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※「約9割が隠れ残業」:持ち帰り残業と休日勤務の両方について「ほとんどない」と回答したのは401人(全体の7.4%)。 ※「平均11時間勤務」:出勤してから退勤するまでの平均時間を数値で調査した結果、外れ値を除いた回答者の平均は11.17時間。 |
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【調査概要】 | |||||||
■調査対象:全国47都道府県の教育関係者 ■調査期間:2025年5月20日~6月30日 ■調査機関:自社調査。Webメディア「みんなの教育技術」でのアンケート調査 ■有効回答数:5412人(男性:1605人、女性:3472人、その他・無回答:335人) ■回答者の年代:20代:995人、30代:1358人、40代:1631人、50代:1127人、60代以上:219人、無回答:82人) ■回答者の校種:小学校:4628人、中学校:373人、特別支援学校:141人、高等学校:73人、義務教育学校:62人、教育委員会:19人、中等教育学校:8人、その他:30人、無回答:78人) |
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※本アンケートでは、回答者の負担軽減のため設問を任意回答としています。そのため、設問ごとの有効回答数は異なります。 | |||||||
出勤してから退勤するまで 平均約11時間。4人に1人が12時間以上 | |||||||
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勤務時間についての結果は上のグラフの通り、8割を超える教員が10時間以上の勤務、4人に1人が12時間を超えて勤務している状況でした。 さらに、数値で勤務時間を調査したところ、平均値は11.17時間、中央値は11時間になりました。 法定の勤務時間を上回る勤務が常態化している可能性がうかがえます。 |
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自由記述欄からは以下のような声が寄せられました。 | |||||||
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休憩時間は約3人に2人が「ほとんど取れない」 | |||||||
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1日に取得できている休憩時間について、「ほとんどとれない」と回答した人は全体の65.6%(3,522人)にのぼりました。これに「15分未満」を加えると、この設問に答えた回答者の85%近くの人がまともな休憩を取れていない実態がわかります。 | |||||||
労働基準法が定める休憩時間=45分以上を確保できているのは、全体の1.5%のみです。 | |||||||
休憩がほとんどとれないと答えた回答者にその理由を聞きました。 | |||||||
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このように、子どもがいる時間は子どもから目が離せないので休憩ができない上に、隙間時間もさまざまな理由から休憩どころではないという実態、教員がコントロールできる時間の少なさ、休憩なしが常態化している、などといった理由がありました。 | |||||||
休憩がとれないことにより、「トイレに行けない」という声が非常に多く見られ、膀胱炎を繰り返しているという教員もいました。精神的にも身体的にも教員の健康に影響を及ぼす深刻な事態です。 | |||||||
半数以上が週3日以上の「持ち帰り残業」 | |||||||
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半数以上が週3日以上の持ち帰り残業をおこなっています。 | |||||||
学校では集中できないので持ち帰っておこなわざるを得ない、家庭の事情で早く帰らなくてはならないが、仕事が終わらないのでやらざるを得ない、という声が多くありました。 | |||||||
一部の記述からは、「働き方改革」の取り組みが現場の実態に即していないとの懸念もうかがえました。 | |||||||
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約9割が休日にも勤務 | |||||||
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回答者の約9割は休日にも業務を行っていました。 持ち帰り残業も休日勤務も「ほとんどない」と答えたのは401人にとどまり、回答者の少なくとも9割以上が一か月のうちに持ち帰り残業か休日勤務、あるいはその両方をしていると考えられます。 |
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時間外勤務の最大の要因は「1日の業務量がそもそも8時間以内にできる設定ではないため」 | |||||||
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ここまで見てきた回答からもわかるように、回答者の8割以上が選択した最大の要因は、「1日の業務量がそもそも8時間以内にできる設定ではないため」。 さらに、有効回答数5233人のうち、89.4%が複数の要因を選択しており、解決の難しさがうかがえます。 |
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教育の本筋に集中できない状況が「つらい」 | |||||||
「勤務時間の長さ以外で、『つらい』と感じるのはどんな時ですか?」を問う設問に対し、最も多く挙げられた回答は「保護者から理不尽なクレームを受けている時」で、これは約4割を占めました。 このほか「目的のはっきりしない会議に参加している時」や「教材研究の時間が取れず十分な授業準備ができない時」など、教育の本筋に集中できない状況も多くの教員にとってストレス要因になっているようです。 |
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「子どもの成長」が教員をつなぎとめている | |||||||
一方「『これがあるから教員はやめられない!』と、思うような強い喜びを感じるのはどんな時ですか?」という問いでは、「子どもの成長」という言葉が溢れていました。授業の手ごたえや楽しさといった声と合わせると、回答者の約7割にのぼります。子どもの成長、面白い授業、という、教員本来の仕事が教員の望みであることが伝わってきます。 | |||||||
外部人材による学校支援制度に満足しているのは導入されている回答者の約38% | |||||||
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現在、外部人材による学校支援がさまざまな自治体でおこなわれています。その満足度について選択式で尋ねたところ、導入されている回答者の中で、「とても満足」「ある程度満足」を合わせても約38%にとどまりました。 不満の理由として最も多かったのは「人手が足りない」という指摘で、次いで多かったのは、質のばらつきでした。 |
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もしサポーターを自分の裁量で配置できるとしたら | |||||||
アンケートでは最後に、「もし、自分の裁量でサポーターを配置できるとしたら、どんな人にどんなことをお願いしたいですか?」を問いました。 | |||||||
支援が必要な児童への個別対応、授業の補助など、「授業に集中できる環境を整える」ことを目的とした配置に関する要望が、約半数を占めました。 また、学級に1人、学年に1人などの配置を求める声が多く見られました。 さらに、丸つけ、会計など、子どもと接する以外の仕事について補助してほしいという要望も多く見られました。 |
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そのほか、業務削減のコンサルティングや、保護者対応専門スタッフなどを求める声もありました。 | |||||||
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公立学校教員の給与などについて定めた教員給与特措法(給特法)では、教員の時間外勤務を2029年度までに月平均約30時間まで減らす目標が掲げられています。 | |||||||
しかし、このアンケートからわかるように、見えないところで働かざるを得ない教員がその実態を表立っては言えない状況にあることを考えれば、それを正しく計測することが困難であることが想像できます。 | |||||||
まずは業務設定の見直しが必要と言えるでしょう。 | |||||||
今後の学校教育の在り方を検討する上で、教職員の働き方に対する支援体制の整備が一層求められるとともに、学校側も教員一人ひとりのためにそれを柔軟に活用する意識が必要になりそうです。 | |||||||
私たちも、引き続き、教員のQOLを高めるための施策を様々な角度から考えてゆきたいと考えています。 | |||||||
Webサイト「みんなの教育技術」では、自由記述欄からの豊富な抜粋によって現代の教員のリアルな実態がわかる記事を配信しています。ぜひそちらも併せてお読みください。 ↓↓↓ https://kyoiku.sho.jp/?p=394047 |
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出勤してから退勤するまで 平均約11時間。4人に1人が12時間以上
「子どもの成長」という言葉が溢れていました。授業の手ごたえや楽しさ
教員本来の仕事が教員の望みであることが伝わってきます。