日本財団(東京都港区、会長 尾形 武寿)と長野県(知事 阿部 守一)はこの度、里親やファミリーホームによる家庭や特別養子縁組を長野県内で普及・促進する取り組みの開始にあたり、連携協定を締結しました。
▶協定書にサインをする阿部長野県知事(左)、佐藤日本財団常務理事(右)
 虐待や親の死亡・病気、経済的理由などで生みの親と暮らせない子どもに措置される社会的養護については、集団生活で職員が交代する施設養育と比べ、より家庭に近い環境となる家庭養育が望ましいとされます。2016年の改正児童福祉法で「家庭養育優先」が原則化され、各自治体において取り組みが進められていますが、里親委託率は全国平均で26.3%(2024年度末)。国は全国で目指す委託率の目標水準や達成時期を各都道府県や政令指定都市等に通知してきましたが、実態及び自治体が策定する計画との間には隔たりもみられます。
 
 この度の協定のもと、同県及び児童相談所、民間団体等と連携して実施する今回の取り組みは、2029年度までを目処に、2024年度末時点で約21.4%にとどまる里親委託率の向上と、他県にも拡大展開できるモデル事例の構築を目指します。本事業の推進にあたっては、当財団が2021年に連携協定を締結した自治体(山梨県・大分県・福岡市)との共同事業で得られた知見を活用するほか、国内初導入となる米国発祥で家庭養育の質向上に関する取り組み「QPI(Quality Parenting Initiative)」の実施、県内初となる「乳幼児短期緊急里親事業」の開始、そして里親支援センターの設置や地域の家庭支援体制の整備に取り組む県内3団体(社会福祉法人法延会、社会福祉法人つるみね福祉会、特定非営利活動法人フリーキッズ・ヴィレッジ)への助成など、子どもの最善の利益を実現するための先進的な体制整備を共同で進めていきます。
 
■関係者コメント
▶阿部 守一(長野県知事)
昨年3月に策定した長野県社会的養育推進計画に基づいて里親委託等の取組を推進する中、日本財団との協定を締結することで民間事業者への強力な支援ができる。県と民間事業者が連携し、そして日本財団の知見も活かしながら支援体制を強化し、こどもたちの永続的な養育環境の確保に向けて取り組みます。子どもたちの明るい未来のために、この事業が全国のモデルとなるように県として取り組む決意です。
▶佐藤 英夫  (日本財団 常務理事)
児童相談所への相談件数は高止まり、そして小中高生の自殺数数は過去最多になるなど、日本の子どもたちは厳しい状況に置かれています。そのような子どもたちに必要なのは、いつも一緒にいてくれる大人がいて家庭の中で自分らしく育つことだと思います。長野県とともに、これまで当財団が自治体と連携する中で培われてきた知見も活かし、社会的養護を経験した子どもや若者、里親や実親の声も重視することで、全国でも模範となるような事業にしていきたく思います。
 
■背景及び当財団の取り組みについて
日本では、生みの親と暮らすことができず、社会的養護を必要とする子どもが約4万2,000人(こども家庭庁支援局家庭福祉課「社会的養育推進に向けて」令和8年3月)います。このうち約8割の子どもは乳児院や児童養護施設などの施設で生活しており、里親や養子縁組等の家庭的な環境で暮らしている子どもは約2割にとどまっています。一方で国際的には、子どもの権利条約で子どもは家庭で育つ権利があるとされており、イギリス、アメリカ、オーストラリアを始めとする欧米諸国では、里親などの家庭における養育が主流となっています。
 
こうした中、日本でも2016年の改正児童福祉法により、子どもの家庭養育優先が原則として明確化されました。2017年には国(厚生労働省)が「新しい社会的養育ビジョン」を公表。国は現在、2029年度までに里親委託率について乳幼児は75%以上、学童期以降は50%以上を目標として示しています。これを受けて各都道府県は社会的養育推進計画を策定し、それぞれの里親委託率の目標値を設定していますが、実態としては全国平均で3歳未満児が29.4%・3歳から就学前が36.3%・学童期以降が23.9%(いずれも2024年度末)にとどまります。
 
日本財団は、子どもたちがあたたかい家庭で生活することが望ましいという考えのもと、これまで特別養子縁組や里親制度など家庭養育の推進に取り組んできました。本事業は、国の目標達成を目指す自治体をモデルとして支援し、成果や課題について検証し、その手法や成果の全国への普及を図ることを目的に、全国の自治体と協定を締結して実施するものです。
 
第一フェーズ(2021年~2025年)では、大分県、山梨県、福岡市の3自治体と協定を結んで事業を実施し、フォスタリング機関の立ち上げや乳幼児緊急里親モデル事業、乳幼児総合支援センターの設立や里親支援等の事業を支援してきました。その結果、大分県、福岡市では、3歳未満の里親委託率75%が達成され、山梨県ではパーマネンシー保障(子どもが安定した家庭環境で育ち続けられるようにすること)のチームが全国に先駆けて設置されました。
 
第二フェーズ(2026年~2029年)では、長野県と協定を締結し、様々な家庭養育推進事業を展開していきます。協定内容には、日本初の導入となる、米国発祥の家庭養育の質の向上を目指す取り組みQuality Parenting Initiative(QPI)を盛り込み、子どもの最善の利益が実現されるよう、実親と里親の協働による養育や里親支援の充実等に取り組みます。
 
■関連記事(日本財団ジャーナル):
▶潜在的な里親候補者は100万世帯!なぜ、里親・養子縁組制度が日本に普及しないのか?(2025年10月)
https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/17667 
▶里親制度の国際調査報告書(2025年3月)
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/information/2025/20250310-109646.html
 
■日本財団について https://www.nippon-foundation.or.jp/
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日本財団(東京都港区、会長 尾形 武寿)と長野県(知事 阿部 守一)はこの度、里親やファミリーホームによる家庭や特別養子縁組を長野県内で普及・促進する取り組みの開始にあたり、連携協定を締結しました。