「銭湯業界」の動向調査(2025年度見通し)
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株式会社帝国データバンクは「銭湯業界」について調査・分析を行った。
                
SUMMARY
 銭湯業界はサウナブームを背景に市場規模が拡大し、2025年度の売上高は1200億円前後と、コロナ禍以降で最高水準となる見通し。一方、原油価格や人件費の高騰により収益環境は悪化し、2024年度は4社に1社が赤字、2025年度の利益水準も前年度から半減した。価格転嫁の制約が大きいなか、燃料費高騰が続けば、経営体力の弱い銭湯を中心に廃業リスクが一段と高まりかねない。
                        
[調査対象] 「公衆浴場業」を主力事業として展開する企業
[注1] 業績等のデータについては、2026年3月時点における帝国データバンクが保有する企業概要ファイル
(COSMOS2、約151万社収録)、企業信用調査報告書(CCR、約200万社収録)、外部情報などを基に集計した。
[注2] 事業者売上高(セグメント売上高、推定を含む)の合計。2025年度の数値は各社の予想値に基づく。
 銭湯の半数「業績悪化」 重油の高騰打撃 
スーパー銭湯やふろ屋業を含む「公衆浴場(銭湯)」の運営企業を調査した結果、2024年度の損益動向では4社に1社が「赤字経営」だった。前年度から「減益」となった企業を含めると、全体の約5割が「業績悪化」となった。2026年度の業績についても、速報値ながら3月末時点で「業績悪化」の割合が6割を超え、コロナ禍以来の高水準となった。「サウナブーム」という追い風を受ける一方で、原油価格や人件費の高騰などコスト増に直面しており、銭湯業界の苦境が続いている。
 
2025年度の「銭湯」市場(事業者売上高ベース)は1200億円前後での着地が見込まれ、前年度から約5%増加する見通しとなった。コロナ禍で営業時間の変更や入場者数の制限、臨時休業などの対応を余儀なくされたことで、大幅な減収となった2020年度(883億円)からは3割超の増加となり、コロナ禍以降で最高水準を更新する。入浴料金の引き上げが増収に寄与したほか、近時はサウナブームの影響で、従来の主力客層だった地域の高齢客から、若年層やファミリーへと顧客層が広がった。 オートロウリュやバレルサウナなどサウナ設備への投資を進めてきた銭湯では、遠方からの立ち寄り客など新たな需要を生み出したほか、アニメコンテンツなどとのコラボや有名スイーツ店との提携、季節限定メニューの投入など、企画力を生かした集客に成功する例もみられた。
                
他方で、2025年度の利益合計は27億円前後にとどまり、前年度(49億円)から半減する見通しとなった。特に「減益」に転じた企業の割合が上昇し、8年ぶりに3割台での推移となった。ドリンクやタオルなどの仕入れ価格が値上がりしたほか、近年は経費の大部分を占めるボイラー重油価格の上昇ペースが売上高の伸びを上回り、利益を大きく圧迫した。こうしたなか、大規模設備を強みに集客してきたスーパー銭湯では、値上げによる客離れリスクが高まり、公衆浴場法で「一般公衆浴場」に位置付けられる銭湯では、各都道府県が入浴料の上限を公定していることから値上げが容易ではなく、減益幅や赤字幅がより拡大しやすかった。
 銭湯業の「廃業」、25年度は7件 燃料費高騰で淘汰加速も 
2025年度における「銭湯業」の休廃業・解散(以下「廃業」)は7件となり、前年度(9件)からは減少した。ただ、足元では銭湯業でもボイラーに使う重油の取引量制限や、大幅な価格の上昇で通常営業が困難となり、時短営業などの対応を余儀なくされたケースも聞かれ、厳しい経営環境が続いている。実際に、重油の価格高騰が銭湯経営に与える影響は大きく、燃料費が3割上昇した場合における営業利益の減少率は、全産業平均で約5%にとどまったものの、銭湯業を主業とする企業の集計では平均で30%に達した[i]。さらなる燃料費の上昇が続けば、設備の老朽化や店主の高齢化、値上げによる客離れなどの課題を抱える銭湯を中心に、廃業の動きがさらに強まる可能性がある。
 
 
[i] 「燃料費の高騰が企業に与える影響度調査(2026年3月)」(2026年3月18日)