- 約8.2億円規模、農業データ基盤からAI収穫量予測・実運用までを一気通貫で実装 -
Degas株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:牧浦土雅、以下「Degas」)は、このたび経済産業省による「グローバルサウス未来志向型共創等事業(大型実証非 ASEAN 加盟国)」二次公募に採択されたことをお知らせいたします。補助対象経費は約8.2億円です。本事業は、ガーナ共和国およびケニア共和国において、農家・農地単位の一次データ取得から、AIによる収穫量予測、実運用までを一気通貫で実装し、意思決定の高度化を実現するDX実証事業です。AI人材育成の分野で実績を持つ株式会社松尾研究所(以下「松尾研究所」)と共同で推進します。

【背景と社会課題】
アフリカの人口は約15億人、そのうち労働人口の約60%が農業に従事しています(※1)。世界の未開拓耕作地の約60%がアフリカに集中する(※2)一方で、穀物収量は1ヘクタールあたり約1,400kgと他の途上国(4,000kg超)の3分の1程度にとどまっており(※3)、農業分野全体では年間約750億米ドルの資金ギャップが存在するとされています(※4)。この背景には、農家・農地単位での収益性・リスクを定量的に評価する手段が確立されておらず、金融機関・保険会社をはじめとする企業にとって参入障壁が高いという構造的な課題があります。
 
AI時代において、データは価値創出の起点です。しかしアフリカの農業分野では、そもそもAIモデルの学習・運用に必要な一次データが体系的に取得・蓄積されていません。衛星データや公開統計のみでは、農家一軒一軒の営農行動や収穫量を正確に捉えることは困難であり、活用可能なデータを取りに行く現場オペレーションの構築が不可欠です。
 
本事業は、データが存在しない領域において、一次データの取得設計からAIモデル構築、現地AI人材の育成、金融・保険分野での実運用までを一気通貫で実装することで、データのない領域にこそ価値がある時代において、グローバルサウスでの新たな事業モデルの確立を目指します。

【採択事業概要】
事業名称: 令和6年度補正グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(大型実証 非ASEAN加盟国)二次公募 
プロジェクト名: 農業データ基盤構築およびAI収穫量予測技術の実証と現地AIエンジニア育成事業 
実施国: ガーナ共和国、ケニア
実施期間: 2026年4月1日 - 2029年2月28日(3年間) 
補助対象経費: 約8.2億円

【実施体制と各社の役割】
Degas株式会社(幹事法人) - 農家・農地単位の一次データ取得基盤の設計・構築、データパイプラインおよびAIプロダクトの構築、日本の金融機関・保険会社等との連携による商業化推進 
 
Degas Ghana Ltd.(ガーナ子会社) - 既存の農家ネットワークおよび現地オペレーション体制を活用した一次データ取得の実装・運用 
 
株式会社松尾研究所 - GCI(Global Consumer Intelligence)プログラム卒業生向けの現地インターンシップ機会の提供、実践的ワークショップの実施・提供、共同研究プロジェクトを通じたOJTの実施


【事業内容】
本事業では、実証設計・現地準備からデータ取得の実装、AIモデルの構築、実運用と評価、現地AI人材育成、実践的ワークショップ、共同研究、他国展開に向けた基盤整理まで、3年間で一気通貫に推進します。最終的に、日本の金融機関・保険会社が投融資判断に活用できる水準のデータ基盤とAIプロダクトの構築を目指します。

【類似事業との相違点】
当社は本事業に先立ち、JICA DXLabのデジタルパートナーとして、エチオピアにおける衛星AIを活用した農業保険支援プロジェクト(AI-driven geospatial analytics for cost effective crop cutting experiment)(※5)に参画しているほか、自社でもガーナにおける作況調査・収穫量把握の試行(2024年)や、収穫量と降雨量データを組み合わせた活用の試行(2025年)を実施してきました。 
 
これらの過去の取り組みに共通する課題は、データ取得オペレーションとAIプロダクト構築が分断されていたことです。本事業では、一次データ取得の設計からAI構築、さらに金融機関・保険会社が参画判断を行えるレベルの実運用までを、本補助を受けて3年間で一気通貫かつ大規模に実施する点が根本的に異なります。
 
