今後も若手社員を中心とした処遇向上や採用活動を強化へ
 東京水道株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:野田数)は2024年度の決算を取りまとめました。2024年度は昨今の全国的な採用難に対応する形でベースアップや社員住宅の拡充等、社員の処遇向上に取り組んだ結果、その前の期と比べて当期純利益は減少していますが、経営効率化などによって2021年度、2022年度から着実に当期純利益を増やしています。
2024年度に取り組んだ重点施策
 人口減少に伴う需要の減少、水道施設の老朽化や耐震化の遅れ、深刻化する人材不足、物価・人件費の高騰など、水道事業は多くの課題に直面しています。また、東京都から当社への水道業務の移転も、今後さらに拡大する計画となっています。
 
 厳しい事業環境、そして拡大する業務に適切に対応し、安定給水を確保していくためには、人材確保、技術継承、能力向上を一層強化していくことが不可欠です。
 
 近年、労働者不足を背景に、求人倍率は高水準にあり、特に土木・設備といった技術系人材における需要は高く、安定的に採用していくことが最も重要な課題となっています。
 
 そこで当社は入社希望者を増やすため、採用施策を強化してきました。大幅なベースアップを実施するとともに、技術職に対する社員住宅(大手ハウスメーカーが建設したマンションなど)の年齢制限を、これまでの30歳から40歳までに大幅延長しました。
 
 このほかにも奨学金返還支援制度の大幅な拡充を実施しました。これまで対象職種が技術職に限られていたものを、他の職種にも広げ、返還支援の対象に教育ローンを新たに加えました。
 
 また、コールセンターのスタッフは正社員以外の雇用形態が中心でしたが、都民のみなさまへのサービス向上と社員の士気高揚のために、希望者は正社員に転換できるようにしました。
 
 学校訪問もこれまで以上に積極的に実施し、代表取締役社長をはじめ幹部社員が学校側と意見交換を行い、良好な関係を構築してきました。また、訪問の際には、当該学校の卒業生がリクルーターとして同行し、プレゼンテーションを行うなど会社のイメージアップを図りました。
 
 こうした取り組みは着実に成果を上げてきています。今年度の応募者数は393人となり、前年の207人と比べて189.9%と大幅に増加しました。また入社者数も150人と、前年比で137.6%と増えています。直近3年間の入社者数を比較すると、一昨年度は87人、昨年度が109人、そして直近は前述のとおり150人と、年々、着実に若年層の採用を増やすことができました。
 
 また、定年退職を除く離職率は2.9%となりました。昨年度の4.5%、一昨年度の4.4%と比べて、大幅な改善となっています。厚生労働省の「令和5年 雇用動向調査」によると、全産業の一般労働者の離職率は平均12.1%となっており、当社の2.9%は平均と比べてかなり低い数字となっていることがわかります。
 
 今後も経営の効率化と並行して、社員の処遇向上、採用活動の強化に一層取り組んでいきたいと考えています。
 
会社概要
東京水道株式会社
本社:東京都新宿区西新宿六丁目5番1号 新宿アイランドタワー37階
設立:2004年4月
代表取締役社長:野田 数
会社紹介:東京都の政策連携団体、主要株主は東京都であり、東京の水道を支える実務を担っています。これまで東京都の水道業務を担う会社は2つに分かれていたのですが、2020年4月に両社が統合し、東京水道株式会社として新たな門出を切りました。この統合によって、「水源から蛇口まで」を包括的に維持管理・運営できる、日本最大級の水道トータルサービス会社へと生まれ変わりました。