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イスラエル軍による発砲の流れ弾で頭部を負傷した子どもと父親=2026年2月15日 (C) Nour Alsaqqa/MSF |
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2025年10月10日にパレスチナ・ガザ地区で停戦が発効してから6カ月が経過した。しかしこの停戦はもろく実効性に乏しく、ガザでは現在もイスラエル軍による攻撃が続き、軍事支配がますます拡大している。人道援助は妨げられて人びとは厳しい生活を強いられ、本来なら防げるはずの死が相次いでいる。紛争の激しさは以前に比べて弱まったものの、ガザは依然として壊滅的な状況だ。 |
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国境なき医師団(MSF)は各国政府に対し、イスラエル当局が民間人の保護や人道援助の許可を行うよう働きかけなければならないと訴える。 |
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停戦後も続く攻撃で大勢が負傷 |
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ガザ保健省によると、昨年10月10日の停戦から今年4月8日までに、少なくとも733人が殺害され、1913人が負傷した。MSFは多数の負傷者が一度に運ばれる事態に常に対応し、攻撃による負傷者を少なくとも244人治療。その中には多くの子どもが含まれていた。 |
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銃弾や爆発などでけがを負った患者に対してMSFが医療処置を行った件数は、停戦以降で4万件を超える。停戦以降、MSFは2つの仮設病院だけで1万5000件以上の外傷治療を行った。その中には、最近負傷した人も、長期の治療が必要で通院している人も含まれる。北部のガザ市にあるMSFの診療所だけでも1万8000件以上の医療処置が行われ、その60%以上が外傷によるものだった。 |
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MSFの緊急対応マネジャーであるクレア・サン・フィリポはこう話す。 |
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「停戦から半年が経っても、ガザにおけるパレスチナ人へのジェノサイド(集団殺害)は終わっていません。イスラエル当局はさまざまな条件を課し、人びとの生活を破壊し続けています。激しさは弱まったものの攻撃は続き、依然として壊滅的な状態です。人びとに膨大なニーズがあるにもかかわらず、イスラエル当局は援助物資の搬入を制限し続けています」 |
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ガザ北部の破壊された建物=2026年2月24日 (C) Craig Kenzie/MSF |
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妨げられる援助活動 |
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ガザの人びとは清潔な水や食料、電力の不足に直面し、医療を受けることも困難だ。ガザで援助活動を行ってきたMSFなど37の国際NGOをイスラエルが登録拒否したことにより、さらに厳しさが増している。2026年1月1日以降、MSFはイスラエル当局によりガザへの医療・人道援助物資の持ち込みを一切止められている。 |
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同時に、イスラエルはガザの外で専門治療を必要とする患者の医療搬送も妨げている。WHOによると、現在ガザでは1万8500人以上が医療搬送を待っており、その中には4000人の子どもが含まれている。 |
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MSFの医療施設では、ガーゼや湿布、滅菌された医療物資(手袋、ガウン、消毒剤など)をはじめ、インスリンなど非感染性疾患の治療薬をはじめとした医薬品が極めて不足している。この状況は慢性疾患の治療に深刻な影響を及ぼし、ガザの人びとの苦しみを増大させると同時に、彼らの尊厳をも奪っている。 |
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「この戦争の間に、私の家族の高齢者は残念なことに皆亡くなってしまいました」と、ガザで活動するMSFの現地看護師、ラミ・アブ・アンザは語る。「全員が慢性疾患を患っており、生活環境の悪化や医療の崩壊に加えて、薬が手に入らず苦しんでいました」 |
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「治療を受けるだけでも、本当に多くの苦労をしました」と語るのは、MSFの非感染性疾患(NCD)患者として登録されている患者、モハメド・アボ・ザイナさん69歳だ。 |
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「高血圧の薬も、糖尿病の薬も、心臓病の薬も手に入りません。精神的にも身体的にも非常につらいです。私たち高齢者はもう、本当に疲れ果てています。尊厳ある生活も、住む場所も、生計を立てる手段も何もありません」 |
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ガザ北部で人びとが暮らしている仮設の住居=2026年2月24日 (C) Craig Kenzie/MSF |
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生きる場所が狭められる |
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ガザでは9割の人びとが移動を強いられてテントや仮設の避難所で暮らしているが、停戦以降もその状況は大きくは改善していない。昨年10月から今年3月にかけて、ハンユニスのマワシ地区とアル・アタールにあるMSFが支援する診療所で多かった症例は、上気道感染症(42%)、疥癬(かいせん)やしらみなどの皮膚疾患(16.7%)、下痢(8.4%)で、過密状態で劣悪な生活環境に関連している。 |
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人びとが生活する空間は絶えず縮小し、暴力に囲まれている。停戦以降、ガザ地区は事実上「イエローライン」に沿って分割されており、イスラエル軍の完全な支配下にある区域が58%を占め、パレスチナ人は大部分が破壊されたわずか42%の土地に追い込まれている。イエローラインは明確に示されておらず、海に向かって西へ絶えず移動しており、数十万人の人びとを狭く過密な土地に押し込めている。イエローラインの境界線は「殺りく地帯」と化しており、イスラエル軍による銃撃、空爆、砲撃が連日発生。イスラエル軍艦も海から内陸に向けて発砲しており、人びとは四方から攻撃を受けている。 |
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各国政府はイスラエルに圧力を |
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4月6日、ガザのマガジ難民キャンプ付近で武力衝突とイスラエル軍の攻撃が起き、少なくとも10人が死亡、複数の人びとが負傷した。デールバラハにあるMSFの仮設病院では、16人の患者が治療を受け、その半数が重傷だった。 |
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MSFの医師ムラド・サリハはこう話す。 |
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「重体の患者の中には、7歳と8歳の少女がいました。2人とも命に関わる重傷を負って、緊急手術に運ばれました。必要な物資も人も限られていましたが、幸いなことに何とか2人の命を救うことができました」 |
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MSFは、米国、欧州連合(EU)およびその加盟国、ならびにアラブ諸国を含む各国の指導者や政府に対し、あらゆる政治的手段を使ってイスラエル当局に働きかけるよう求める。イスラエル当局は占領国としての義務に基づき、民間人を保護し、人びとが尊厳をもって暮らせる生活条件を回復させるとともに、ガザへの制限のない人道援助を直ちに許可しなければならない。 |
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