|
|
|
|
|
一般財団法人夢投資財団(所在地:長野県飯田市、代表理事:田辺 大)は、2026年3月27日(金)19:00~21:00、オンライン(Zoom)にて「ハーバード社会事業大会 帰国報告会」を開催しました(参加申込者28名)。代表理事の田辺大が、米国ハーバード大学で2月28日~3月1日に開催された社会起業分野の世界大会 Social Enterprise Conference(SECON2026、参加者約300名)での学びをもとに、日本のソーシャルセクターの持続的発展に向けた提言を行いました。単年度ごとに予算や成果がリセットされる構造が非営利セクターの閉塞を招いているとし、時間を味方にしながら社会的価値を複利的に増幅する「複利思考」と、その実践に不可欠な「仕組み」の重要性を説くものです。 |
|
田辺のSECON参加は2003年から24年連続(歴代最長)であり、2026年大会では日本人として初めて大会公式SNSの動画インタビューにも掲載されました。 |
|
|
|
|
|
1. なぜ「複利思考」なのか ── 日本のソーシャルセクターが抱える構造的課題 |
|
|
|
日本のソーシャルセクターでは、助成金や委託事業の多くが単年度で完結する構造が存在します。1年ごとに予算が消化され、担当者が異動し、蓄積された知見や関係性がリセットされる──この「単年度リセット」の繰り返しが、若者の参入を阻み、セクター全体の閉塞を招いていると田辺は指摘します。 |
|
この構造の対極にあるのが「複利思考」です。金融で知られる複利の概念を、人の成長・事業運営・社会変革に応用する考え方であり、短期的な成果が見えにくい初期段階を耐え抜き、小さな改善を積み重ねることで「臨界点」を越え、加速度的な変化が生まれるという原理に基づいています。帰国報告会では好例として菊池雄星投手のインタビュー動画も紹介されました。 |
|
なお、この提言は各地の非営利の現場の尊さを否定するものではありません。むしろ、現場の努力が構造的に報われ、若者も参加しやすくなり、持続・発展するための「仕組み」を整えることへの呼びかけです。 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
2. 価値が複利で増える「仕組み」── フライホイール効果の応用 |
|
|
|
田辺は、価値が複利的に増えていく構造の好例として、Amazonのジェフ・ベゾスが好む「フライホイール効果(はずみ車の効果)」を紹介しました。低コスト構造→低価格→顧客体験の向上→取引増加→売り手増加→品揃え拡充→さらなる成長、という循環が自己強化されるモデルです。 |
|
さらに、日本のソーシャルビジネスの事例として、マザーハウスの事業モデルをフライホイール効果で読み解きました。途上国での根気強い人材育成と高品質の生産→日本での高付加価値販売→顧客体験の創出→ブランド信頼の蓄積→利益の安定→人材・商品・設備への再投資──この循環こそ、非営利セクターが学ぶべき「仕組み」であると説明しました。 |
|
|
|
|
|
|
|
3. ハーバード社会事業大会2026の現地報告 |
|
|
|
Social Enterprise Conference at Harvard(SECON)は、ハーバード・ビジネススクール(HBS)とハーバード・ケネディスクール(HKS)の共催により2000年に始まった社会起業分野の世界大会です。2026年大会のテーマは「Reimagining Our Future Together(私たちの未来を再構想する)」。AI時代における社会の変革と、インパクトの原動力やリーダーシップのあり方が問われました。 |
|
大会では13のパネルが設けられ、インパクト投資、フィランソロピーの未来、デジタル公共インフラ、そして「社会契約の未来」などが議論されました。基調講演「社会契約の未来(The Future of Social Contract)」では、AIの普及が社会契約そのものの問い直しにつながっていること、社会起業家が新しい一般意志の見える化に貢献しうるという気づきが共有されました。 |
|
また、NPOエンデバー(Endeavor、本部ニューヨーク)が提唱する「乗数効果(multiplier effects)」も報告。起業家という複利で成長する存在を支援することで、組織自体もまた成長する──この仕組みは、日本の中間支援組織が人材育成を再定義するうえでも大きな示唆を持ちます。 |
|
|
|
|
|
|
NPOエンデバー(Endeavor)のグローバル・チー フ・マーケティング・オフィサー(Global CMO)であるシルビア・カヴァルカンティ(Silvia Cavalcanti)氏の基調講演 |
|
|
|
|
4. 公益信託・ファミリーオフィス・長期寄付 ── 複利思考の社会実装へ |
|
|
