藤幡正樹のディレクションのもと、長谷川愛、花形慎、松田将英をはじめとしたアーティスト、そして起業家、編集者、教育者等の様々な専門領域のメンバーが集結
 
メディアアートやデジタルアート等のアート&テクノロジー分野の専門家育成を目的としたプロジェクト「藝術と技術の対話(DAT)」では、2026年5月より札幌およびニューヨークで展覧会をつくり出す新たな教育プログラムを開始します。今般、本プログラムに参加するプロジェクトメンバーを公募し、選考の結果、95名の応募の中から12名を採択しました。
文化芸術の支援制度の多くがアーティストの創作活動への助成を中心とするなか、本プログラムはプロデューサー、キュレーター、研究者など幅広い専門領域を対象としています。アートにおける協働的な実践を重視し、同分野の国際展開に必要となるスキルとともに、活動基盤の醸成を目指します。今後、国内外の専門家を講師に迎え、山口情報芸術センター[YCAM]や札幌国際芸術祭を含む専門機関と連携しながら、ワークショップ、調査研究、ワーキングツアー等のカリキュラムを実施します。採択された12名とともに、2027年には札幌およびニューヨークでの展覧会の開催を目指します。
1. DATプロジェクトメンバー採択者
20代から40代まで、起業家、アーティスト、研究者、広報、新規事業開発者など、多様な分野で活動する次世代12名を採択しました。
札幌およびニューヨークで展覧会をつくる本プロジェクトの2年間のカリキュラムに参加する「DATプロジェクトメンバー」。今回の選考では、現代のテクノロジーと社会、アート、自身の表現や実践との関係性に課題意識を持つ、20代から40代までの12名を採択しました。2026年度より、美術領域にとどまらず、起業家や新規事業開発従事者、研究者など、多様な専門性をもつメンバーが本プロジェクトに参画します。
 
[写真上左から]伊藤滉太、岩本室佳、岡 碧幸、坂元伶音、田中悠太、富塚絵美 [写真下左から]長谷川愛、花形 槙、早川翔人、本間悠暉(Photo: Chiharu Saito)、松田将英(Photo: Joji Kurisu)、松永未来
伊藤滉太 ITO Kota(起業家)
岩本室佳 IWAMOTO Sayaca(美術家、編集者)
岡 碧幸 OKA Miyuki(アーティスト、リサーチャー)
坂元伶音 SAKAMOTO Reon(東京大学大学院修士課程在籍/バイオハイブリッドシステム)
田中悠太 TANAKA Yuta(イントレプレナー、ISO国際標準化エキスパート)
富塚絵美 TOMIZUKA Emi(アートディレクター、東京藝術大学キャリア支援室特任助教)
長谷川愛 HASEGAWA Ai(アーティスト、山梨県立大学国際政策学部教授)
花形 槙 HANAGATA Shin(アーティスト)
早川翔人 HAYAKAWA Shoto(アーティスト)
本間悠暉 HOMMA Yuki(アーティスト)
松田将英 MATSUDA Shōei(アーティスト)
松永未来 MATSUNAGA Miku (MoN Takanawa: The Museum of Narratives コミュニケー
ションコーディネーター)
2. 応募概況
募集期間:2026年2月22日(日)~3月15日(日)【22日間】
応募総数:95名
 男性65%/女性35%
 関東圏67%/北海道11%/京都府5%/そのほか17%
採択人数:12名【選考通過率12.6%】
 
【DATプロジェクトメンバー応募要項(抜粋】
1. 応募対象者
アート&テクノロジー分野に関心をもつプロデューサー、キュレーター、コーディネーター、アーティスト、研究者等
2. 応募者の要件
・原則として日本国籍または日本国の永住権を有する方、もしくは2026年5月から2028年3月までの期間中に日本国内に在住し、対面でプログラムに参加できる方
・応募時点で満18歳以上の方
3. 選考方法
応募フォームへの入力、調査課題(作文)、ポートフォリオ等の提出書類をもとに一次選考(書類審査)を行い、通過者に対して二次選考(面接)を実施。審査会を経て採択者を決定
審査総評
アート&テクノロジーをテーマに新たな手法で展覧会を協働でつくるという、ほかに類を見ないプログラムにもかかわらず、今回の公募には予想を上回る多くの応募が集まりました。審査においては、「藝術と技術」「東洋と西洋」「コンセプトの構築と批評的対話」といった本プロジェクトの方向性に対する応募者それぞれの課題意識を重要視しました。また、複数の設問による調査課題では、論理的思考力、調査方法、構想力を評価しました。
同分野のアートセンターやフェスティバルでは女性作家の起用が2割程度に留まるというジェンダーバランスの課題が指摘されていますが、今回の公募では多様な職種を対象とすることで、応募・採択ともに女性比率にも広がりが見られました。応募状況から見えてきた同分野の教育機会への関心とニーズの高さを受け止め、本プロジェクトの今後の活動展開に活かしていきます。
 
