「差別や偏見のない包摂社会」に向けて中高生が企画した展示企画を発表・先行公開 未来の“あたりまえ”を社会に実装するためのビジネスピッチを実施
内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)第3期の一環として、多様な人々が主体的に参画し、well-beingを最大化できる「寛容性」と「自律性」を備えた地域社会の実現を目指す取り組みのもと、研究成果および社会実装の方向性を共有・議論する「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」シンポジウム2025を、3月18日(水)にシティホール&ギャラリー五反田にて開催いたしました。
3年目となる今年度は、「未来の視点で“あたりまえ”をつくり直す」をテーマに、企画構想発表やトークセッション、展示企画などを行いました。
そのなかで、玉川学園(東京都町田市)の中高生による「わたしたちの未来会議 企画構想発表」が行われ、展示企画「みんなの違和館」について企画意図や内容が発表されました。また、「社会課題をチャンスに変える」をテーマに、「未来の“あたりまえ”を社会に実装する」ためのアイデアが披露されるビジネスピッチでは、審査の結果、妊婦や子育て中の女性の健康課題解決を図る「子育て女性」の研究開発成果であるオンラインプログラム「MOM UP PARK(マムアップパーク) by 健幸スマイルスタジオ」(発表者:株式会社つくばウエルネスリサーチ 取締役副社長 塚尾 晶子様)を表彰しました。平日の開催にも関わらず、 会場となったシティホール&ギャラリー五反田および、オンライン視聴含めて、300名を超えるご参加を賜りました。ここに厚く御礼申し上げます。 
【第一部】包摂という観点での社会課題と可能性
開会の挨拶及びプログラムディレクターによる講演
第一部は「包摂という観点での社会課題と可能性」をテーマにした、講演や発表が行われました。坂西義史様(内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 企画官(人・くらし担当))は、SIPの背景や意義を説明するとともに、本シンポジウムで発表される研究開発の成果が今後、社会実装されることを期待し、協力を呼びかけました。
久野譜也プログラムディレクター(以下、PD)(国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学学術院 教授)による挨拶と講演では、これまでのSIP「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」の活動成果と、包摂的社会の実現に向けたビジョンや具体的なテーマ、注力すべき対象が語られました。高校生が参加するなど多様な層が参加する活動であることを説明し、今後、新たなビジネスや制度への展開など社会実装に向けた展開を語りました。
左写真:内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 企画官(人・くらし担当) 坂西義史 様、右写真:久野譜也PD
玉川学園生徒からの訴え~わたしたちの未来会議 企画構想発表~
内閣府SIP「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」の一環として行われる活動「世の中ちょっと良くする部」では、次世代を担う若者(中高生)の視点で社会課題を考え、政策提言やアクションを行う「わたしたちの未来会議」を展開しています。
この会議に参加する玉川学園の中高生計25名による展示企画「みんなの違和館」について、玉川学園高等部 澤井柚奈さん(高校2年生)と竹内優希菜さん(高校3年生)が発表を行いました。「みんなの違和館」とは、学生や社会人の皆さんが違和感を覚えた瞬間を集めたことばの博物館で、「無自覚の偏見」を展示によって可視化することで、社会の当たり前であったことを違和感へと変えるという企画意図を説明。他校との連携や次世代に向けた企画などを希望していることを伝えました。また、個性の違いが受容される社会に向けた“違いは間違いじゃない”というスローガンを説明し、今後の展開に向けた大人の協力を呼びかけました。
同学園の高等部 金岡芽依さん(高校3年生)と中等部 杜 康平さん(中学3年生)は「未来の「ふつう」を創る」と題した発表を行い、知らない人に挨拶をした時の反応を調べた実験結果をもとに、知らない人に警戒する社会でも安心して会話ができるイベント企画を提案しました。また、壇上から「こんにちは」と声を出すことを呼びかけると、参加者は声に出して挨拶を行い会場は和やかな雰囲気に包まれました。
