ミツモアが「メンタル不調による休職が職場に与える影響に関する調査」を実施。2年後義務化のストレスチェックシステム依頼数は1.75倍も止まらず悪循環。
 ビジネス製品・サービスのオンライン比較サービス「ミツモア」を運営する株式会社ミツモア(本社:東京都中央区、代表取締役CEO:石川彩子)は、メンタル不調による休職が職場に与える影響について調査を実施しました。
 その結果、休職者が出た企業の約8割で業務に支障が生じ、カバー社員の16.9%が自身もメンタル不調で休職する"連鎖"が起きていることがわかりました。
 傷病手当金の支給額は5年で1.6倍(約6,100億円)に達し、メンタルヘルス不調が支給件数の39%を占めて最多となっています*¹。新生活の環境変化や五月病リスクが重なる4~5月は、こうした問題が特に顕在化しやすい時期です。
 ミツモアは、この構造的な課題を離職・採用難に次ぐ「第三の人手不足」として、定義しました。
*¹参考:メンタル不調増加、膨らむ傷病手当金 5年で1.6倍、健康保険から|朝日新聞
調査サマリー
1. 悪循環の実態
・メンタル休職者が出た企業の約77%で、業務遂行に支障が発生
・休職者の業務をカバーした従業員の41.6%で残業・休日出勤が増加
・カバー社員の16.9%が自身もメンタル不調で休職する"連鎖"が発生
・75.8%の企業で、業務全体の負荷が「増えた」と回答
2. 採用によるカバーも困難
・代替人員の採用を試みた企業の38.2%が「見つからなかった」と回答
・結果として71.5%が「他の従業員で分担」で対応
3. "気づく仕組み"は進むも、"対処"に課題
・ストレスチェックの実施率は79.8%に達する一方、悪循環は止まっていない
・法改正(50人未満への義務化拡大)を23.5%が「知らなかった」
4. ストレスチェック需要は1.75倍に急増
・ミツモアへのストレスチェックシステム依頼数は直近1年で1.75倍
・建設業2.06倍、運輸業1.95倍、製造業1.89倍と人手不足が深刻な業種で特に顕著
離職・採用難に次ぐ「第三の人手不足」――メンタル休職による"見えない欠員"が拡大
 人手不足には大きく分けて「離職」と「採用難」の2つが挙げられますが、今、第三の形態が広がっています。在籍しているにもかかわらず、メンタル不調で職場を離れざるを得ない社員が生じることで起きる人手不足、これを「第三の人手不足」として定義しました。休職者は離職統計にも求人倍率にも現れないため、問題が見えにくいことが特徴です。
※メンタル不調による休職は、過度な業務負荷や職場環境など組織側の課題が背景にあることが多くあります。本調査は休職した個人を問題視するものではなく、休職が生じた際に組織として対応しきれず悪循環に陥る構造的な課題を明らかにすることを目的としています。
メンタル休職者が出た企業の約8割で、納期遅延・受注制限など業務に支障
 メンタル不調で休職者が出た企業(n=550)に業務遂行への影響を聞いたところ、78.4%が何らかの支障があったと回答しました。
 特に注目すべきは、27.8%の企業が「業務の受け入れや営業活動を制限・縮小せざるを得なかった」と回答している点です。受注を断る、対応件数を減らす――こうした事態は、売上やサービス提供に直接的なダメージを与えます。これはまさに、人が足りないことで事業が回らなくなる「人手不足」と同じ構図です。
7割が「他の従業員で分担」で対応。代替人員を探した企業の4割は「見つからず」
 休職者の業務への対応方法を聞いたところ、71.5%が「他の従業員で分担した」と回答。代替人員の採用を検討した企業のうち、38.2%は「採用しようとしたが、見つからなかった」と答えており、「離職でも採用難でもないのに人が足りない、しかもその穴を埋める人材も見つからない」という二重の困難に陥っている実態が明らかになりました。
カバー社員の約4割で残業増、16.9%は自身もメンタル不調で休職する負の連鎖が発生
 最も深刻な発見は、休職者の業務をカバーした従業員への影響です。41.6%で残業・休日出勤が増加し、33.6%でモチベーションの低下が見られました。そして16.9%、つまり約6社に1社の職場で、カバーしていた社員自身もメンタル不調で休職するという"連鎖"が発生しています。
 業務全体の負荷についても、「大幅に増えた」(19.3%)と「やや増えた」(56.5%)を合わせると75.8%が負荷増を実感しています。
 一人が抜けた穴を、残された社員が無理をして埋め続ける組織体制に構造的な脆さがあり、その脆さが連鎖的な不調を生んでいることがわかります。
ストレスチェックシステムの依頼数は1.75倍に急増、建設業2.06倍・運輸業1.95倍
 こうした「第三の人手不足」への危機感を反映するように、ミツモアにおけるストレスチェックシステムの依頼件数は、直近1年間で1.75倍に急増しました。
 
