管理職のパワハラリスクを「個人のモラル問題」として処理するのではなく、プレッシャーを生み出す構造にアプローチすることで、どのようにパワハラを予防したのか、その実践的なプロセスをご紹介します。
株式会社エンディングキャリア(本社:東京都渋谷区、代表取締役:佐藤大介)は、大手自動車部品メーカーのパワハラリスクを、組織風土改善で低減した支援事例を公開しました。
※クライアント企業や個人の特定を避けるため、事例の本質を損なわない範囲で一部の情報を変更・加工して記載しています。
直面していた課題
EV化の波が押し寄せ、部品のモジュール化や極限の軽量化が求められる昨今、製造現場のQCD(品質・コスト・納期)に対するプレッシャーはかつてないほどに高まっていました。
 
製造部H課長は、その重圧を一身に背負うベテラン管理職でした。彼の頭にあるのは「絶対に不良品を出さない」「納期を遅らせない」という強い責任感。しかし、その「正義」は、いつしか強い口調や威圧的な態度となってメンバーへ向けられるようになっていました。
 
現場の空気は冷え切り、メンバーは常にH課長の顔色をうかがう状態に。ミスを報告すれば激しく叱責されるため、不具合の報告は遅れがちになります。その結果、さらにH課長が叱責するという悪循環に陥っていました。ついには、H課に配属された若手・中堅メンバーが相次いでメンタル不調を訴え、半年間で2名が退職、1名が休職に追い込まれていました。
解決に向けたアプローチ
当社はまず組織で何が起きているのかを客観的に「観察」することから始めました。最初に行ったのは、H課全体の「組織風土診断」です。診断の結果から、「メンバーが上司に率直な意見を伝えることに難しさを感じている」という現状が見えてきました。
 
この事実をもとに、H課長との1on1ミーティング(月1回・計6回)をスタートさせました。当初、H課長は腕を組み、「コンサルが現場の何を分かっているんだ」と不満の言葉を口にしていました。しかし、私たちは、その言葉を「抵抗」として片づけず、彼の奥にある「感情」と「価値観」に耳を傾けました。
 
共感的な問いかけを粘り強く続けるうちに、彼はポツリと、「本当は、みんなで協力していいモノを作りたいだけなんです。でも、日々のプレッシャーの中で余裕がなくて、とても苦しいんです」と、自身の本音をこぼしました。
 
ここが大きな転換点となりました。1on1の目的を、H課長の「質の高い仕事をチームで成し遂げたい」という熱意を活かしつつ、メンバーが安心して働ける環境をどう両立させるかという前向きなテーマへと再定義したのです。以降の毎月の1on1では、日常のマネジメントで使える具体的なコミュニケーションとして、以下の実践トレーニングを行いました。
 
・評価せずに事実を伝える
・背景にある本音を聴く
・命令ではなく提案する
 
当社コンサルタントとの対話を重ねる中で、H課長自身も、自分が抱えていた過度なプレッシャーや焦りを客観視できるようになっていきました。自らの心に余裕を取り戻したことで、結果的にメンバーの悩みや状況にも自然と寄り添えるようになり、チーム全体を巻き込む新しいマネジメントスタイルを獲得していきました。
 
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本記事内のデータの利用条件
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執筆者プロフィール
株式会社エンディングキャリア
代表取締役 佐藤大介

高校卒業後に航空自衛隊へ入隊。その後、就職氷河期の中で転職を重ねながらキャリアを形成し、大手から中小企業まで多様な業種を経験。事業責任者および人事責任者として、人材育成・組織開発領域に20年従事。現在は、組織開発コンサルタントとして、企業の持続的な成長を支援。多摩大学大学院修了、キャリアコンサルタント。
会社概要
社名:株式会社エンディングキャリア
所在地:東京都渋谷区恵比寿西2-19-9 フランセスビル1階2階
代表者:代表取締役 佐藤大介
URL:https://endingcareer.co.jp/
 
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