全国118社の中小企業取材で見えた、3つの人手不足の実態
株式会社ココペリ(東京都千代田区、代表取締役CEO:近藤繁)が運営する中小企業向けウェブメディア『コネクト』は、2026年3月の創刊1周年を記念し、これまでに実施した全国118社へのインタビューをもとにした実態レポートを3回にわたって発表いたします。第1弾のテーマは「人手不足」。「採用できない」という表層的な現象の裏に、1.定着・育成の失敗、2.安定志向と仕事の意味のギャップ、3.外国人材活用の壁という、3つの構造的課題が存在することが明らかになりました。
調査概要
調査名:コネクト創刊1周年記念レポート「地域中小企業のリアル」Vol.1
調査期間:2025年3月~2026年3月
対象:全国118社の中小企業経営者・担当者(Big Advance会員企業中心)
調査方法:対面・オンラインによる個別インタビュー(各社60~90分)
業種:食品製造、製造業、小売、介護・福祉、飲食、IT、造船関連など多岐にわたる
人手不足の「本当の姿」--3つの類型
類型1. 採っても「辞める・育たない」
「100人育てたとして、最終的に5、6人が残った、という感じ。育ったとしても、よその会社に行ってしまうことも多い」
(造船関連・塗装業 経営者)
 
造船関連の塗装業では、一人前になるまでに4~6年かかります。その間の給与は決して高くなく、「最初から高い給料が欲しい」「もっとクリーンな仕事がしたい」と入社後すぐに離れる若者が後を絶たない実態が明らかになりました。
 
一方で、会社側のコスト負担の問題もあります。製造業のある経営者は「小さな会社には経験者は来ない。未経験で入ってくれた社員を育てながら、経営も営業も自分たちで回している。次のステージを目指すにはもっと組織を作らないといけないが、育てる余裕がそもそもない」と語ります。
 
育成に時間をかけてようやく戦力になったころに辞めていく--求職者側の「定着しない」問題は、同時に企業側の「育成コストが回収できない」問題でもあります。人手不足は求職者と企業、双方にとっての構造的なすれ違いとして深刻化しています。
 
類型2. 「安定志向」と「仕事の意味」--変わりゆく若手世代
「独立を目指す社員がほとんどゼロに近い。安定した、自分の時間もしっかりあって、そういった生活を送りたいという社員しかいない。今どうしても『権利か義務か』という話が先に出る」
(飲食チェーン・取締役)
 
かつては独立志向の社員が多かったという飲食フランチャイズ企業では、この30年における若手の意識変容が語られました。働き方への意識の変化は飲食業に限らず、複数の業種で共通して聞かれた声です。
 
「たとえば年収3000万になりたいと言う。じゃあそのお金で何がしたいの?と聞いたら答えられない人がすごく多い。目標がない、これに尽きる」
(飲食業・20代セクションマネージャー)
 
注目すべきは、この言葉が20代のマネージャー自身から出てきた点です。「今の若い世代は目標がない。自分の同年代を含めて」と自戒を込めて語る一方、「受け入れてくれる前提があるから相談する。上の世代も、話しやすい環境を作らなければ若手は相談してこない」と、経営側にも変化を求めました。
 
一方で、取材を通じて希望も見えてきました。「まず休みを増やし、週休二日を実現することから始めた」と語る経営者も多くいました。「今の社員が求める環境」に会社を合わせていく--その動きが、少しずつ現れ始めています。
 
 
類型3. 外国人材を「採ったはいいが、うまくいかなかった」
「日本語能力試験のN5にも最後まで合格しなかった。3年間、文字も読めない状態で、何も任せることができなかった」
(外国人材を受け入れた経営者)
 
外国人材の活用が広がる一方、「一度入れたがうまくいかなかった」という経験を持つ経営者も少なくありません。外国人材支援を手がける経営者は「コミュニケーションの問題や文化ギャップで悩んでいた経営者が多い」と語ります。言葉の壁だけでなく、時間厳守・報連相といった日本の職場文化との違い、空気を読むコミュニケーションスタイルの差異が現場を難しくしている現状があります。
 
さらに、特定技能・技能実習に関わる法的手続きの複雑さなど、「採れればいい」では解決しない問題が山積しています。
 
コネクト編集部より
「人手不足」という言葉でひとくくりにされがちな問題の内側に、業種・地域・世代によって異なる複数の課題が存在していました。取材を通じて痛感したのは、「採れない」という表層的な現象の裏に、定着・育成・価値観のギャップという構造的な問題が隠れているということです。
今後も、地域中小企業のリアルをシリーズレポートとして発信していきます。
 
コネクトについて
『コネクト』は、株式会社ココペリが運営する中小企業向けウェブメディアです。2026年3月に創刊1周年を迎え、これまでに全国118社の中小企業経営者・担当者へのインタビューを実施。「出会いとつながり」をテーマに、地域中小企業のリアルな声を届けています。Big Advance会員企業を中心とした取材記事のほか、ニュースレター・SNSも展開しています。
 
コネクトについて さらに詳しく
 

名称  :株式会社ココペリ
所在地 :東京都千代田区紀尾井町3-12 紀尾井町ビル11階
代表者 :代表取締役CEO 近藤繁
設立  :2007年6月
事業内容:ビジネスプラットフォーム事業
URL   :https://www.kokopelli-inc.com/
主要サービス:中小企業向け経営支援プラットフォーム「Big Advance」 https://bigadvance.jp/

株式会社ココペリ(東京都千代田区、代表取締役CEO:近藤繁)が運営する中小企業向けウェブメディア『コネクト』は、2026年3月の創刊1周年を記念し、これまでに実施した全国118社へのインタビューをもとにした実態レポートを3回にわたって発表いたします。第1弾のテーマは「人手不足」。「採用できない」という表層的な現象の裏に、1.定着・育成の失敗、2.安定志向と仕事の意味のギャップ、3.外国人材活用の壁という、3つの構造的課題が存在することが明らかになりました。

「100人育てたとして、最終的に5、6人が残った、という感じ。育ったとしても、よその会社に行ってしまうことも多い」

「独立を目指す社員がほとんどゼロに近い。安定した、自分の時間もしっかりあって、そういった生活を送りたいという社員しかいない。今どうしても『権利か義務か』という話が先に出る」

「たとえば年収3000万になりたいと言う。じゃあそのお金で何がしたいの?と聞いたら答えられない人がすごく多い。目標がない、これに尽きる」

「日本語能力試験のN5にも最後まで合格しなかった。3年間、文字も読めない状態で、何も任せることができなかった」