三菱UFJ信託銀行株式会社(取締役社長: 窪田 博、以下 三菱UFJ信託銀行)が主催する DID/VC 共創コンソーシアム(Decentralized Identifier / Verifiable Credential Co-creation Consortium、会員企業数 50社※2026年3月末時点、以下 DVCC)「本人確認分科会」(2024年6月設置)で検討していた、デジタル証明書(Verifiable Credential、以下VC)を用いて犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)に基づいた本人確認を実施するスキームについて、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」第9号案件*¹として支援を受けていましたが、実証実験が終了しましたので、結果概要を公表いたします。
 
1. 実証実験の概要および実証結果
(1) 実証実験の概要
 本実証実験では、犯収法に基づいて金融機関が実施した本人確認の結果を利用者本人がスマートフォン上で管理・提示できるVCとして活用することで、セキュリティの向上と利便性の両立を目指す「新しい本人確認方法」の実現性・有効性を検証しました。
本実証実験では、以下2つのスキームを検討しました。
1. 金融機関による本人確認の結果を記載したVCを、マイナンバーカード等の本人確認書類のICチップ情報を読み取った結果を記録したVCと組み合わせて、犯収法施行規則6条1項1号ト(令和7年3月時点)に定められる方式(以下、旧ト方式)として利用すること。(当初スキーム)
2. 電子署名法4条1項の認定を受けた事業者が発行するx.509証明書をVC形式で受け渡すことにより、犯収法施行規則6条1項1号ワ(令和8年3月現在)に定められる方式(以下、ワ方式)として利用すること。(最終スキーム)
 
(2) 実証実験の結果
本実証実験によって、本人確認における顧客側の負荷を軽減した「新しい本人確認方法」の可能性が示されました。
一方で、1.の当初スキームはVCの提示時点での利用者の実在性を担保できないことから旧ト方式としては利用不可である旨の回答を関係省庁より受領しました。
2.の最終スキームについては、金融機関側でリスク低減措置を講ずることを前提として、ワ方式として利用可能である旨の回答を関係省庁より受領しました。
 
なお、実施結果の詳細は、以下の別添報告書をご参照ください。
「DID/VC共創コンソーシアム【金融庁FinTech実証実験ハブ結果報告】」
https://www.tr.mufg.jp/houjin/dvcc/pdf/houkokusho.pdf
 
 
2.VCの社会実装に向けた今後の課題
 今後、本人確認の目的に縛られない様々なVCのユースケースの検討、スキームの実現・社会普及に向けて、事業者間での責任分界の明確化、ビジネスモデルや、費用対効果をベースとしたVerifier側が負担できるコストの適正値などのインセンティブ設計等の詳細論点を整理してまいります。
 
3.今後の展開
 DVCCでは、今後も関係省庁様や、民間の業界団体様等と連携して、新技術の適法性・安全性を確認しつつ、VCのユースケースの検討、スキームの実現・社会普及に向けて取り組んでまいります。
 
 
*1:金融庁FinTech実証実験ハブについて
「未来投資戦略2017」(平成29年6月閣議決定)において、フィンテックを活用したイノベーションに向けたチャレンジを加速させる観点から、金融庁において、フィンテックに係る実証実験を容易化するための措置を講じるとの方針が示されました。これに基づき、フィンテックに係る実証実験を容易化するための措置として、フィンテック企業や金融機関などが、前例のない実証実験を行おうとする際に抱きがちな躊躇・懸念を払拭するための支援を行うため、金融庁により設置されました。
フィンテック企業や金融機関などが、実験を通じて整理したいと考えている論点(コンプライアンスや監督対応上のリスク、一般利用者に向けてサービスを提供する際に生じうる法令解釈に係る実務上の課題など)について、個々の実験ごとに結成される庁内の担当チームより継続的な支援が得られます。
 
「FinTech実証実験ハブの設置について」
https://www.fsa.go.jp/news/29/sonota/20170921/20170921.html
「デジタル証明書を活用した、取引時確認結果の再利用金融庁の「FinTech 実証実験ハブ」支援案件の採用決定について」
https://www.tr.mufg.jp/ippan/release/pdf_mutb/241223_1.pdf


【別紙】
実証実験の参加企業(五十音順、敬称略)
DVCC会員企業のうち、「本人確認分科会」および「ルール整備分科会(本人確認WG)」の参加企業を中心に実証実験しました。