速度は最大1.7倍、遅延は25%短縮。多くの指標でauがソフトバンクを上回る一方、両社の「信頼性エクスペリエンス」は同率
Opensignal(本社:ロンドン)は、日本における5Gスタンドアローン(SA)ネットワークのユーザー・エクスペリエンスの最新分析結果を公開しました。本分析では、5Gノン・スタンドアローン(NSA)と比較した5G SAの優位性を検証するとともに、オペレーター・レベルではauとソフトバンクの5G SAパフォーマンスを比較しました。
 
※NTTドコモは5G SAを開始していますが、主に高い周波数帯(sub-6 GHzおよびmmWave)の活用と展開規模が限定的であるため、オペレーター別比較からは除外しています(ただし、SA対NSAの集計比較には含めています)。2025年7月現在、楽天モバイルは仮想化環境で5G SAテストを実施中で、商用展開は行っていません。
 
主要な分析結果
5G SAが、NSAを全面的に上回る
本分析で評価したすべての指標で、5G SAは5G NSAより優れたモバイル・エクスペリエンスを提供。
より速いスピード
5G SAの平均ダウンロード・スピードは約1.7倍、平均アップロード・スピードは1.5倍と、NSA比で大幅に向上。
遅延の大幅短縮
5GのUDP遅延はSAネットワークで平均25%短縮
ゲームやビデオ通話など応答性が重要なアプリで体感品質が向上。
auが多くの5G SAカテゴリで優位
速度、遅延、ビデオ/ゲーム・エクスペリエンスでauがソフトバンクを概ね上回る結果。
一方で、「5G SA信頼性エクスペリエンス」は両社が統計的に同率で、サービスの安定性に大差はなし。
日本での5G SA展開のインパクトを定量化
 
分析のポイント
 
1) 日本市場全体:SA化の効果を定量化
日本の主要3社(au、NTTドコモ、ソフトバンク)における5G SAのスコアを集計し、各社の5G NSAと比較しました。結果、スピードと遅延でSAが大幅に優位
ダウンロード・スピード:SAはNSAの約1.7倍
アップロード・スピード:SAはNSAの1.5倍
UDP遅延 :SAで平均25%短縮
これにより、動画の初期読み込みやモバイルゲームの操作反応など、ユーザーが日常的に体感する品質が向上しました。Opensignalの「信頼性エクスペリエンス」でも、SAはNSA比で明確な改善が見られました。
2) オペレーター別(5G SA):au vs. ソフトバンク
au:多くの指標でトップ。Sub-6GHz SA基地局の戦略的展開が鍵となる。
ソフトバンク:市場競争力を維持しつつも、主要指標の水準ではauに一歩及ばず。
信頼性「5G SA信頼性エクスペリエンス」は両社が統計的に同率で、サービスの安定性では拮抗。
「日本の5G SAは、“より速く・より低遅延・より信頼できる”という約束に実データで応えています。消費者の体感品質だけでなく、エンタープライズ用途に求められる要件にも資する基盤が整いつつあります。」
- ロバート・ウィジコウスキー(Opensignal プリンシパル・データ・アナリスト/レポート著者)
 
企業・公共分野への示唆:消費者エクスペリエンスを超えて
 
5G SAはネットワーク・スライシングなどの先進機能により、ミッションクリティカルな用途でも高性能・レジリエンス・プログラマビリティ・省エネ性を提供可能です。日本ではOpen RANへの移行を先導する動きが広がり、複数MNOがオープンなテクノロジーを導入。多様なサプライヤー・エコシステムを育みつつコスト効率を高めるこの潮流は、自動車・製造業・公共インフラを含む分野でのプライベート5G SA活用を後押しし、日本の5G SAインフラ展開を加速させると期待されます。
 
用語解説(簡易)
5G SA(スタンドアローン):4Gコアに依存せず、5G専用コアを用いる純粋な5G方式。低遅延・スライシング等の5G本来の機能を発揮しやすい。
5G NSA(ノン・スタンドアローン):4Gコアに依存する5G。初期展開に適し、広く普及。
UDP遅延:ネットワーク上での応答性を示す指標。ゲームやビデオ通話などの体感に直結。
信頼性エクスペリエンス:ユーザーが基本的な接続タスクを問題なく完了できる確率を測るOpensignal独自の評価。
参考資料
5G スタンドアローンは、日本で期待に応えているのでしょうか?
 
注:内容は、英語版の翻訳です。日本語との内容に不整合がある場合、英語版が優先されます。
 
Opensignalについて
Opensignalは、消費者のネットワーク体感と意思決定に関する独立した知見を提供するグローバル・プロバイダーです。オペレーターは、Opensignalが提供するモバイルおよびブロードバンド・ネットワークに関する弊社独自のインサイトを活用することで、エグゼクティブ・レベルのスコアカードや公的検証から、特定レベルのエンジニアリング分析や消費者の意思決定に至るまで、利益の改善や、業界に勝ち残るためのソリューションを得ることができます。弊社の分析方法は独自のもので、高い透明性を担保し、すべてのオペレーターがネットワーク接続を継続的に改善できるよう支援します。弊社は米国、カナダ、英国に本社を擁し、南米とアジアに営業拠点を展開しています。