全国118社の中小企業取材で見えた、準備なき承継のリアル
株式会社ココペリ(東京都千代田区、代表取締役CEO:近藤繁)が運営する中小企業向けウェブメディア『コネクト』は、2026年3月の創刊1周年を記念し、これまでに実施した全国118社へのインタビューをもとにした実態レポートを3回にわたって発表いたします。第2弾のテーマは「事業承継」。「準備しながら徐々に継いでいく」のが当たり前だと思われがちな事業承継が、多くの経営者にとって「突然」であることが明らかになりました。取材を通じて見えてきた3つの承継パターンをご報告します。
調査概要
調査名:コネクト創刊1周年記念レポート「地域中小企業のリアル」Vol.2
調査期間:2025年3月~2026年3月
対象:全国118社の中小企業経営者・担当者(Big Advance会員企業中心)
調査方法:対面・オンラインによる個別インタビュー(各社60~90分)
業種:食品製造、製造業、小売、介護・福祉、飲食、IT、造船関連など多岐にわたる
事業承継の「本当の姿」--3つのパターン
パターン1. 「ある日突然」型--親の急病で否応なく代表に
「赤字で借金とかいろいろある中で、急に父が倒れて。どうすればいいのかと。全くの素人でした」
(製麺業・代表)
 
創業30年以上の製麺会社の現代表は、別会社で営業職として働いていた最中に父親が突然倒れたことで承継を余儀なくされました。引き継いだのは赤字と借金と、何もわからない状態。一から自分で対応していくことになりました。
 
急病や急逝による「ある日突然」の承継は、複数の企業で見られた事例です。引き継いだ直後の慌ただしさと混乱がいずれのケースにも共通していました。
パターン2. 「気づいたら継いでた」型--状況に押されて帰郷、経営者としての準備はゼロのまま
「嫌でしたけどね。まあいつでも逃げ出せばいいなって、今だから言えますけど」
(鞄製造業・代表)
 
鞄製造業の代表は、板前になりたかったという夢を持ちながら、「半分介護」のために帰郷しました。帰郷後に自ら製造ラインを立ち上げ、コロナ禍を機に異業種との融合に活路を見出しました。「コロナのせいでこうなったとは言いたくない。コロナのおかげで変われた会社になりたい」という言葉には、消極的な帰郷から自ら意味を作り出した経営者の姿がありました。
 
「父親も自分の代で終わらせるかどうかは迷っていたみたいで。継ぐ前提の勉強もしなかったし、前に勤めた会社も辞めるつもりで入ったわけではなかった」
(プラスチック製造業・代表)
 
ある製造業では、先代自身が事業継続について迷っていたという状況のもと、帰郷と承継が曖昧なまま進みました。
 
「継いでほしい」「いつか継ぐかもしれない」という前提が親子間で明示されていなかったケースが多いのが、取材を通じて見えた共通点でした。
パターン3. 「逆算して帰ってきた」型--スキルを積んでから継いだ好事例
「強みがないとダメだなと思っていて。商売って掛け算だと思うんですけど、自分がこの仕事に戻ってきた時に何ができるかと考えて、会計の専門性を持ってから継ごうと決めた」
(精肉業・代表)
 
和牛を扱う精肉店の現代表は、監査法人で公認会計士として5年間のキャリアを積んでから帰郷しました。「会計はどの企業でも通じる共通言語。様々な会社のベストプラクティスを見られる」という発想で、自分の「掛け算の軸」を意図的に作ってから承継に臨んだといいます。
 
注目すべきは、このように「何を身につけてから継ぐか」を設計して動き出した経営者が、118社の取材の中で極めて少数だったということです。「継ぐかもしれない」という前提はあっても、具体的に備えていたケースはほんの一握り。そこにこそ、事業継承の現実があります。
コネクト編集部より
取材の中で「もともと継ぐつもりでしたか」と聞くと、「そんなつもりはなかった」という答えが返ってくることが何度もありました。事業承継とは「準備して臨むもの」という前提が、取材を重ねるほど揺らいでいきました。
 
一方で、そうした経営者たちが今も会社を動かし続けているという事実があります。突然始まった承継の中で、自分なりの意味を見つけ、少しずつ前に進んできた--その経験こそが、同じ立場にある経営者への何よりのヒントになると、編集部は考えています。
 
また、「スキルを積んでから継いだ」経営者たちのキャリアは、経営を学ぶことよりも営業職としての経験を積んだケースがよく見られます。特に小規模事業者では経営者自身が外部との窓口を担い続けることが多く、営業で培った「外に出る力」が、そのまま会社を牽引する力になっているのかもしれません。
 
今後も、地域中小企業のリアルをシリーズレポートとして発信していきます。
 
 レポート一覧
Vol.1「人手不足は『採れない』だけじゃなかった」--全国118社の取材で見えた、3つの人手不足の実態
Vol.2「事業承継は『突然』やってくる」--全国118社の取材で見えた、準備なき承継のリアル(本リリース)
コネクトについて
『コネクト』は、株式会社ココペリが運営する中小企業向けウェブメディアです。2026年3月に創刊1周年を迎え、これまでに全国118社の中小企業経営者・担当者へのインタビューを実施。「出会いとつながり」をテーマに、地域中小企業のリアルな声を届けています。Big Advance会員企業を中心とした取材記事のほか、ニュースレター・SNSも展開しています。
 
コネクトについて さらに詳しく
 

名称  :株式会社ココペリ
所在地 :東京都千代田区紀尾井町3-12 紀尾井町ビル11階
代表者 :代表取締役CEO 近藤繁
設立  :2007年6月
事業内容:ビジネスプラットフォーム事業
URL   :https://www.kokopelli-inc.com/
主要サービス:中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」 https://bigadvance.jp/

株式会社ココペリ(東京都千代田区、代表取締役CEO:近藤繁)が運営する中小企業向けウェブメディア『コネクト』は、2026年3月の創刊1周年を記念し、これまでに実施した全国118社へのインタビューをもとにした実態レポートを3回にわたって発表いたします。第2弾のテーマは「事業承継」。「準備しながら徐々に継いでいく」のが当たり前だと思われがちな事業承継が、多くの経営者にとって「突然」であることが明らかになりました。取材を通じて見えてきた3つの承継パターンをご報告します。

「赤字で借金とかいろいろある中で、急に父が倒れて。どうすればいいのかと。全くの素人でした」

「嫌でしたけどね。まあいつでも逃げ出せばいいなって、今だから言えますけど」

「父親も自分の代で終わらせるかどうかは迷っていたみたいで。継ぐ前提の勉強もしなかったし、前に勤めた会社も辞めるつもりで入ったわけではなかった」

「強みがないとダメだなと思っていて。商売って掛け算だと思うんですけど、自分がこの仕事に戻ってきた時に何ができるかと考えて、会計の専門性を持ってから継ごうと決めた」