性を踏まえることが必須。

2. 購入決定のタイミング:〈買う〉を決めるタイミングに違いが。「ブランド指名型商品」「カテゴリー指名型商品」「出会い型商品」の違いを理解し、それに対応するコミュニケーション設計が重要。

3. 次回来た時に買いたいもの:次回訪日時にはさらに広い商品選択の意向あり。ジュエリー・アクセサリー、バッグ、伝統工芸品、健康食品、雑貨、家電・電子製品などが高く、新しい商機の可能性も。