採用活動の難度が年々高まる中、今後は新卒採用とキャリア採用を組み合わせた採用構成へ
 企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山崎 淳 以下、当社)は、株式会社日経BP(本社:東京都港区 代表取締役社長CEO:井口 哲也)が発行する「日経ビジネス」と共同で、毎年新卒採用を行っている従業員規模100名以上の人事部門で採用領域に携わっている正社員を対象に「企業の新卒採用実態調査2026」を実施しました。本調査では、企業における新卒採用の現状や課題、採用構成の変化、採用施策の動向などを多角的に捉え、今後の新卒採用のあり方を探ることを目的としています。
 調査の結果、約6割が「新卒採用において計画人数または必要人数の達成に苦戦している」「新卒採用が長期化している」と回答しており、採用活動の難度が高まっている様子がうかがえます。
 一方で、多くの企業にとって新卒採用は依然として重要な採用手段であることも確認されています。約4分の3が「新卒採用を続けることは会社の発展にとって重要」と回答しており、将来の成長を担う人材の確保や長期的な人材育成の観点から、新卒採用の意義は大きいと認識されています。ただし、約3分の2が「新卒採用の今のやり方を変える必要がある」と回答しており、従来型の採用手法の見直しが求められていることも明らかになりました。
 また採用構成の見通しを見ると、現在は新卒採用中心の企業が多いものの、今後は新卒採用とキャリア採用(中途採用)を組み合わせた採用構成へと移行する企業が増える傾向が見られます。
さらに、新卒採用の現場では受け入れ側の課題も浮かび上がっています。新入社員の育成に時間や人員を十分に割けないと感じている管理職は約3分の2、新入社員のマネジメントに難しさを感じている管理職は約6割にのぼり、採用後の育成やマネジメントの負担が高まっている可能性が示されました。
 こうした状況の中で、企業は採用手法の見直しや新たな施策の導入を進めています。初任給の引き上げや内定者フォローの強化などの取り組みに加え、採用プロセスへのAI活用も広がりつつあり、いずれかのAI施策を導入している企業は約4割となっています。
 これらの結果から、新卒採用は依然として企業の人材確保において重要な役割を担う一方で、採用環境の変化や現場の負担の高まりを背景に、採用方法や育成のあり方を見直す必要性が高まっていることが示唆されます。新卒採用を企業の持続的な成長につなげるためには、採用手法の多様化やテクノロジーの活用に加え、育成や受け入れ体制の整備など、採用から定着までを見据えた取り組みが重要になると考えられます。本調査が、今後の新卒採用のあり方を検討する一助となれば幸いです。
 
【エグゼクティブサマリ】
・今後は新卒採用とキャリア採用を組み合わせた採用構成へと移行する企業が増える可能性を示唆(図表1)
・新卒採用は、将来の人材確保、キャリア採用は、即戦力確保や人手不足解消が主目的(図表2)
・新卒採用の主要な目的に対しては、総じて新卒採用が最適な手段として認識されている(図表3)
・新卒採用は長期化・採用難の傾向。新卒採用の縮小等が検討の俎上に乗ったのは約3分の1(図表4、5)
・新卒採用は企業成長に重要と認識される一方、採用方法の見直しやAI活用の動きも(図表6、7)
1.調査担当のコメント
 
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 
組織行動研究所 主任研究員 
武藤 久美子(ぶとう くみこ)
 労働力人口の減少、AIの活用などの背景もあり、新卒採用の今後について新卒採用に携わる方々はどのように考えているのかを知りたく調査を行いました。
本調査を通じて、日本の企業にとって新卒採用が人材獲得の手段として重要だと考えている方々が多いと見受けました。新卒採用の目的とキャリア採用の目的では異なる目的が意識されていましたので、各社が必要な人材を採用するために、新卒採用とキャリア採用の最適な組み合わせを考えるのだと思います。
 そして、約3分の2が「新卒採用の今のやり方を変える必要がある」と回答しました。変える必要があるといっても、新卒採用を廃止しようといったことではなく、新卒採用のあり方ややり方を考えたり、しっかり取り組んでいったりしようという意識の表れだと考えます。
 さらにいえば、本調査からは学生の皆さんや内定者の意向を汲もうとする状況が見て取れました。新卒採用から新入社員の定着・活躍を一連に考える必要も増すでしょう。仮に採用場面だけでそれを行うと入社後のギャップが開く可能性があります。入社後の定着や活躍も見据えた人材マネジメントを考えていくことがこれまで以上に重要になるのではないでしょうか。
新卒採用も含めた若手の定着や活躍は、企業でも関心の高いテーマです。新卒採用について考えることは、今後の人材マネジメントのあり方ややり方を考えることにもつながるでしょう。
 
