特定非営利活動法人シェアが日本財団の助成を受け、東ティモールにおいて初等保健教育の普及事業を開始します。未来の世代の健康を守るための包括的な取り組みを展開いたします。
特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会(以下、シェア)は、日本財団の助成を受け、2026年4月より東ティモール民主共和国において「初等保健教育の普及に向けた基盤整備事業」を開始します。本事業では、東ティモール国立大学教育学部と連携し、教員養成課程に保健教育を体系的に導入することで、全国の小学校で持続的に保健教育を実施できる人材育成の仕組みを構築します。***
子どもたちの爪の長さをチェック
毎年4月7日は世界保健機関(WHO)が定める「世界保健デー」です。WHOは近年、健康を支える基盤として教育の役割の重要性を強調しており、特に子どもの健康行動の形成において学校教育の果たす役割は大きいとされています。学校における健康教育は、感染症予防、栄養、思春期の健康、衛生習慣の形成など、生涯にわたる健康の基盤となる能力を育てる重要な機会です。
 
東ティモールでは、子どもの健康と教育を取り巻く課題が依然として大きく、UNICEFによると5歳未満児の発育阻害は47.1%と報告されています。また、学校における基本的な水・衛生環境の整備率も十分とはいえず、感染症予防行動や衛生習慣を学ぶ環境が十分に整っていない地域も存在します。こうした状況において、学校を基盤とした健康教育の強化は、子どもの健康のみならず学習機会の確保にも寄与する重要な政策課題と位置づけられています。
小学校では給水や施設の課題が残る
一方で、東ティモール教育省は小学校のカリキュラムに保健科目が位置づけられているにもかかわらず、多くの小学校で授業が十分に実施されていません。その要因として、教員養成課程において保健教育が体系的に扱われておらず、教員が保健を教えるための知識や指導方法を学ぶ機会が限られてきたことが挙げられます。その結果、学校という重要な学習の場において、児童が感染症予防、手洗い、栄養、思春期の健康などの基礎的な知識を学ぶ機会が不足している状況があります。
シェアによる研修を受けた教員が保健の授業を実践
本事業では、日本財団の支援のもと、東ティモール国立大学教育学部と連携し、教員養成課程における保健教育の導入を進めます。大学教員への研修、講義マニュアルや教材の開発、学生向け学習教材の整備、教育実習と連動した授業実践、現職教員への研修などを通じ、大学と小学校現場を接続する実践モデルを構築します。これにより、卒業時点で保健授業を実践できる教員の育成を目指し、将来的には全国の小学校において保健教育が継続的に実施される基盤づくりに貢献します。
 
また、本事業は東ティモール政府が進める高等教育制度改革とも整合的であり、大学教育の質保証やカリキュラム改革が進む現在は、教員養成課程の内容を見直す好機とされています。大学・教育省・学校を横断した制度的アプローチにより、単発の研修にとどまらない持続的な人材育成モデルの構築を目指します。
事業の概要
事業名:東ティモールにおける初等保健教育の普及に向けた基盤整備事業
助成:公益財団法人 日本財団
実施期間:2026年4月~2031年3月
活動地域:東ティモール民主共和国 ディリ県、アタウロ県
主な連携機関:東ティモール国立大学教育学部、東ティモール教育省
実施団体:特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会
シェアのこれまでの取り組み
シェアは1999年より東ティモールで活動し、学校保健、保健教育、母子保健、水衛生などの分野において教材開発や保健人材育成、行政連携を継続してきました。日本財団との連携により、これまで現場で培った知見を教員養成制度へと接続し、子どもたちが健康を守る力を身につけられる社会の実現を目指します。