~ 5月31日に授賞式を開催、一般参加者300名を募集 ~
 BME(Bio Medical Engineering)分野における技術開発や技術交流等の促進と人材の育成を目的に幅広い助成事業を展開している公益財団法人 中谷財団(東京都品川区/理事長:矢冨裕、以下「中谷財団」)は、財団設立40周年を記念して創設した学術賞『神戸賞』における第3回受賞者の決定をお知らせします。
※写真左から、宮脇氏/川口氏/藤枝氏/竹岡氏
<大賞>
宮脇 敦史(みやわき あつし)
研究題目:光と生命との相互作用の探究から革新するバイオイメージング
 
<Young Investigator賞>
川口 喬吾(かわぐち きょうご)
研究題目:トポロジカルな細胞動態の発見に始まる生命の階層横断的物理学の開拓
 
藤枝 俊宣(ふじえ としのり)
研究題目:プリンテッドエレクトロニクスによる高分子薄膜の機能化と
生体融合型デバイスの創製
 
竹岡 彩(たけおか あや)
研究題目:脊髄回路を介した感覚運動変換と運動記憶形成の神経基盤の解明
 『神戸賞』とは、今後日本がリードしていく分野として注目している「BME(Bio Medical Engineering)分野~生命科学と理工学の融合境界領域~」においてイノベーションをもたらす優れた独創的な研究で実績を挙げた研究者や、そのユニークな研究で将来性が嘱望される若手研究者に光を当てる新たな学術賞で、今回が3回目の受賞者発表となります。
 また、5月31日には神戸ポートピアホテルにて第3回神戸賞の授賞式をおこないます。授賞式には、次世代の科学者を志す中高校生を含む一般参加者300名を先着順にて募集します。式典では、受賞者による特別講演のほか、中高校生によるポスターセッション、受賞者と直接交流できる「神戸賞サロン」を予定しています。
 
■第3回 神戸賞 授賞式 開催概要
日時   :2026年5月31日(日) 13:00~17:30(12:00開場)
会場   :神戸ポートピアホテル 国際会議場 ポートピアホール
参加定員 :先着300名(中高校生の参加歓迎)
開催内容 :授賞式典/受賞者による特別講演/
      ポスターセッション(中高校生による研究発表)/
      神戸賞サロン(受賞者と直接お話しできる交流会)
お申し込み方法:https://grants.nakatani-foundation.jp/evt/260531/
応募締め切り :2026年5月29日(金)
 
■大賞 受賞者(1件、賞金 5,000万円、副賞 トロフィー)
氏名    :宮脇 敦史
所属・役職 :理化学研究所脳神経科学研究センター
       細胞機能探索技術研究チーム チームディレクター
研究題目  :光と生命との相互作用の探究から革新する
       バイオイメージング
受賞理由  :宮脇敦史博士は、「生命の中で起きている出来事を光で見えるようにする」研究を切り拓いてきた世界的権威です。私たちの体の中では、分子同士が相互に作用し、情報を伝え合っています。しかし、その様子は肉眼ではもちろん、普通の顕微鏡でも見ることができません。
宮脇博士は、生物がもつ「光るタンパク質」を改良し、細胞の中で特定の現象が起こると色が変化したり光ったりする「生きたセンサー」を開発しました。クラゲからcameleon、Venus、StayGold、サンゴからDronpa、Fucci、mito-SRAI、ウナギからUnaGなど、様々な生物から遺伝子工学により改変した数多くの蛍光タンパク質を開発、原理を解明し、これにより、細胞が活動する瞬間や、神経が信号を発する様子、細胞分裂の進み具合などをリアルタイムで観察できるようになりました。 また、これらの一部は白血病などがん細胞の薬剤耐性スクリーニング(Fucci)、パーキンソン病などでのオートファジースクリーニング(mito-SRAI)、新生児の黄疸診断(UnaG)など、医学への応用にも直結しています。さらに、従来は困難であった深部蛍光の観察を可能にするため、蛍光を保存しながら光散乱を抑える透明化試薬Scaleを開発し、この試薬に浸漬するだけで深部の蛍光イメージングを高精度で行うことができる技術を確立しました。 以上のように、宮脇博士の成果は革新的な可視化技術として世界中で使用され、分子動態、細胞周期、神経活動をはじめとする多様な生命現象や疾患機構の解明に大きく貢献しています。独創性と新規性、世界的なインパクト、人材育成への貢献を含め、まさに「独創に光を。」にふさわしい研究者です。
 