2.調査の結果
 今後も新卒採用が採用の主ではあるものの、キャリア採用の比重が高まる予想
直近の正社員採用状況を見ると、「新卒採用が多い」企業が38.3%で最も多く、次いで「新卒採用が多いが、一部の部門・職種ではキャリア採用が多い」が27.4%となっている。
一方、5年後の見通しでは、「新卒採用が主になりそうである」は25.8%、「新卒採用が主だが、一部の部門・職種ではキャリア採用が主になりそうである」が32.6%となり、2つの合計は直近と比べて下がるものの、新卒採用が主であると回答した人が過半数にのぼる。
一方で、「新卒採用が主になりそうである」の割合は、直近の状況(38.3%)と比べて割合が少ない。また、「新卒採用とキャリア採用が半々くらいになりそうである」が21.6%と割合が高くなっていることから、採用においてキャリア採用の存在感は増すであろう。
⇒これらの結果から、新卒採用とキャリア採用を組み合わせた採用構成へと移行する企業が増える可能性が示唆されるものの、新卒採用とキャリア採用のどちらに重きを置くかは企業によって多様化するのではないか。
 
図表1:勤務先の正社員採用に関して、直近1年間と約5年後の比較
 
新卒採用は、将来の人材確保、キャリア採用は、即戦力確保や人手不足解消が主目的
新卒採用の目的として最も多いのは、「今後の伸びしろの大きい人材を採用する」であり、次いで「長期間にわたって勤務する可能性の高い人材を採用する」となっている。いずれも約半数が選択しており、将来的な成長や長期的な活躍を期待した採用が中心となっている。
また、「世代・年代の人員構成のバランスを図る」や「まとまった数の人材を採用する」など、組織の人員構成を整える目的も一定程度見られる。
一方、キャリア採用(キャリア採用)の主な目的としては、「即戦力となる人材を採用する」が最も多く、次いで「欠員や人手不足が生じている部門や職種に人を配置する」、「勤務先の会社で不足しているスキルや専門性を持つ人材を採用する」などが挙げられている。
⇒この結果から、新卒採用は将来の成長や長期的な活躍を期待した人材確保の手段として位置づけられる一方、キャリア採用は即戦力や専門性の補完など、足元の人材ニーズに対応する採用として活用されていることがうかがえる。
 
図表2:新卒採用とキャリア採用(中途採用)を行う目的・理由
 
新卒採用の主要な目的に対しては、総じて新卒採用が最適な手段として認識されている
新卒採用の目的として選択した項目について、「新卒採用が最適な手段であるか」を尋ねた。
選択人数の多さでいうと、「今後の伸びしろの大きい人材を採用する」が最も高く、「長期間にわたって勤務する可能性の高い人材を採用する」、「まとまった数の人材を採用する」、「世代・年代の人員構成のバランスを図る」と続く。
また、新卒採用の目的と選択した人のうち、「新卒採用が最適な手段である」と回答した人の割合は、上記の4項目でいずれも、8割以上である。
ちなみに、その他、8割以上の設問は、「勤務先の会社の文化・風土になじむ人材を採用する」「将来の経営幹部の候補を採用する」「既存の社員の、刺激や学びとなるような人材を採用する」であった。
なお、新卒採用の目的と選択した人のうち、「新卒採用が最適な手段である」と回答した人の割合は、すべての項目で6割以上であったが、キャリア採用の目的として上位である「即戦力となる人材を採用する」や「勤務先の会社で不足しているスキルや専門性を持つ人材を採用する」については、新卒採用が最適な手段であるとする割合は比較的低い。
⇒これらの結果から、新卒採用は将来的な成長や長期的な活躍を期待した人材確保の手段として認識されている一方、専門性や即戦力を求める採用については別の採用手段が用いられる傾向がうかがえる。
 
図表3:「新卒採用の目的・理由」として選択した項目において、新卒採用は最適な手段か
 
 
新卒採用は長期化・採用難の傾向。新卒採用の縮小等が検討の俎上に乗ったのは約3分の1
勤務先企業の新卒採用の状況について見ると、「新卒採用において計画人数または必要人数の達成に苦戦している」、「新卒採用が長期化している」といった項目について、いずれも約6割が該当すると回答しており、新卒採用の難度が高い状況がうかがえる。
また、経営層の採用方針については、「会社が求める人材像や採用方針を明確にしている」とする回答が約半数となっている一方、「経営層と採用担当者の間で、会社の採用競争力の認識に乖離がある」とする回答も約半数見られ、採用をめぐる認識のズレが一定程度存在している可能性がある。
さらに、約3分の1が「新卒採用の停止・廃止・縮小について検討の俎上に乗ったことがある」と回答しており、採用環境の厳しさが企業の採用方針に影響を及ぼしている様子がうかがえる。
次に、勤務先企業の管理職の状況を見ると、「自組織への新入社員の配属を希望する管理職」と「キャリア採用者(キャリア採用者)の配属を希望する管理職」はいずれも5割前後である。
一方で、新入社員の育成に時間や人員を割けないと感じている管理職は約3分の2、新入社員のマネジメントに難しさを感じている管理職は約6割と認識されており、受け入れ側の組織においても一定の負担感があることがうかがえる。
⇒これらの結果から、新卒採用は企業にとって依然として重要な採用手段である一方、採用活動の難度の高まりや、受け入れ・育成を担う現場の負担が課題となっている可能性が示唆される。
 
