超伝導電子加速器「RiSA」の本格的製作プロセスに着手
株式会社NovAccel(本社:茨城県土浦市虫掛3706-1、代表取締役:山下 了)は、医療用ラジオアイソトープ(RI)の製造を目的とした超伝導電子加速器「RiSA」の開発を本格的な製作プロセスに移行させるため、日本最大級のサイエンス/テクノロジーVCファンド「UTEC6号投資事業有限責任組合」から総額7.2億円の資金調達を実施したことをお知らせいたします。本ラウンドで調達した資金により、RiSA完成のために必要な部材の購入、組み立て等を進め、2026年内にはRiSAを利用したアクチニウム225の実証製造試験を実施することが可能となりました。
 
■ 今回の資金調達の目的
今回調達した7.2億円は、主としてRiSAのコア部材である9cell加速空洞の製作のほか、冷凍機、半導体アンプ、電子銃、レーザー装置などRiSA製作のために必要となる部材を購入に活用することに加え、事業拡大のための人材採用、体制整備、医療用ラジオアイソトープ取り扱いに関する規制等への対応準備などにも活用してまいります。
 
■役員の就任について
今回出資いただいたUTEC6号投資事業有限責任組合から、新たに取締役として郷治友孝氏、監査役としてPriyanka Soni氏に就任いただきました。
同氏らとともに強固なガバナンス体制を整えるとともに、お二人の知見を最大限に活用し、NovAccelの事業を加速してまいります。
 
■二人からのコメント
取締役 郷治友孝氏
NovAccelは、我が国が培ってきた高エネルギー物理学の英知を結集した超電導電子加速器技術を基盤に、物理学者、医学者、スタートアップ専門家らが集い、医療用ラジオアイソトープの製造に取り組もうとする新企業です。
放射性医薬品の市場は、世界的にも今後大きな成長が見込まれているところであり、その発展に寄与するために今回NovAccelへの出資を行うに至ったことを大変嬉しく思っています。
 
監査役 Priyanka Soni氏
NovAccelは、急速に拡大する放射線医療の分野において欠かせない製品を提供するという大胆なビジョンを掲げています。創業チームは、複数の分野にわたる専門性を融合させながら、この課題に根本から挑戦しようとするイノベーターの方々です。NovAccelが次世代のがん治療を支える基盤インフラを構築しようとする取り組みに、UTECとして協力させて頂くことを誇りに思います。
 
 
■ RiSAとは
RiSA(Radio-isotope production Superconducting Accelerator)は、株式会社NovAccelが独自に開発を進める小型超伝導電子加速器であり、医療用RIの製造専用に設計されています。特に、現在注目を集める放射性治療用同位元素アクチニウム225(Ac-225)の製造を目指しています。Ac-225は、がん治療において高い治療効果が期待されており、次世代の標的型放射線治療(TAT: Targeted Alpha Therapy)の中核を担う重要な元素とされています。
 ◇RiSAの特徴
 ・加速勾配(加速能力)やエミッタンス(ビーム品質)といった汎用加速器の性能を追求せず、RI製造に必要な小型化と安定運転を重視した専用設計。安価で省電力、容易に増設可能な加速器を実現。
 ・4K冷却技術と2.6GHz空洞技術の採用による画期的な小型化
 
■ 株式会社NovAccelについて
株式会社NovAccelは、最先端の超伝導加速技術を活用し、医療用RIの安定供給を目指すディープテック企業です。独自の技術力を活かし、がん治療をはじめとする医療分野における革新を推進してまいります。
 
【会社概要】
会社名:株式会社NovAccel
所在地:茨城県土浦市虫掛3706-1
代表者:山下 了
設立:2024年6月
事業内容:医療用超伝導加速器の研究・開発