核融合科学研究所発・世界最高峰の負イオンビーム技術で核融合発電の社会実装を加速
核融合炉のキー技術であるビーム加熱・中性粒子入射と液体金属高熱負荷技術を通して、核融合エネルギーの早期実現を目指す株式会社ビームフォーフュージョン(本社:岐阜県可児市桜ヶ丘、代表取締役:堀池寛)は、シードラウンドにおいて、インキュベイトファンド(本社:東京都港区)を引受先とする5,000万円の第三者割当増資を実施いたしました。
 
背景
現在、核融合エネルギーは2040年に100兆円規模の市場になると予測され※1、世界中で実証炉の建設が始まろうとしています。核融合反応を地上で起こすには、燃料となるプラズマを約1億度まで加熱する必要があり、そのための「中性粒子ビーム入射装置(NBI)」は核融合炉の最重要コンポーネントの一つです。しかし、従来のNBIで主流だった「正イオン」方式は高エネルギー化に伴い効率が著しく低下するという課題がありました 。次世代の核融合炉には高効率な「負イオン」方式が不可欠ですが※2、その安定生成は極めて難しく、長年の技術的ボトルネックとなっていました。
 
※1 出典:デロイト トーマツ グループ「核融合(フュージョンエネルギー)の将来可能性~地上に太陽を~」より
※2 正イオンは高エネルギー化するにつれて電気を持たない中性粒子に戻しにくくなる(中性化効率が下がる)のに対し、負イオンは高エネルギーでも中性化効率が高い状態を維持できるため、次世代の核融合炉には不可欠とされています。
事業紹介
株式会社ビームフォーフュージョンは、核融合炉において、炉内に高エネルギー粒子ビームを打ち込み
加熱する「中性粒子ビーム入射装置(NBI)」の開発・設計を行うスタートアップです。私たちは、世
界で初めて負イオンビームを基盤とするNBI装置を実炉レベル(200kV~500kV・5~10MW級)で実装した技術チームを擁しています 。日本の核融合研究の中枢である量子科学技術研究開発機構(QST)や核融合科学研究所(NIFS)で、国家プロジェクトを牽引してきた技術者たちが、研究段階を超えた「産業実装」としての核融合に必要不可欠なソリューションを提供します。
 
資金調達の目的
NBI装置の開発や移転は、その規模の大きさから非常に長期間にわたる大規模なプロジェクトとなりま
す。今回調達した資金は、これらのプロジェクトを確実に完遂し、世界最高峰の技術を次世代へ継承・
組織化するための基盤構築に充当します。
組織体制の強化:次世代のキーパーソンとなる技術継承者や経営メンバー、海外BizDev人材の採用
、若い技術者・研究者の育成と基盤技術の伝承と発展
 
国内外の案件推進:海外企業とのNBI装置開発プロジェクトの加速や、国内の核融合プロジェクト
におけるシステム設計・監修業務の推進
 
技術開発の深化:自社設計による次世代NBI装置の製品化に向けたR&Dへの再投資、高エネルギーイオンビーム装置は核融合に必要な様々な技術要素を含む総合工学装置であり、核融合炉の技術開
発に貢献しつつ、事業を拡大します。
 
技術継承と組織基盤の確立:長年の研究で培われた負イオンビーム技術を、個人の知見に留めず会
社組織の資産として保持・発展させるため、次世代の技術継承者や経営メンバー、海外事業開発人
材の採用を強化します。
 
次世代NBI装置の研究開発:自社設計による次世代NBI装置の製品化に向けたR&Dへの再投資を行い、産業実装としての核融合加熱ソリューションを確立します。
 
その他産業への応用:イオンビームと液体金属技術との組合せで一般産業向けの装置を設計製造し
ます。例えば再発難治性がんの治療装置や、希少元素の製造等。
採用について
ビームフォーフュージョンは、今回の資金調達を機に、核融合発電の社会実装を加速させるための経営
体制を抜本的に強化いたします 。核融合の社会実装は早くても2030年代以降と予測されており、実用化までは極めて長く険しい道のりとなります 。この壮大な時間軸において、核融合実現に不可欠な世界最高峰の負イオンビーム技術を途絶えさせることなく社会に還元するためには、長年国家プロジェクトを牽引してきた技術者たちの知見を、次世代を担う若手世代へと確実に継承し、組織としての知財を確立していかなければなりません。私たちは現在、単なる「社員」ではなく、この30年、50年続く事業のバトンを受け取り、当事者として未来のエネルギーインフラを創り上げる次世代の経営者・リーダー候補を求めています。日本が世界に誇る技術をビジネスの力で結実させ、100兆円規模の核融合市場においてグローバルに戦える組織を共に構築していただける方からのご連絡を、心よりお待ちしております。
投資家からのコメント
 
インキュベイトファンド株式会社
代表パートナー 本間 真彦氏
核融合という長期テーマにおいて、Beam for Fusionへの投資は単なるスタートアップへの投資ではなく、次世代エネルギーインフラの構築に投資していくという、VCとしての姿勢でもあります。日本が培ってきたエネルギー分野の知見を起点に、グローバルな産業エコシステムの中で重要な役割を担うポジションにあると考えています。本投資を通じて、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献していきたいと考えています。
 
創業メンバー紹介
代表取締役 CEO 堀池 寛
大阪大学名誉教授、元日本原子力学会会長、元日本原子力研究所研究員 JT-60U *3 建設のプログラムマネージャー、元核融合エネルギーフォーラムの運営幹事として核融合を推進。
取締役 CTO 竹入 康彦
核融合科学研究所名誉教授、元核融合科学研究所長、元プラズマ・核融合学会会長、正/負イオンビームの専門家、大型ヘリカル装置(LHD) ※4 装置建設や運用で手腕を発揮、負イオンビーム研究において最も権威のある国際会議(NIBS)にてNIBS awardを2016年に日本人として初めて受賞。
 
取締役 COO 千葉 徹
元シャープ株式会社 取締役 技術本部長。ソフトウエア、ネットワーク関連技術の研究開発・標準化・商業化に従事。米国AIベンチャーや創薬ベンチャー、メディアスタートアップ等の起業に携わる。
 
 
*3 JT-60U: 日本原子力研究所那珂研究所で開発された臨界プラズマ試験装置で、現在はJT-60SAに更新され運転中。
※4 LHD(Large Helical Device):自然科学研究機構 核融合科学研究所が有する、日本が世界に誇る世界最大級の超伝導核融合プラズマ実験装置。