この発表に合わせて、本シンポジウムの会場内で「みんなの違和館」の一部を先行して公開しており、同学園の学生たちによる説明を熱心に聞く来場者の姿が見られました。
左写真:玉川学園高等部 澤井柚奈さん(左) 竹内優希菜さん(右)、右写真:玉川学園中等部 杜康平さん(左) 玉川学園高等部 金岡芽依さん(右)
ビジネス観点で捉える包摂課題 ~PIVOT スペシャルセッション~
ビジネス映像メディアのPIVOTによるスペシャルセッションでは、入山章栄様(早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール教授)と、千葉佳織様(株式会社カエカ 代表取締役)、久野PDが登壇しました。野嶋紗己子様(PIVOTプロデューサー、元MBSアナウンサー)の司会により、「ビジネス観点で捉える包摂課題」について討議が行われました。「成長戦略としての包摂」や「アンコンシャスバイアス」「企業が打つべき次の一手」といったテーマについて意見交換が行われ、包摂が進み多様な人が活躍することがイノベーションを生むという知見が紹介されました。多様性を引き出すために、対話や心理的安全性が重要になると指摘されたほか、包摂性のある働き方の支援制度が十分に活用されない状況から、制度を誰もが活用できる企業風土の構築が課題としてあげられました。
左写真:(MC)野嶋紗己子 様、中央写真:入山章栄 様、右写真:千葉佳織 様
【第2部】「未来の“あたりまえ”を社会に実装するビジネスピッチ」
社会課題を解決するビジネスアイデアを提案
第2部は「社会課題を成長のチャンスに変える」をテーマに、「未来の“あたりまえ”を社会に実装するビジネスピッチ」を行いました。参加した企業は、それぞれの分野における社会課題を解決するためのアイデアを説明しました。
審査員として、川本恭治様(城南信用金庫 相談役)、阪口伸六様(前 高石市長、前 全国市長会 相談役、万博首長連合 相談役)、佐藤久恵様(株式会社ワコールホールディングス 社外取締役、学校法人国際基督教大学 評議員)、谷本有香様(Forbes JAPAN執行役員 Web編集長)、涌井大輔様(株式会社Labz.代表取締役社長)、玉川学園生徒代表の小嶋唯愛さんと添田友里さん、村山恵大さんが登壇。司会は松江英夫様(デロイトトーマツグループ 執行役、社会構想大学院大学 社会構想研究科 教授)、目崎祐史サブPD(セコム株式会社 執行役員)が務めました。
右写真:川本恭治 様、中央写真:阪口伸六 様、右写真:佐藤久恵 様
右写真:谷本有香 様、中央写真:涌井大輔 様、右写真:玉川学園生徒代表(小嶋唯愛さん、添田友里さん、村山恵大さん)
左写真:(MC)松江英夫 様、右写真:(MC)目崎祐史サブPD
最初の登壇者は、「地域コミュニティ」の研究開発テーマを代表して、大和ハウス工業株式会社 まちづくり統括部 都市環境創造室 都市企画グループ 主任 中野伊吹様が発表されました。長寿社会において、住民が無理なく外出・交流できる“きっかけ”を“日常”から支える仕組みの必要性に着目し、低速自動運転モビリティを活用したコミュニティの外出・来訪者増、交流の質の向上を実現するプラットフォームを紹介しました。
次の登壇者は、「子育て女性」の研究開発テーマを代表して、株式会社つくばウエルネスリサーチ 取締役副社長 塚尾晶子様が発表され、日本の女性は先進国の中で健康課題を抱える割合が高いという現状を説明。「動く・学ぶ・つながる」ことをサポートし、妊娠・子育てママの“からだとこころ”のコンディションを専門家と一緒にオンラインで整える、オンラインのセルフケア・プログラム「マムアップパーク」を紹介しました。
「働く女性」の研究開発テーマを代表して、成果を発表したのが株式会社emotivE(エモーティブ) コンサルティング部 部長 永井秀敏様で、女性が活躍する企業やウェルビーイング経営につなげるプラットフォーム「Wellpathy」について説明しました。PMSや更年期障害など女性特有の健康課題が女性のパフォーマンス低下やキャリア形成阻害を生んでいる実態を指摘。その解決に向けて経営層のリテラシーと理解、職場風土、女性のカラダとココロの不調改善にアプローチする取り組みを紹介しました。
仕事をしながら介護に従事する“ビジネスケアラー”の問題に着目したのがパナソニック ホールディングス株式会社 事業開発センター スマートエイジングケア部 部長 山岡勝様です。研究開発中の「デジタル同居」をテーマに、活動量計やスマートフォンを用いて活動性のデータを収集・共有化し、健康状態の改善につなげるシステムを提案。介護の前段階であるフレイルを防ぐためのリスク特定と機能改善プランを専門家が示し実行することで健康寿命を延伸させ、ビジネスケアラーになる人やケア期間の削短縮化を図ります。
