「多重下請け構造」の可視化・適正化をITで支援。健全な物流体制の実現へ
データの力で物流課題を解決する株式会社Hacobuは、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」において、取引構造を可視化するダッシュボード機能を、2025年8月5日より提供開始いたします。
 
本ダッシュボードは、物流領域の課題である「多重下請け構造」の実態を可視化・適正化し、健全で持続可能な輸配送体制の構築に寄与します。
開発の背景
物流領域においては、荷主企業から直接依頼を受けた元請け事業者が、2次請け・3次請けへと輸配送を委託していく「多重下請け構造」が常態化しており、長年の課題となっています。国土交通省の調査(※1)によると、約7割のトラック運送事業者が下請けを活用しており、特に中小・零細事業者では3次請け以上の比率が高い傾向が明らかになっています。
こうした構造では、実際に輸配送を担う運送事業者が適正な運賃を受け取りにくく、ドライバーの賃上げが進まない要因となっています。その結果、離職率の上昇や人手不足といった悪循環が生じ、持続可能な物流の実現を困難にする一因となっています。
 
2025年6月には改正貨物自動車運送事業法(通称:トラック法)が成立し、元請け事業者には、下請け構造を2次請け以内にとどめる努力義務が課されることが明確になりました。物流領域全体として取引構造の適正化に向けた動きが加速しています。
 
しかし、実際の現場では下請け構造の実態を把握する手段が限られており、データの集計や分析に多くの手間と時間がかかっているのが現状です。
 
Hacobuは、こうした課題に対しテクノロジーの力で実効的な支援を行うべく、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」において、取引構造の可視化を実現するダッシュボード機能を実装しました。多重下請け構造の実態を可視化することで、物流領域における取引適正化につなげ、健全で持続可能な輸配送体制の構築を後押しします。
ダッシュボードの特徴
荷主企業や元請け事業者が、配車情報を構造的に分析できる2種類のダッシュボードをご用意しています。
 
1つは「取引先との関係性を可視化するダッシュボード」です(2025年7月25日より提供開始)。どの協力運送事業者に、どのような輸配送案件を、どの程度依頼しているかが一目で分かります。依頼件数や台数、車格、平均走行距離、金額、平均単価といったデータが一覧となり、取引傾向の把握や、支払い金額のリアルタイムでの確認が可能になります。
もう1つは、「請け負い階層(※2)を可視化できるダッシュボード」です(2025年8月5日より提供開始)。自社が依頼した輸配送案件が、何次請けまで委託されているのかをビジュアルで把握できます。全体の構成比だけでなく、運送事業者ごとの請負階層分布も確認でき、3次請け以上の比率が高い輸配送案件や協力運送事業者を確認できます。
 
さらに、階層が深くなっている背景についても分析のきっかけとなる視点を提供します。例えば「リードタイムが短い」「遠隔地への輸配送」「低単価案件」といった要因が階層の深さに影響している可能性もあり、今後の改善施策の立案にも役立ちます。
これらの可視化を通じて、配車業務における「業務の属人化」「構造の不透明さ」「データ活用の困難さ」といった課題に対して、実践的なソリューションを提供します。
今後の展望
今後もHacobuは、MOVO Vistaのダッシュボード機能のさらなる拡充を通じて、物流現場の業務改善を支援してまいります。これまで属人的に行われてきた配車業務や、把握が困難だった請負構造の実態を、誰もがリアルタイムに確認できるかたちで可視化し、業務の標準化・デジタル化を後押しします。
 
また、今回のダッシュボード実装を起点に、多重下請け構造の可視化から、実運送体制の最適化へとつなげることで、荷主企業・運送事業者の双方にとって、持続可能で健全な物流ネットワークの構築に貢
献してまいります。
配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」について
荷主企業・元請け事業者・運送事業者の企業間をつなぎ、輸配送案件の管理を支援する物流DXツールです。一連のコミュニケーションをオンラインで行うことで、契約の書面化・電子化を実現。都度発生していた、電話・FAX・メールでのやりとりが不要になり、業務の効率化が実現できるだけでなく、誰にでも受発注状況がわかる状態となり、属人化を解消することができます。また、各拠点の輸配送データを蓄積・可視化するため、拠点横断の配車最適化をはじめとした輸配送最適化を支援します。
https://hacobu.jp/movo-vista/
株式会社Hacobuについて
クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」シリーズと、物流DXコンサルティング「Hacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)」、物流DXシステムインテグレーション「Hacobu Solution Studio(ハコブ・ソリューションスタジオ)」を展開。5年連続シェアNo.1(※3)のトラック予約受付サービス「MOVO Berth」、動態管理サービス「MOVO Fleet」、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」、生産・販売・在庫管理サービス「MOVO PSI」などのクラウドサービス、ドライバーの働き方を変えるスマホアプリ「MOVO Driver」の提供に加え、物流DXパートナーとして企業間物流の最適化を支援しています。
URL:https://hacobu.jp/
 
※1 出典:国土交通省『トラック輸送における多重下請構造についての実態把握調査』https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001603960.pdf
※2 その運送事業者が元請け事業者から何次請けに該当するのかを示す階層
※3 出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所『スマートロジスティクス・ソリューション市場の実態と展望【2024年度版】』https://mic-r.co.jp/mr/03240/