100万人の受験データから日本企業の英語スピーキング力の実態を調査
EdTechカンパニーの株式会社レアジョブ(以下、レアジョブ)の法人向け事業子会社である株式会社プロゴスが提供する、英語ビジネススピーキングテスト「PROGOS(R)」が提供開始から5年で100万人受験を突破。その受験データを活用し、日本企業の英語スピーキング力に関する調査結果を発表いたします。
■調査背景
「PROGOS(R)」は、AI自動採点とCEFR準拠により、英語を「話す力」の可視化を実現し、ビジネス英語力のスタンダードとして多くの企業や教育機関で活用されています。このたび、日本を中心に106の国と地域の100万人におよぶ大規模な受験データをもとに、英語スピーキング力に関する調査・分析を実施しました。日本のビジネスパーソンのスキル傾向と、1,500社以上の企業の活用状況から、日本企業のスピーキング力育成への課題が明らかになりました。
■主なトピックス
「責任ある英語業務」を担える人材、日本企業はグローバル企業(*1)の4分の1に留まる
海外売上高比率の高い日本企業の半数以上はスピーキングレベルを可視化し英語力強化に積極的
ホテル業界全体の深刻なスピーキング力不足が判明
「リスニング・リーディング力」と「スピーキング力」は依然として大きな乖離がある
*1 日本国内に拠点がある外資系企業ならびに海外に拠点をもつ外資系企業
 
<国際指標「CEFR」におけるビジネスで英語を使用する際に求められるレベル>
「PROGOS(R)」は、国際的な言語力指標である「CEFR(セファール)(*2)」に準拠しています。本調査では、以下のレベルに基づき、結果を解説いたします。
*2 CEFR(Common European Framework of Reference for Languages/ヨーロッパ言語共通参照枠)の略。言語運用能力別のレベルを示す。
■結果1. 「責任ある英語業務」を担える人材、日本企業はグローバル企業の4分の1に留まる
この調査では、グローバル企業では9割近くの従業員が英語で仕事ができる状態であり、そのうち4割が英語で責任ある仕事ができる「B2」レベルであることが分かり、業務において英語でのコミュニケーションが円滑にできていることが推察されます。一方、日本企業では、「B2」レベルの従業員は1割に満たず、グローバル企業における割合の4分の1程度に留まるなど、従業員のスピーキング力に顕著な差が存在します。
・海外売上高比率の高い日本企業の半数以上がスピーキングレベルを可視化
他方で、海外売上高比率が高い日本企業の半数以上は、「PROGOS(R)」を活用してスピーキングレベルの可視化をはかっています。さらに、同比率が高まっている企業ほど社内受験数が多い傾向があり、スピーキング力不足という課題への積極的な対応を行っていることがわかります。
■結果2. ホテル業界の深刻なスピーキング力不足
2025年上半期(1~6月)の訪日外国人旅行者数は2,100万人に達し、過去最速ペースで歴代最多を更新しました(*3)。インバウンドの増加に伴い、ホテル業界では英語対応のニーズが急速に高まっています。一方、ホテル業界全体でのスピーキングレベルの分布は初級の「Pre-A1」が最多で、日本企業全体と比較しても極めて低いという実態が判明しました。ほかにも、英語でなんとか仕事ができる「B1」レベル以上は2割、「B2」レベル以上となると2%に留まるなど、英語で業務を遂行し得る人の割合が日本企業全体の平均よりもかなり低い結果となりました。この結果から、今後増加し続けると予想されるインバウンド需要に対応するための人材育成・人材獲得が急務であることが示されました。
*3 日本政府観光局調べ
■結果3. AI自動採点で場所を選ばず受験可能なことから人材の採用機会でも多く活用
「PROGOS(R)」は場所や時間を問わず受験が可能で、AIを用いた自動採点により、スピーディに結果が返却される手軽さなどから、企業での人材の採用機会でも多数活用されています。また、新卒・中途の採用応募者に「PROGOS(R)」受験を課した企業では、従業員よりかなり高いレベルの応募者を獲得できています。採用における「PROGOS(R)」の活用は、英語を必要とする業務における即戦力をもつ人材を集めるのに一定の効果が期待できると言えます。
■結果4. スピーキング力と、リスニング・リーディング力は依然として大きな乖離がある
英語を学ぶビジネスパーソンの多くが受験しているTOEIC(R)L&Rと、「PROGOS(R)」の両方を受けた100,844人の受験データを活用し、技能間の比較分析を行いました。
CEFRレベルを共通の尺度として比較したところ、全対象者のうちリスニング・リーディング力が「B2」レベル以上の人は33%いましたが、そのうちスピーキング力が「B2」レベル以上の人は7%にも満たないことがわかりました。これにより、依然としてリスニング・リーディング力とスピーキング力との間には大きな差があり、英語を使って業務を遂行できる能力があるかどうかを判断するには、やはりスピーキング力を測定することが重要であることが改めて確認されました。
その他、日本企業の英語スピーキング力に関する調査結果について、より詳細なレポートをご希望の方は、以下よりお問い合わせください。