多種多様な電子機器に半導体を提供する世界的半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(NYSE:STM、以下ST)は、世界規模でのセンサ提供能力を強化するため、車載セーフティおよび産業機器分野向けのセンサを中心とするNXP Semiconductors社(NASDAQ:NXPI、以下NXP社)のMEMSセンサ事業を買収することを発表しました。今回の買収により、業界をリードするSTのMEMSセンサ技術 / 製品ポートフォリオが補完および拡充され、車載 / 産業 / コンスーマ機器の開発における新たな可能性が開かれます。

STのアナログ・パワー&ディスクリート・MEMS・センサ・グループ 社長であるMarco Cassisは、次のようにコメントしています。「今回の買収は、STの戦略と非常によく合致しています。車載セーフティならびに産業用技術に焦点を合わせたNXP社の技術およびお客様との関係は、当社との相補性が非常に高く、STの既存のMEMSポートフォリオと組み合わせることで、自動車 / 産業機器 / コンスーマ機器分野におけるセンサに関する当社の地位はより強固なものとなるでしょう。技術研究開発、製品設計、先進的製造をカバーする当社のIDMモデルを活用することで、世界中のあらゆるお客様により良い製品およびサービスを提供できると考えています。」

NXP社のエグゼクティブ・バイス・プレジデント 兼 アナログ・車載用組込みシステム担当ジェネラル・マネージャーであるJens Hinrichsen氏は、次のようにコメントしています。「NXPは、MEMSベースの車載用モーション・センサおよび圧力センサの主要サプライヤとして、長期にわたりお客様から強く支持されてきた実績があります。しかし、ポートフォリオの入念な見直しの結果、この事業は長期的な会社の戦略的方向性に一致しないという判断に至りました。当社は、この製品ラインがSTのポートフォリオ、製造フットプリント、戦略的ロードマップに理想的に合致することについてSTと合意しました。MEMSセンサ・チームがSTで素晴らしい環境と長期的な未来を得られたことを喜ばしく思います。」

STが買収するMEMSセンサ・ポートフォリオの主なターゲットは、パッシブ(エアバッグ)およびアクティブ(車両ダイナミクス)の車載セーフティ向けセンサ、およびモニタリング・センサ(TPMS(1)、エンジン制御、利便性、セキュリティ)です。また、産業機器向けの圧力センサと加速度センサも含まれます。STは急速に拡大する車載用MEMS市場において、革新的なロードマップを通じて、車載機器メーカーとの強固な関係を活用できる立場にあります。MEMS技術は、安全性、電動化、自動化、コネクテッド・カーに向けた先進機能を実現し、将来的な売上成長の可能性を広げます。

車載用のMEMS慣性センサは、一般的なMEMS市場よりも速いペースで拡大することが予想されています。買収の対象となる事業は2024年に約3億ドルの売上があり、STの売上総利益と営業利益の両方に大きく貢献します。また、買収完了によりSTの1株当り純利益も増加する見込みです。

今回の買収は、車載セーフティ用途の主要IP・技術・製品と高いスキルを持つ研究開発チームを通じて、STのMEMS技術、製品研究開発能力、ロードマップを強化します。拡大される事業では、設計 / 製造からテスト / パッケージングまで、MEMS開発のあらゆる段階をカバーするSTの統合型デバイス・メーカー(IDM)モデルのメリットを生かし、より迅速なイノベーション・サイクルとより柔軟なカスタマイズが可能となります。

STとNXP社は、最大9億5000万ドルの現金による最終的な買収取引契約に合意しました。内9億ドルは前払いで、5000万ドルは技術的目標の達成を条件としています。既存の流動資産により資金調達されるこの取引は、慣例的な完了条件(規制当局による承認を含む)に基づいて2026年上半期に完了する見込みです。