■Young Investigator(Y.I.)賞 受賞者一覧
(3名、賞金 500万円、副賞 研究助成金 4,000万円{5年間}、トロフィー)
氏名    :川口 喬吾
所属・役職 :理化学研究所開拓研究所 主任研究員
研究題目  :トポロジカルな細胞動態の発見に始まる
       生命の階層横断的物理学の開拓
受賞理由  :近年のイメージング技術やシーケンシング技術の発展により、生体組織における細胞の動態を高精度に観測することが可能になりました。川口喬吾博士は、これらのデータを定量的に解析し、細胞集団の振る舞いを理解するための新しい枠組みを提示しています。
神経幹細胞のライブイメージング解析では、細胞配向の乱れに対応する「トポロジカル欠陥」と呼ばれる特異点に着目し、そこが細胞運動や組織再編成の中心として機能することを明らかにされました。また、皮膚のターンオーバーに関する研究では、細胞分化による欠損が近傍の細胞分裂を誘導するフィードバック機構を見出し、組織恒常性が細胞間の相互作用によって維持されることを示しています。これらの研究は、細胞集団のダイナミクスを定量的に理解する新しい視点を提供し、組織形成や疾患理解への応用が期待されます。川口博士は、分子から細胞集団、組織スケールまでを対象に、物理学と生命科学を融合した独創的な研究を推し進めています。
 
氏名    :藤枝 俊宣
所属・役職 :東京科学大学生命理工学院 教授
研究題目  :プリンテッドエレクトロニクスによる
       高分子薄膜の機能化と生体融合型デバイスの創製
受賞理由  :藤枝俊宣博士は、柔らかいポリマーフィルムとエレクトロニクスを組み合わせることで、生体情報を精密に計測できる生体融合型デバイスを実現し、新しい医療技術を開拓しています。
皮膚や関節などの柔らかく動く部位に違和感なく装着できる貼付型電極を開発し、筋電位を精度よく計測することに成功、アスリート特有の筋肉の使い方を明らかにしました。また、脳の計測においては、脳の柔らかさに適した電極が求められていましたが、藤枝博士は、高分子薄膜とインクジェット印刷を組み合わせ、脳表と一体化して脳皮質電位を記録できる薄膜電極を開発し、電位記録や電位刺激を従来以上の精度でできることを示しました。さらに、この電極はてんかんの診断治療への応用も期待されています。 また、生体接着性薄膜と無線給電技術を組み合わせた発光デバイスを開発し、光がん治療への応用を進めています。このように藤枝博士は材料、エレクトロニクス、医療・ヘルスケアの異分野を融合し、新たな応用を力強く切り開いています。
 
氏名    :竹岡 彩
所属・役職 :理化学研究所脳神経科学研究センター 
       チームディレクター
研究題目  :脊髄回路を介した感覚運動変換と
       運動記憶形成の神経基盤の解明
受賞理由  :麻痺や脊髄損傷による運動障害がリハビリテーションによって徐々に回復したり、「自転車に乗る」ように一度習得した運動機能が長く記憶されたりする現象は、脳や脊髄からなる中枢神経系が関与していると知られています。
しかし、その基盤となる神経回路のメカニズムは実は明らかになっていません。この突破口を開いたのが竹岡彩博士です。竹岡博士は研究自体が困難であった脊髄に真正面から取り組み、「固有感覚」と呼ばれる、目を閉じていても身体が感知できる、手足の位置や運動の感覚が、損傷後の神経回路再編と歩行回復の鍵であることを実験的に示しました。 さらに、覚醒行動下のマウスで計測できる脊髄内電気生理単一細胞記録技術を開発し、運動機能の習得と実行の過程で脊髄の細胞が役割分担していることを明らかにし、脊髄が学習・記憶に関与する情報処理機能も担っていることを実証しました。運動障害の治療法確立を目指し、極めて挑戦的なテーマを高い推進力で展開し、日本の神経科学研究のプレゼンス向上に貢献しています。
 
■Y.I.賞ファイナリスト(Y.I.賞選考シンポジウム登壇者)
Y.I.賞は将来が嘱望される若手研究者を見出し、支援するための賞です。
最終候補者7名により実施した Y.I.賞選考シンポジウムでは、各自の発表に続いて白熱した意見交換が行われました。ここにY.I.賞ファイナリストとしてご紹介し、その栄誉を称えます。
所属・役職 氏名
理化学研究所開拓研究所 主任研究員 川口 喬吾
東京科学大学生命理工学院 教授 藤枝 俊宣
理化学研究所脳神経科学研究センター チームディレクター 竹岡 彩
Imperial College London 准教授 石原 純
理化学研究所開拓研究所 主任研究員 岩崎 信太郎
大阪大学大学院工学研究科 教授 福田 憲二郎
東北大学大学院薬学研究科 准教授 小川 亜希子
 
■『神戸賞』概要
■『神戸賞』審査委員一覧
[審査委員長]
柳沢 正史 (筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 機構長 教授)
 
[審査副委員長]
小川 誠司 (京都大学 大学院医学研究科 腫瘍生物学講座 教授)
 