審査員
藤幡正樹(メディアアーティスト)*DATエグゼクティブ・ディレクター
会田大也(ミュージアム・エデュケーター/山口情報芸術センター[YCAM]学芸課長)*DATメンター
細川麻沙美(札幌国際芸術祭2027フェスティバルディレクター)*DATメンター
 
藝術と技術の対話(DAT)エグゼクティブ・ディレクター藤幡正樹(メディアアーティスト)コメント
公募期間が短かったにも関わらず、95人もの申請があり、挑戦してくれた皆さんのエネルギーにとても感謝しています。この活動がこんなに注目されていることに勇気づけられました。選出された12人のプロジェクトメンバーは、これからコンセプトの開発プロセスをいっしょに相互に共有していきます。そこから具体の展示を作り上げていくことになります。
テクノロジーが身体の延長としての道具の領域であった時代は終わっています。現在の世界では、人間はテクノロジーにプログラムされているといっても過言ではありません。テクノロジーなくしては生きていけないにも関わらず、それは自分で操作できるものではなくなっているのです。アーティストにとって、この問題を考えずに活動することは不可能です。この問題を広く示すこと、それを越えて未来に向けてなんらかの可能性を提示することをこの12人メンバーと進めることができることは幸いです。
3. 藝術と技術の対話(DAT)の教育プログラム
「コンセプト構築」と「2つの展覧会」を目標に、講座・調査研究から展覧会の実現までを目指す総合的な教育プロジェクト
「藝術と技術の対話(DAT)」は、日本の文化芸術におけるアート&テクノロジー分野の持続的な発展に寄与するため、客観的なコンテクストの構築と価値基準となるコンセプトを提示し、批評と対話を促進する専門家の育成を目的とするプロジェクトです。
2025年11月からはプロジェクトの第1弾となる講座シリーズ「アート&テクノロジーの概念構築」(全7回+特別回)を開催中。「コンセプト構築」に必要となるメディア・技術・美術・哲学を通じた広範なテーマについて、230名以上が学んでいます。
講座シリーズ「アート&テクノロジーの概念構築」(全7回)の開催の様子
 
講座シリーズ「アート&テクノロジーの概念構築」(全7回)の開催の様子
続く2026年5月からは、国内外で開催する展覧会をOJT(実地研修)の環境とした教育プログラムを展開。ここでは、「2つの展覧会の実現」を目指し、作品やコンセプトを言語化する能力、そして鑑賞体験を通じて知的刺激と対話を生み出す展覧会の策定能力の育成に取り組みます。
本プロジェクトの特徴
(1)各カリキュラムに参加する交通費等を提供支援
DATは、文化庁の補助金により独立行政法人日本芸術文化振興会に設置された「文化芸術活動基盤強化基金」による助成を受けて実施しています。海外展開のための実践的な社会人育成支援の機会として、「DATプロジェクトメンバー」は交通費等の提供支援を受けて、本プログラムに参加できます。
 
助成:文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等支援事業(育成プログラム構築・実践))|独立行政法人日本芸術文化振興会
(2)アート&テクノロジー分野の専門機関等と連携した国際的な教育基盤
本プログラムでは、札幌国際芸術祭2027とブルックリン実験アート財団(BEAF)をパートナーに迎え、札幌とニューヨークでの展覧会をOJT(実地研修)の環境とします。さらに、ブートキャンプを山口情報芸術センター[YCAM]で開催。DATでは、国内で培われたアート&テクノロジー分野の実践を接続し、国際的な展覧会の実現へと展開します。
(3)アーティスト、起業家、編集者、研究者等が幅広く参画
本プログラムは、特定の職能に限定せず、企画、制作、研究、技術、マネジメントなど、それぞれの専門性を持つ参加者が協働することで、アート&テクノロジー分野における新たな対話と実践の可能性を探ります。
藝術と技術の対話(DAT)概要
 
主催・企画制作:株式会社イッカク
助成:文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等支援事業(育成プログラム構築・実践))|独立行政法人日本芸術文化振興会
公式サイト:https://dat.1kc.jp 
 
会社概要
株式会社イッカク https://1kc.jp 
2008年に創業したクリエイティブプロダクション。アートとテクノロジーによるアプローチで、文化芸術の多様なプロジェクトを企画、運営。行政機関、文化施設、大学等研究機関での実務およびパフォーミングアーツや現代美術、エンターテインメント領域での活動経験を活かし、様々なステークホルダーとの協働体制による文化芸術の持続的な発展を目指す。