 業種別では、慢性的な人手不足が指摘される建設業(2.06倍)、運輸業(1.95倍)で特に需要が突出しています。もともと人材確保が難しいこれらの業種では、既存の人手不足に加え、メンタル不調による"見えない欠員"が重なることで、現場の負荷がさらに深刻化している可能性がうかがえます。
ストレスチェック実施率は約8割も、悪循環は止まらず--"チェック後の対策"に課題
 本調査では、メンタルヘルス対策としてのストレスチェックの実施率が79.8%に達していることも明らかになりました。2025年5月に成立した改正労働安全衛生法*²により、従業員50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化される方向で制度整備が進んでいます。(施行は最長2028年5月まで)
*²参考:厚生労働省
 一方で、この義務化の動きを「知らなかった」と回答した企業が23.5%に上りました。
 ストレスチェックという従業員の異変に"気づく仕組み"の普及は着実に進んでいます。しかし本調査の結果は、気づいた後に組織としてどう対処するか--職場環境の改善、業務負荷の分散、復職支援の体制づくり――という"出口"の部分がまだ十分に整っていない現状を示唆しています。
 ストレスチェックの実施率が約8割に達しながらも、悪循環が止まっていないという事実は、"チェックして終わり"ではなく、その先の具体的な対策とセットで初めて効果を発揮することを物語っています。
「第三の人手不足」を防ぐために――ストレスチェックに加えて企業が取り組むべき3つの対策
 「第三の人手不足」を防ぐために、ストレスチェックに加えて企業が検討すべき対策として、以下のようなものがあります。
1.福利厚生の充実
従業員の心身の健康を支える福利厚生は、メンタル不調の予防だけでなく、離職防止やエンゲージメント向上にも寄与します。食事補助、運動支援、リフレッシュ休暇など、日常的に従業員の健康を底上げする仕組みが重要です。
 
2.従業員満足度の可視化
ストレスチェックが"不調の早期発見"を目的とするのに対し、従業員満足度調査(エンゲージメントサーベイ)は"不調の予防"に焦点を当てたツールです。職場環境の課題を定期的に可視化し、改善アクションにつなげることで、メンタル不調の発生自体を減らすことが期待できます。
 
3.離職防止・定着率向上の取り組み
悪循環の出口の一つが「退職」です。本調査でも、カバー社員の14.9%が実際に退職しています。1on1ミーティングの導入やキャリア支援、柔軟な働き方の整備など、従業員が「この会社で働き続けたい」と思える環境づくりが、連鎖的な離脱を食い止める鍵になります。
調査概要
調査期間:2026年4月10日~4月11日
調査対象:メンタル不調による休職者が過去3年以内にいた企業の経営者・人事労務担当者・管理職
有効回答数:550
調査方法:インターネット調査
※ミツモアのストレスチェックシステム依頼データは、2024年4月~2025年3月と2025年4月~2026年3月の比較に基づきます。
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