[審査委員]
木下 聖子 (創価大学 糖鎖生命システム融合研究所 副所長 教授)
斎藤 通紀 (京都大学 高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点 教授)
佐藤 俊朗 (慶應義塾大学 医学部 医化学教室 教授)
染谷 隆夫 (東京大学 大学院工学系研究科 電気系工学専攻 教授)
田畑 泰彦 (京都大学 大学院医学研究科 形成外科学 特任教授)
永次 史  (東北大学 多元物質科学研究所 有機・生命科学研究部門 教授)
濡木 理  (東京大学 大学院理学系研究科 生物科学専攻 教授)
林 朗子  (理化学研究所 脳神経科学研究センター 多階層精神疾患研究チーム チームディレクター)
本田 賢也 (慶應義塾大学 医学部 微生物学・免疫学教室 教授)
三浦 佳子 (九州大学 大学院工学研究院 化学工学部門 教授)
森 勇介  (大阪大学 大学院工学研究科 電気電子情報通信工学専攻 教授)
 
■第2回神戸賞授賞式の様子
 「第2回神戸賞授賞式」は、次世代を担う研究者たちの情熱と、未来への希望が共鳴する感動的なセレモニーとなりました。2025年5月25日、神戸ポートピアホテルにて開催された授賞式は、アンバサダーを務める神戸出身の山之内 すずさんによる「創設の思い」の朗読と、ジャズの名曲「スマイル」の生演奏で華やかに幕を開けました。
 最高賞である「大賞」に選ばれたのは、東京大学の菅 裕明教授です。菅教授は光の道を通り舞台へ登壇し、独創的な研究を象徴するトロフィーを授与されました。受賞のスピーチでは、「私の研究は独創的すぎて異端と言われていましたが、“異端”は認められた瞬間に“先端”に変わります。異端のみが先端になることができるのです」と、神戸賞が掲げる「独創性」の本質を突く力強い言葉を贈り、会場を大きな感動で包みました。
 若手研究者を対象とした「Young Investigator(Y.I.)賞」には、谷内江 望教授、村川 泰裕教授、神谷 真子教授の3名が選出されました。審査委員長の柳沢 正史教授からは、最終審査が候補者同士のディスカッション形式で行われたというユニークな選考過程が明かされました。受賞した3名は、家族や仲間への感謝とともに「自分の研究が認められたことは、今後の大きな心の支えになる」と、研究者としての決意を新たにしました。
 今回の授賞式には、自らも研究活動を行う中高校生約30名も参加しました。受賞者プレゼンテーション後の質疑応答では、生徒たちから社会実装への課題や研究へのアドバイスを求める高度な質問が飛び出し、第一線の研究者が未来の科学者の卵たちに真摯に答える姿が見られました。
 
 授賞式後の交流会「神戸賞サロン」でも、受賞者が中高校生へ「自分の研究で教科書が書き換わるかもしれないと思うと、楽しくならない?」と気さくにエールを送るなど、和やかな光景が広がりました。独創的な知性が次世代へと引き継がれる神戸賞は、まさに日本のイノベーションを牽引する新たな光となっています。
■公益財団法人 中谷財団 概要■
 中谷財団は、神戸に本拠を置く臨床検査機器・試薬メーカーであるシスメックス株式会社の創業者 故中谷太郎により1984 年「中谷電子計測技術振興財団」として設立されました。その意思を継いだ子息の故中谷正の遺贈を受け、2012年には財団規模が拡大、同年には公益財団法人に移行し、「公益財団法人 中谷医工計測技術振興財団」となりました。それ以来、医工計測技術分野の広範な発展を願い、先導的な技術開発への助成を中核として技術開発に顕著な業績をあげた研究者への表彰や技術開発に関する交流への助成等の事業を行ってきました。
 2014 年以降は、若手人材育成のため、大学院生向け奨学金や大学生の短期留学サポート、さらにすそ野拡大のため、小中高校生を対象とした科学教育振興助成など、幅広い層への支援を実現しています。このように研究者から小中高校生まで、トータルに事業展開をする国内有数のユニークな財団となっています。2024年に設立40周年を迎え、助成分野をBME分野に拡げるとともに、新たな表彰事業「神戸賞」を創設しました。また、同年11月1日に名称を「公益財団法人 中谷財団」と改称し、新たな一歩を踏みだしました。
 
名称 :公益財団法人 中谷財団
英表記:Nakatani Foundation
設立 :1984年(昭和59年)4月
理事長:矢冨 裕
所在地:〒141-0032東京都品川区大崎1-2-2アートヴィレッジ大崎セントラルタワー8F
目的 :「BME(Bio Medical Engineering)分野~生命科学と理工学の融合境界領域~」における
    研究・開発、交流等を促進し、また人材を育成することによって、BME分野の
    広汎な発展を推進し、我が国ならびに国際社会の発展及び生活の向上に寄与すること。
URL :https://www.nakatani-foundation.jp/