沖縄・古宇利島でヤエヤママドボタルの駆除に着手、薬剤不使用の新たな生態系保全対策
清掃機器の世界最大手メーカー、ドイツ・ケルヒャー社の日本法人、ケルヒャー ジャパン株式会社(本社:神奈川県横浜市港北区、代表取締役社長:柴田佳代子)は、沖縄県古宇利島にて、「温水除草システム(R)」を活用した外来種「ヤエヤママドボタル(オオシママドボタル)」の防除実証試験に協力しました。
今回の試験は、沖縄県環境部自然保護課の委託事業「令和7年度 外来種対策事業(昆虫類・クモ類対策)」の一環で実施されたものです。薬剤を使わず高温水のみでホタルの個体数を抑制する新たな環境ソリューションとして、効果検証が行われました。
ケルヒャーの「温水除草システム(R)」は、100℃近い高温水を散布し、植物の根や昆虫のたんぱく質を変性させることで成長や繁殖を抑制する技術です。これまでは主に除草に多く使用されてきましたが、今回は昆虫防除に応用します。
 
温水除草システム(R)を活用した実証実験の様子(沖縄県) 

■沖縄の生態系を脅かす「ヤエヤママドボタル」
ヤエヤママドボタル(別名:オオシママドボタル)は、もともと八重山諸島に分布する在来種でしたが、近年では沖縄本島南部や古宇利島を含む地域にまで生息域を拡大しています。さらに、世界自然遺産に登録されている「やんばる」地域にも、生息域を広げる可能性が懸念されています。このホタルは、陸生カタツムリを大量に捕食し、在来生物の減少や生態系バランスの崩壊が懸念されています。
現在は、専用の探知犬による生息地特定と手作業による捕獲活動が行われていますが、多大な労力を要するうえ、作業効率や継続性の面で限界があり、より持続可能な対策が求められています。
ご参考)事前実験のデータ
2025年7月17日に行われた事前実験では、以下のような結果が得られました。
ヤエヤママドボタル幼虫に70℃・100℃の温水を直接散布したところ、全個体(12個体)が異常個体化し死亡。
幼虫は3~5秒の散布で効果が確認されました。
植物への影響についても検証し、草本はしおれたものの色彩は保持。木本植物では茶変がみられたが、枯死には至りませんでした。
この結果から、「温水除草システム(R)」は環境への影響を最小限にしつつ、ホタル防除効果が期待できることが示唆されています。
■実証実験概要
業務名 令和7年度 外来種対策事業(昆虫類・クモ類対策)
実施日 2025年7月24日(木)13時~15時
試験場所 古宇利島内の試験地(ホテル周辺・耕作地内2か所)
内容 前日(23日)および当日夜(20:30)に、ホタル発光数を計測し、温水除草システム(R)による防除効果を検証します。
業務受託者 一般財団法人沖縄県環境科学センター
株式会社沖縄環境保全研究所
株式会社島嶼生物研究所(共同企業体)
発注者 沖縄県環境部 自然保護課
協力 ケルヒャー ジャパン株式会社(技術提供)

■ケルヒャーの「温水除草システム(R)」とは
温水除草は、100℃近い高温水を雑草に散布することで、雑草の根のタンパク質構造を変異させ、 根から枯らす方法です。薬品(除草剤、農薬)を使用しないため、人体や農作物、家畜に与える影響もなく、安全で環境に優しい除草作業を実現します。ケルヒャーは、除草に最適な温度を維持する機能がある温水高圧洗浄機に、専用ノズルと組み合わせることで、「温水除草システム(R) 」を開発し、2022年にケルヒャー ジャパン株式会社が商標を取得しました。
ケルヒャーの「温水除草システム(R)」の技術は、近年、さまざまな外来種植物の防除にも応用され、検証実験が行われています。過去には、マダニやヤマビルといった有害生物の防除についても検証が進められており、自然環境や人・動物への影響を抑えながら、安全で持続可能な防除手法として、幅広い分野での活用が期待されています。
■温水除草システム(R)について
除草剤を使わない安心・安全な除草作業 100℃近い高温水だけで雑草の根にアプローチするため、除草剤や農薬は一切使用しません。人や動植物、土壌や水質への影響が少なく、環境にやさしい作業が可能です。
持続性の高い抑草効果・植生抑制と省力化 施工箇所は植生しにくくなり、次回以降の除草手間も軽減できます。
刈り取り後の雑草の処分量・産廃コストの削減 温水処理後の雑草は水分が飛び、体積が縮小。これにより処分量・産廃費用の削減が可能。
バイオ燃料を活用したCO2削減 使用機器のボイラー燃料には、バイオディーゼル燃料も使用でき、温室効果ガスの排出削減に貢献します。
国土交通省「NETIS」に登録 ケルヒャーの「温水除草システム(R)」は、公共工事における新技術活用を推進する国土交通省「新技術情報提供システム(NETIS)」に登録されています(登録番号:QS-240026-A)。
※今回の実証実験で使用しているのは高圧洗浄機 HDS 1000 De WEEDになります。
https://www.kaercher.com/jp/professional/high-pressure-cleaners/hot-water-high-pressure-cleaners/combustion-engine/hds-1000-de-weed-18119470.html
 
高圧洗浄機 HDS 1000 De WEED

■ケルヒャー ジャパン株式会社について
ケルヒャー ジャパンは、ドイツで生まれた世界最大手の清掃機器メーカー、ケルヒャーの18番目の現地法人として1988年に設立されました。ケルヒャーは1935年の創立以来、革新的な技術開発を続け、高圧洗浄機をはじめ、床洗浄機、スイーパー、スチームクリーナーなど、家庭用から業務用まで3,000種類もの清掃機器を有し、世界約190カ国で愛用されています。また、総合的な洗浄技術を活かし、ニューヨークの自由の女神やリオデジャネイロのキリスト像、東京・日本橋など、世界的に有名な建造物や彫像の洗浄・再生する文化貢献活動も手がけています。
ケルヒャーは、クリーンな世界の実現にむけて、人々の豊かな暮らしを支えるための快適な清掃体験を提供してまいります。

業務用製品に関するお問い合わせ先
ケルヒャー ジャパン株式会社 
https://www.kaercher.com/jp/professional/clean_innovation/inquiry.html
 
 

清掃機器の世界最大手メーカー、ドイツ・ケルヒャー社の日本法人、ケルヒャー ジャパン株式会社(本社:神奈川県横浜市港北区、代表取締役社長:柴田佳代子)は、沖縄県古宇利島にて、「温水除草システム(R)」を活用した外来種「ヤエヤママドボタル(オオシママドボタル)」の防除実証試験に協力しました。

今回の試験は、沖縄県環境部自然保護課の委託事業「令和7年度 外来種対策事業(昆虫類・クモ類対策)」の一環で実施されたものです。薬剤を使わず高温水のみでホタルの個体数を抑制する新たな環境ソリューションとして、効果検証が行われました。

ケルヒャーの「温水除草システム(R)」は、100℃近い高温水を散布し、植物の根や昆虫のたんぱく質を変性させることで成長や繁殖を抑制する技術です。これまでは主に除草に多く使用されてきましたが、今回は昆虫防除に応用します。