図表4:勤務先の新卒採用に関する状況
図表5:勤務先の管理職の採用・育成に対する考え方
新卒採用は企業成長に重要と認識される一方、採用方法の見直しやAI活用の動きも
新卒採用に対する認識を見ると、約4分の3が「新卒採用を続けることは会社の発展にとって重要」と回答しており、新卒採用の意義は多くの企業で認識されている。
一方で、約3分の2が「新卒採用の今のやり方を変える必要がある」と回答しており、採用の重要性を認識しつつも、従来の手法の見直しを求める声が多い。
また、新卒採用業務は業務量に対して担当人数が少ないと感じているという回答も一定程度見られ、採用業務の負担感もうかがえる。
AI活用に関する施策については、採用プロセスや応募者対応などの各項目で導入率が約2割程度となっている。なお、「採用プロセスでのAI活用」のいずれかのAI施策を実施している企業は約4割となっている。
⇒これらの結果から、企業は新卒採用の重要性を認識しながらも、採用環境の変化に対応するため、採用方法の見直しや施策の拡充、AI活用などを進めている可能性が示唆される。
 
図表6:新卒採用に関する個人の考え
図表7:勤務先の会社の新卒採用に関する、導入・実施または検討中していること
3.調査概要
調査名:企業の新卒採用実態調査2026
調査目的:企業における新卒採用の現状や課題、採用構成の変化、採用施策の導入状況などを把握し、今後の新卒採用のあり方を明らかにする。
調査対象:以下の条件を満たす正社員
・従業員規模100名以上の企業に勤務
・主たる勤務先企業が毎年新卒採用を実施している
・人事部門(本社人事・部門人事など)に所属
※職位(いずれかに該当)
・管理職(部長・課長など組織長で、採用戦略・方針の検討に関与)
・非管理職(新卒採用の企画・運営など採用プロセスに関与)
調査内容:
・新卒採用とキャリア採用(中途採用)の採用構成の現状と見通し
・新卒採用およびキャリア採用の目的
・新卒採用の有効性に関する認識
・新卒採用における課題(採用難、採用活動の長期化など)
・新入社員の受け入れ・育成に関する組織の状況
・新卒採用に関する施策の導入状況
・採用プロセスにおけるAI活用の状況
調査方法:インターネット調査
調査期間:2026年2月12日~15日
有効回答数:779名(管理職:412名/非管理職:367名)
集計方法:管理職と非管理職の間で大きな差が見られなかったため、分析にあたっては両者を合算した「全体」の結果を主に用いている。
なお、一部設問では「わからない」という回答を除外して割合を算出しているため、設問によって有効回答数が異なる場合がある。
また、図表・グラフの数値は、小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100.0%にならない場合がある。
 
リクルートマネジメントソリューションズについて
ブランドスローガンに「個と組織を生かす」を掲げ、クライアントの経営・人事課題の解決と、事業・ 戦略推進する、リクルートグループのプロフェッショナルファームです。日本における業界のリーディングカンパニーとして、1963年の創業以来、領域の広さと知見の深さを強みに、人と組織のさまざまな課題に向き合い続けています。
●事業領域:人材採用、人材開発、組織開発、制度構築
●ソリューション手法:アセスメント、トレーニング、コンサルティング、HRアナリティクス
また、社内に専門機関である「組織行動研究所」「測定技術研究所」を有し、理論と実践を元にした研究・開発・情報発信を行っております。
※WEBサイト:https://www.recruit-ms.co.jp

⇒これらの結果から、新卒採用とキャリア採用を組み合わせた採用構成へと移行する企業が増える可能性が示唆されるものの、新卒採用とキャリア採用のどちらに重きを置くかは企業によって多様化するのではないか。

⇒この結果から、新卒採用は将来の成長や長期的な活躍を期待した人材確保の手段として位置づけられる一方、キャリア採用は即戦力や専門性の補完など、足元の人材ニーズに対応する採用として活用されていることがうかがえる。

⇒これらの結果から、新卒採用は将来的な成長や長期的な活躍を期待した人材確保の手段として認識されている一方、専門性や即戦力を求める採用については別の採用手段が用いられる傾向がうかがえる。

新卒採用は長期化・採用難の傾向。新卒採用の縮小等が検討の俎上に乗ったのは約3分の1

⇒これらの結果から、新卒採用は企業にとって依然として重要な採用手段である一方、採用活動の難度の高まりや、受け入れ・育成を担う現場の負担が課題となっている可能性が示唆される。

⇒これらの結果から、企業は新卒採用の重要性を認識しながらも、採用環境の変化に対応するため、採用方法の見直しや施策の拡充、AI活用などを進めている可能性が示唆される。