株式会社トリプルアイズ(本社:東京都港区、代表取締役:山田雄一郎、以下トリプルアイズ)は、独自開発・運用するAI顔認証エンジン「AIZE」において精度向上を実現し、低品質画像にも対応する「model_6」をローンチしたことをお知らせします。

■AIZEのこれまでの歩み
トリプルアイズは、2014年より囲碁AIの研究に取り組み、2019年12月には、GLOBIS-AQZプロジェクトにおいて世界大会2位の実績を残し、同年、AI顔認証エンジン「AIZE」の開発へと結実しました。
2020年からのコロナ禍において、検温機付き顔認証デバイスが一般的に普及したことから、AIZEは大手スーパーをはじめさまざまな業種に「顔認証による勤怠打刻システム」として採用されることとなりました。さらに、2022年にAKASHI、2023年にTeamSpirit、2024年にLINE WORKSと、大手勤怠システムやビジネスチャットと連携することで、導入企業の裾野を広げ、現在AIZE利用者は全国で10万IDを突破いたしました。その認証精度の確かさときめ細かな運用サポートから高い評価を獲得し、2024年からは世田谷区の非常勤職員の勤怠打刻にも採用され、AI先端技術の社会実装をリードしてまいりました。
AIZEは2019年のサービススタート以来、精度向上のたびにバージョンアップを重ね、今回、主に低品質画像にも対応する顔認証エンジン「model_6」をローンチいたしました。

■開発の背景
ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な普及により、AIとは無縁の職種や業務はなくなりつつあります。すでにAIと意識せずにツールを活用するシーンも広がっており、国内外のAI市場は2030年までに加速度的な伸びが見込まれています。
世界の顔認証AIの市場規模は2024年の77億3,300万米ドルから、2032年までには2428億米ドルに成長(およそ31倍)すると予測されています(FORTUNE BUSINESS INSIGHTS June30,2025)。パスワードなどによる従来の認証手法は、個人情報の盗難や詐欺を防ぐことが困難なため生体認証システムへの移行が促され、顔認証AIの市場が拡大すると見られています。顔認証による新たなビジネス機会の創出のためには、認証精度を著しく下げる“低品質画像”への対応が必須となります。
顔認証技術は、勤怠管理、入退室管理、防犯、決済など、さまざまな場面で実用化されるようになりました。しかし、現場での運用においては「精度」に関する課題がいまだ残されています。特に問題となるのが、照明不足やマスク着用、斜め顔などによって撮影された“低品質画像”です。こうした画像に対しては、従来のAIモデルでは認証精度が低下し、業務フローの停滞やユーザー体験の悪化を引き起こす可能性があります。実社会における顔認証の信頼性をさらに高めるには、正面画像だけでなく、より多様な条件下でも安定して動作するモデルが求められていました。
こうした背景を受け、トリプルアイズはAI顔認証エンジン「AIZE」の進化形として、低品質画像にも対応可能な「model_6」の開発に至りました。

■AIZE「model_6」の特徴
今回トリプルアイズのAI開発チームが取り組んだのは、「低品質画像への対応」です。低品質画像とは、照明不足、手ブレ、角度ずれ、部分的隠れ(マスクなど)により、認証精度を低下させる画像を指します。この低品質画像に対して、4つの技術を統合することにより精度向上を目指したのが「model_6」となります。

4つの技術とは、
・画像品質に応じてマージンを動的に調整する技術
・顔の位置ずれに対する耐性を向上する技術
・ハードサンプルの影響を軽減する技術
・クラス間距離の最適化技術
を指します。





これまでmodel_5では、マスク着用時の認証精度において高い優位性を示してきましたが、今回のmodel_6では加えて、正面画像以外の画像にも認証精度において高い優位性を示し、総合的な性能と実用性の両面で優れており、実際の運用環境での導入に最も適していることを示しています。
model_1との比較において、model_6は約7ポイントの精度向上を実現しています。

■AIZEが選ばれる理由
(1) 独自のAIモデル開発
当社は2014年より囲碁AIの研究に取り組み、世界大会でトップクラスの実績を残してきました。2019年には「画像認識プラットフォーム・AIZE(アイズ)」をローンチし、独自開発した国産AIエンジンで、顔認証や画像認識の分野で社会実装をリードしてまいりました。
(2) デバイスに依存しない使いやすさ
AIZEは、ユーザーが特定のカメラやシステムに固定されることなく、顔認証機能を利用することができます。既存のカメラを使うことで、高コストパフォーマンスなAI活用を実現します。
(3) 豊富な導入案件
当社は「AIZE」ブランドで顔認証出退勤管理サービスを5年以上にわたり大手企業複数含む全国約2000拠点以上で提供しており、拠点ID数5000件以上、登録情報で10万規模の類似案件の実績を有します。
(4) システム開発に実績
顔認証による打刻をスムーズに運用するためには、システム開発において起こりえる問題への対応力が必要です。当社は2008年より基幹システム開発に携わっており、AI領域以外の開発知見も豊富に有しております。
(5) 運用サポート実績
これまで顔認証出退勤管理サービスの運用を通じて、現場で利用に戸惑うケースや躓く点などの事象に関する経験・ノウハウを有しており、わかりやすいマニュアル作成や端末の適切な設置はもとより、端末故障時の対応やバージョンアップデート、災害時の対応についても万全な体制を敷いています。
(6) カスタマイズニーズへの対応
AIZE は単なるAPI連携にとどまらず、ユーザーが使っているシステムに合わせたカスタマイズ案件の実績も豊富です。

■今後の開発について
トリプルアイズでは、顔認証の社会実装をいっそう進めるため、技術的課題解決に取り組んでまいります。すでに「静止画像によるなりすましへの対応」や「生成AIを用いたデータセットの充実」の開発が進んでおります。