清水建設グループの株式会社エスシー・マシーナリ<代表取締役社長:鎌倉孝光>(以下、SCM)、パナソニック ホールディングス株式会社<代表取締役 社長執行役員グループCEO:楠見雄規>(以下、パナソニックHD)、シャープ株式会社<代表取締役 社長執行役員 CEO:沖津雅浩>(以下、シャープ)の3社は、sXGP/shared eXtended Global Platform(※1)(プライベートLTE)を活用し、タワークレーンオペレータと玉掛合図者との無線通話を円滑化するクレーン用デジタル合図無線「スマホ無線機【スカイクリア】」(以下、スカイクリア)を共同開発しました。既に、清水建設株式会社が都心で施工中の超高層オフィスビルの現場において、スカイクリアが所定の性能を発揮することを実証済みです。

建設現場に使用されているクレーン用の合図無線機は、アナログ特定小電力無線機(周波数帯:400MHz帯)が一般的です。ただ、高さ200mクラスの超高層ビルの建設現場では「電波が届かない」、クレーンが密集する建設現場では「混信する」といった不具合が発生し、安全かつ確実な通話が妨げられます。スカイクリアは、こうした通信障害を克服するために3社が共同開発したものです。

スカイクリアの機器構成は、sXGPのネットワークを構築する無線基地局「xGsPod」(※2)を搭載したマスター基地局、sXGPの通信エリアを拡張するアンテナ、アンテナをLAN接続するPoEスイッチングハブ(※3)等となります。基盤技術となるsXGPはスマートフォンの通信回線として使用されているモバイル通信方式であり、優れた通信機能を備えています。例えば、上下階のアンテナをLAN接続することによる超高揚程通話、従来のアナログ無線機よりノイズの無いクリアな通話、そして最大32台(4人×8グループ)のスマートフォンの接続、が可能です。また、無線局の免許が不要なことも大きなメリットです。

都心の超高層オフィスビルの現場では、低層階にマスター基地局とアンテナを、躯体上部にあるタワークレーンのガイドマストにアンテナを設置してLAN接続した結果、タワークレーンオペレータと地上と屋上にいる玉掛合図者のクリアな同時通話を実現しています。こうした機能が評価され、この秋をめどに清水建設株式会社が施工中の東京駅日本橋口前「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区において、日本一の高さとなる「Torch Tower」(施行者:三菱地所株式会社、設計監理:株式会社三菱地所設計、規模:地上62階・高さ約385m)の現場で採用する予定です。

なお、開発にあたっては、SCMが実証実験を行う建設現場の確保・調整ならびに実証実験用重機の提供、パナソニックHDがsXGPの通信に必要な各種サーバ、マスター基地局ならびにアンテナの構築、シャープが技術実証に用いるsXGP対応スマートフォンの提供・管理ならびに専用通話アプリの開発とモバイル端末管理クラウドサービス「LINC Biz emm」(※4)の提供をそれぞれ担当しました。

今後、300m超の超々高層ビルはもとより、大型現場が隣接する場合やクレーンが密集する建設現場などをターゲットに、SCMが窓口となりスカイクリアをタワークレーンとセットで提供し、建機事業の差別化を図る考えです。

※3 PoEスイッチングハブ:PoE(Power over Ethernet)対応の機器に、データ通信だけでなく電力も供給できるスイッチングハブのことで、ネットワークカメラやIP電話など、電源の確保が難しい場所に設置する機器にLANケーブル1本で電源を供給できるようになり配線がシンプルとなる。

「xGsPod」搭載で、LTE無線機能のみならず、sXGPシステムの構築に必須となるコアネットワーク機能や、拡張アンテナをネットワーク同期させるためのグランドマスタ機能、さらにはスマートフォンのアプリケーションと連携してグループ通話を実現する呼制御機能などを備える。

専用のアプリケーションをインストールし、通話グループをセットすると、グループを選択するだけでグループトークが可能。また、スマートフォンが拡張アンテナから離れて電波状況が悪くなると、「電波が弱いです」というアナウンスを流し、通信の途絶を事前に警告する。「LINC Biz emm」(※4)を活用することで、複数台のスマートフォンに対して、クラウドを介して一括でアプリのインストールができ、設定作業の効率化が図れる。また、通信バンド制御も一括で行うことで、混信を防ぎ、安定した通信環境を実現。

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