最後の登壇者は、三菱UFJ信託銀行株式会社 フロンティア事業開発部 エグゼクティブアドバイザー 石崎浩二様で、「金融包摂」の研究開発成果を代表し、高齢者が生涯にわたって自立的に経済活動ができるように支援を行う社会経済システムを説明。認知機能の低下に従い金銭管理や取引が難しくなる現状を踏まえ、AI技術を用いて高齢者の金融判断能力を測定するシステムを提案。金融機関と自治体、福祉関係者が連携した社会実装へのプランを伝えました。
左写真:大和ハウス工業株式会社 中野伊吹 様、中央写真:株式会社つくばウエルネスリサーチ 塚尾晶子 様、右写真:株式会社emotivE 永井秀敏 様
左写真:パナソニック ホールディングス株式会社 山岡 勝 様、右写真:三菱UFJ信託銀行株式会社 石崎浩二 様
各プレゼンテーションの終了後、目崎祐史サブPDが「多様性寛容」をテーマにした研究開発の「多様性に寛容な社会の実現に向けた共創システムの開発」を紹介しました。「データ×介入×人材育成の三位一体モデル」の社会実装により、「違いがあっても大丈夫」と共育しあえるコミュニティ構築について説明を行いました。
続いて審査員と来場者による投票審査が行われました。最も多くの票を集めたのは妊婦や子育て中の女性の健康課題解決を図るオンラインプログラム「MOM UP PARK(マムアップパーク) by 健幸スマイルスタジオ」で、「子育て女性」の研究開発成果を代表しプレゼンテーションした塚尾晶子様(株式会社つくばウエルネスリサーチ)が表彰されました。
株式会社つくばウエルネスリサーチ 塚尾晶子 様
閉会挨拶
最後に青木由行サブPD(一般財団法人 不動産適正取引推進機構 理事長、元国土交通省 都市局長)から、統括と挨拶が行われました。
登壇者の発表や発言を振り返り、新しい気付きのある意見交換が行われ、登壇者の決意が聞かれるプレゼンテーションであったと評しました。
シンポジウムのテーマである“あたりまえをつくり直す”については、一人ひとりが感じる違和感を表明して投げかけていくことが大切であると語りました。そして技術開発と対話の重要性をメッセージし、今後の社会実装に向けた協力や参加を呼びかけました。
青木由行サブPD
企画展示「みんなの違和館」
「みんなの違和館」の一部の先行公開展示では、企画を行った玉川学園の中高生による説明が行われました。また、包摂的コミュニティプラットフォームの構築に向けてこれまで開発してきた社会技術の一端を紹介する展示も行われ、研究開発者と来場者の皆さまとの交流の場となりました。
「包摂的コミュニティプラットフォームの構築」シンポジウム 2025 概要
開催日
2026年3月18日(水) 13:00~17:20
会場
シティホール&ギャラリー五反田(品川区西五反田8-4-13五反田JPビルディング3F)
登壇者
【第一部】 ※ 順不同
坂西義史様(内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 企画官(人・くらし担当))
久野譜也PD(国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学学術院 教授)
玉川学園 澤井柚奈さん(高校2年生)、竹内優希菜さん(高校3年生)、金岡芽依さん(高校3年生)、杜康平さん(中学3年生)
入山章栄様(早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール 教授)
千葉佳織様(株式会社カエカ 代表取締役)
野嶋紗己子様(PIVOTプロデューサー、元MBSアナウンサー)
【第二部】 ※ 順不同
青木由行サブPD(一般財団法人 不動産適正取引推進機構 理事長、元国土交通省 都市局長)
<ビジネスピッチ 審査員・MC>
川本恭治様(城南信用金庫 相談役)
阪口伸六様(前 高石市長、前 全国市長会 相談役、万博首長連合 相談役)
佐藤久恵様(株式会社ワコールホールディングス 社外取締役、学校法人国際基督教大学 評議員)
谷本有香様(Forbes JAPAN執行役員 Web編集長)
涌井大輔様(株式会社Labz.代表取締役社長)
小嶋唯愛さん、添田友里さん、村山恵大さん(玉川学園生徒代表)
松江英夫様(デロイトトーマツグループ 執行役、社会構想大学院大学 社会構想研究科 教授)
目崎祐史サブPD(セコム株式会社 執行役員)
<ビジネスピッチ参加者>※ 順不同
中野伊吹様(大和ハウス工業株式会社 まちづくり統括部都市環境創造室都市企画グループ主任)
塚尾晶子様(株式会社つくばウエルネスリサーチ 取締役副社長)
永井秀敏様(株式会社emotivE(エモーティブ) コンサルティング部 部長)
山岡勝様(パナソニックホールディングス株式会社 事業開発センター スマートエイジングケア部部長)
石崎浩二様(三菱UFJ信託銀行株式会社 フロンティア事業開発部エグゼクティブアドバイザー)