|
報告会では、複利思考を社会実装する具体的なテーマとして、2026年4月施行の公益信託制度改正、ファミリーオフィス、長期寄付が紹介されました。 |
|
公益信託の制度改正により、信託銀行以外にも担い手が広がり、大口の長期寄付がより実現しやすくなります。また、海外ではファミリーオフィス(富裕層の財産運用組織)が社会的インパクト投資への関心を高め、野心的に資金を投入する動きが加速しています。 |
|
日本の非営利分野では、単年での助成や委託に依存しやすい構造が一般的ですが、中長期で価値を育てる資金循環の設計と実装が、今後ますます重要になります。 |
|
|
|
|
|
|
帰国報告会で紹介した内閣府資料『新しい公益信託制度について』(出典:内閣府) |
|
|
|
|
5. 参加者の声 |
|
|
|
報告会では参加者から、以下のような声が寄せられました。 |
|
「営利企業の場合は経済的な等価交換が成立すれば、それ以上動くことはコスト増になると一般的には考えられている。だが、『ゆっくり、いそげ』著者の影山知明氏が『健全な負債感』と語るように、社会的価値を大きく受け取った人が恩返しをし、その恩返しがまた別の恩返しを生むなら、社会で恩が複利的に膨らんでいく」 |
|
「1年リセット主義のため、非営利業界では助成金や補助金の書類申請業務が重すぎると痛感する」 |
|
「非営利事業は、社会的価値が複利で増える仕組みをどう設計するかが重要だと感じた」 |
|
|
|
6. 代表コメント |
|
|
|
|
|
|
ハーバード社会事業大会2026の会場にて(2026.3.1撮影) |
|
|
|
一般財団法人夢投資財団 代表理事 田辺大 |
|
|
|
「2003年からハーバード社会事業大会に通い続けて24年。最初の数年は、日本からたった一人で参加し、英語も不十分なまま『地べたをはう』日々でした。それでも通い続けた結果、大会の共同代表から声をかけられ、公式SNSで取り上げていただけるまでになりました。これ自体が『複利思考』の実例と感じています。 |
|
日本のソーシャルセクターの現場には、世界に誇れる実践があります。しかし、単年度主義という構造の中で、その価値が積み上がらずに消耗しています。長野県飯田市という地方を拠点にしながら、ハーバードで得た知見と日本の現場をつなぎ、『応援投資』の哲学で社会的価値を複利的に増やす構造改革を、賛同する方々と連携しながら、進めて参ります。」 |
|
|
|
|
|
7. 今後の展望 |
|
|
|
公益信託の設置準備: 2026年4月施行の制度改正を活用し、地域における新たな資金循環モデルとしての公益信託の準備を進めています。 |
|
Udemyコース開設: 社会起業家の成長方法論や複利思考を学べるオンラインコースの開設を予定しています。社会起業を志す方、非営利組織の運営に携わる方を主な対象としています。 |
|
書籍化計画: 「複利思考」の理論と実践をまとめた書籍の出版を準備中です。単年度リセット思考との対比、フライホイール効果のソーシャルセクターへの応用など、報告会で紹介した内容を体系化します。 |
|
|
|
8. 「応援投資」── 夢投資財団が目指すもの |
|
|
|
夢投資財団は「応援投資」の哲学のもと、研修・研究、助成、経営コンサルティングの3事業を展開しています。「応援投資」とは、短期的なリターンではなく、ひと・事業・地域の社会的価値が中長期で複利的に増幅することを目指す考え方です。「投資」と名乗るのは、寄付や支援を「消費」ではなく「未来への投資」として捉えるためです。米国ActKnowledge(Center for Theory of Change)との提携によるセオリー・オブ・チェンジ(ToC)コンサルティングや、女性起業家の伴走支援など、複利的な成長を支える仕組みづくりに注力しています。 |
|
|
|
9. 開催概要 |
|
|
|
名称:ハーバード社会事業大会 帰国報告会 |
|
日時:2026年3月27日(金)19:00~21:00 |
|
形式:オンライン開催 |
|
参加申込者数:28人 |
|
主催:一般財団法人夢投資財団 |
|
|
|
10. 一般財団法人夢投資財団について |
|
|
|
人・事業・地域の魅力を見出し育てる「魅力開拓法人」夢投資財団は「コンサルティング × 応援投資 = 地方再生」のコンセプトのもと、長野県飯田市にて2025年4月に設立。研修・研究、助成、経営支援の3事業を通じ、ひと・事業・地域の魅力を開拓し、非営利の切り口で地方再生に貢献しています。 |
|
|
|
11. 団体概要 |
|
|
|
団体名:一般財団法人夢投資財団 |
URL:https://ytz.or.jp 所在地:長野県飯田市 |
お問い合わせ先: 寄付・参画に関するご相談:https://ytz.or.jp/giving
|