【政府支援の必要性】
金融機関・保険会社が投融資判断を行えるデータ水準の構築には、数万-数十万軒規模での中長期的な一次データ取得が必要であり、初期段階では多額の先行投資を要する一方、短期的な収益回収は困難です。本補助金支援により、十分な規模と期間で一気通貫の検証を行い、商業化・大規模投融資に耐えるデータと運用モデルを確立することが可能となります。

【当社の強み】
2018年の創業以来、ガーナ共和国において累計85,000軒超の小規模農家向けにファイナンスを提供、農家ネットワークおよび現地オペレーション体制を構築してまいりました。
本実証事業推進にあたっては、既に保有している既存の農家ネットワークおよび現地オペレーション体制を、即時に活用・展開が可能です。
さらに、本事業においてAI人材育成を担う松尾研究所は、日本で確立された実践的なAI人材育成プラットフォームであるGCIを運営しており、2025年9月開講の講義には世界32カ国から7,000人超が受講するなど、グローバルな実績を有しています。本事業では、GCIプログラムを基盤とした現地AIエンジニアの育成を通じ、持続的な運営体制を確立していきます。


【事業の意義・社会的効果】
本事業により、リスク・収益性を定量的に評価できるデータ基盤を構築し、日本の金融機関・保険会社がアフリカ農業分野へ本格参入するための環境を整備します。同時に、松尾研究所と連携した現地AI人材の育成により持続的な運営体制を確立するとともに、実証で得られるビッグデータを日本にも還元し、グローバルサウス発の知見を活用した新産業創出に寄与します。加えて、日本企業の新規海外市場参入余地の提供により、新たな雇用創出に貢献します。
 
【コメント】
Degas株式会社 代表取締役 牧浦土雅
アフリカで累計85,000軒超の農家と共に歩む中で、現地の農業データが正しく取得・活用されていないことが金融アクセスの最大の障壁だと確信しています。データのないところに自ら入り込み、取得からAI構築・実運用までを一気通貫で構築できることが当社の強みです。松尾研究所と共に、日本の金融機関・保険会社がアフリカ農業に、ひいてはアフリカという膨大なマーケットに本格参入できる土台をつくっていきたいと考えています。
株式会社松尾研究所 技術顧問松尾豊
アフリカには、AIが課題解決に貢献できる大きな可能性が広がっています。なかでもDegas社が取り組む農業分野は、現地の産業・経済の根幹を担いながら、十分にデータ化が進められていない伸び代のある領域です。松尾研究所は現地でのインターンシップやワークショップの提供を通じ、AI人材の育成、ならびにアフリカでの事業への貢献の両輪を回していきたいと考えています。
株式会社松尾研究所について
株式会社松尾研究所は国立大学法人 東京大学大学院 工学系研究科 松尾・岩澤研究室に伴走し、大学を中心としたイノベーションを生み出す「エコシステム」を作り、大きく発展させることを目的に設立された研究所です。松尾研究所は、アカデミアから生み出される研究成果・技術の「開発・実装」を行い、広く社会に普及を目指し、日本の産業競争力の向上に貢献しています。
http://matsuo-institute.com
 
Degas株式会社について
会社名:Degas株式会社
代表者:牧浦土雅
HP: https://degasafrica.com/
事業内容:人々の生活を劇的に変えるためのサービス提供、関連テクノロジーの開発
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<本リリースに関するお問い合わせ>
Degas株式会社
お問い合わせ先:info@degasafrica.com
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引用・出典 
※1 World Bank, "Employment in agriculture (% of total employment)" https://data.worldbank.org/indicator/SL.AGR.EMPL.ZS 
※2 McKinsey & Company, "Winning in Africa's agricultural market" (2019) https://www.mckinsey.com/industries/agriculture/our-insights/winning-in-africas-agricultural-market 
※3 World Bank, "Agricultural Productivity Growth in Africa" https://openknowledge.worldbank.org/ 
※4 African Development Bank (2025) https://www.afdb.org/ 
※5 JICA DXLab, "AI-driven geospatial analytics for cost effective crop cutting experiment in Ethiopian Insurance" https://www.jica.go.jp/english/about/dx/project/detail/1569321_68029.html