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国立大学法人東京大学(東京都文京区、総長:藤井 輝夫、以下、「東京大学」)と、株式会社 |
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デンソー(愛知県刈谷市、代表取締役社長:林 新之助、以下、「デンソー」)は、2026 年4 月1 |
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日より、10 年間にわたる産学協創協定を締結します。本協創事業は、東京大学におけるモビリティ |
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分野初の組織対組織による長期包括連携となります。 |
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本協創協定は、「走るほど、満ちる社会へ:モビリティから広がる未来の社会価値」を共通ビジ |
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ョンに掲げます。移動はこれまで、人々の利便性を高める一方で、エネルギー消費や移動に伴う時 |
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間的制約が課題となっていました。本協創事業ではこうした課題解決に向け、モビリティそのもの |
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がエネルギーを循環させ、データを蓄積・活用することで、社会に新たな価値を生み出す源泉へと |
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進化させることを目指します。モビリティを起点としてエネルギー、データ、都市インフラの連携 |
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を深め、人の幸福度向上にもつながる持続可能な社会システムの構築に挑みます。 |
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左から、デンソー 代表取締役社長 林 新之助、東京大学 総長 藤井 輝夫 |
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■背景と目的:モビリティの転換期 |
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モビリティ産業はいま、電動化や知能化の進展により大きな転換期を迎えています。電動車の普 |
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及とともに、充電インフラや電力需給を含めたエネルギー全体の在り方が重要な課題となっていま |
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す。また、自動運転の実現に向けた技術開発が進む中で、将来を見据えた計算資源の確保やエネル |
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ギーの活用も求められています。こうした状況のもと、移動、エネルギー、データ、都市インフラ |
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は相互に結びつき、社会全体での最適化が不可欠となっています。 |
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さらに、カーボンニュートラルの実現やエネルギー制約の深刻化、少子高齢化の進展、交通事故 |
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死亡者ゼロ社会への要請など、現代社会が直面する課題は複雑に絡み合っており、個別技術の高度 |
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化だけでは十分に対応することが困難です。 |
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こうした背景を踏まえ、本協創では、モビリティを単なる移動手段としてではなく、エネルギ |
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ー、データ、都市インフラをつなぐ「社会システム」として再定義し、その実現に挑戦します。 |
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東京大学は数理最適化、都市設計、自動運転制御、安全保証理論、半導体設計などを横断する知 |
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を備えています。一方、デンソーは、長年モビリティ領域で培ってきた電動化・知能化技術、そし |
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て車載半導体やソフトウェアなどにおいても豊富な知見と実装力を有しています。両者が連携する |
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ことにより、モビリティ領域だけでなく、半導体、AI、ソフトウェアなどの基盤技術の高度化や、 |
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それらを担う人材の育成にも協創で取り組み、研究から社会実装までを見据えた持続的な価値創出 |
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を目指します。 |
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■本協創協定で取り組む4 つの重点テーマ |
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具体的には、以下の4 つの重点テーマに取り組みます。 |
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(1) エネルギー循環とデータ連携による社会価値の創出 |
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走行中無線給電システム(DWPT、注1)と数理最適化を中核技術とし、都市だけでなく、高速道 |
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路を含む物流網などにおけるエネルギー供給とモビリティ利用とを一体で考え、電力網への過度な |
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負荷を押さえた社会基盤の構築に取り組みます。そして、移動需要や交通流を踏まえたインフラ敷 |
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設の最適化を通じて経済成立性を高め、エネルギーと移動が調和する社会の実現を目指します。 |
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特にDWPT は、車両が走行中に無線で電力供給を受ける技術であり、社会実装が進めば充電とい |
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う行為から解放されることが期待されます。モビリティはエネルギーを消費するものではなく、移 |
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動を通じて蓄積したエネルギーを社会に戻す「走る蓄電池」としてエネルギー循環を支え、分散型 |
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で開かれた新たなエネルギー利用モデルの構築につながります。 |
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(2) 社会インフラと協調したモビリティの進化 |
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交通事故や渋滞を構造的に減らすため、社会インフラとの協調に加え、安全保証やセキュリティ |
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技術などを連携させ、安全かつ連続して状況判断が行えるモビリティの実現に向けて取り組みま |
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す。走行中に必要な情報の不確かさや遅延、外部からの攻撃、機器などの故障といったさまざまな |
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リスクを想定しながら、安全に走り続けられるモビリティを支えるために、情報の信頼度設計やエ |
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ネルギーを意識したルートの最適化などにも取り組みます。 |
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(3) 持続的な価値創造を支える技術基盤の強化と深化 |
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すでに取り組みを進めている、次世代の生産システム運用基盤の構築(注2)に加え、カーボン |
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ニュートラルや交通事故死亡者ゼロの実現に向けた技術基盤の強化と深化に取り組みます。具体的 |
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には、車載SoC 設計やソフトウェア、AI・半導体などの基盤技術の高度化を進めるとともに、製 |
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造・保守を含む運用基盤までを視野に入れた仕組みを構築し、持続的に価値を生み出す技術基盤の |
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確立を目指します。 |
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(4) 未来社会を構想・実装する高度人材の育成 |
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上記の研究・実証活動を教育の場として活用し、未来社会を構想し実装できる高度人材の育成に |
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取り組みます。学生から社会人までを対象に、研究、実証、制度設計をつなげて考え、社会実装ま |
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で担える人材を育成するとともに、産学協創の取り組みが持続する仕組みを構築します。 |
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これは、産業界と学術界が連携した実践型教育であり、研究開発の現場や社会実証の場を教育に |
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取り込み、技術と社会を結び付けて考える能力を育てます。 |
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これら4 つの重点テーマを通じて、モビリティを起点にエネルギーが循環し、データが社会全体 |
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の最適化に活用され、人々の時間や行動の可能性が広がる社会システムの実現を目指します。東京 |
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大学の学術的知見とデンソーのモビリティ領域における知見と技術を融合させることで、研究から |
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実証、制度設計、社会実装、人材育成までを一体で推進し、社会に新たな価値を生み出す、持続可 |
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能な社会システムの構築に挑みます。 |
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コメント |
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●東京大学総長 藤井 輝夫 |
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資源が豊富でない日本において、エネルギーの新たな獲得・循環の仕組みを社会実装すること |
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は、極めて大きな意味を持ちます。その意味で、「走るほど、満ちる社会へ」というビジョンは、 |
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現在の世界情勢を踏まえても大きな可能性と希望を感じさせるものだと確信しています。デンソー |
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の優れた実装力に本学の多様な知を結びつけ、世界に広がるさまざまな困難を乗り越える糸口を見 |
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出すことに貢献していくことこそが、本学に期待されている役割の一つだと考えております。新た |
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な発想での学知に基づく本協創協定が、世界的な困難を乗り越える一助となり、より持続可能で豊 |
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かな社会の実現につながるよう、デンソーと共に取り組んでまいります。 |
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●株式会社デンソー 代表取締役社長 林 新之助 |
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世界が大きな構造転換の中にある今、資源やエネルギー、環境、安心といった社会課題は、もはや一企業だけで解決できるものではありません。とりわけ資源制約を抱える日本においては、知と技術を結集し、新たな価値創出の仕組みを社会に実装していくことが重要だと考えています。 |
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デンソーは創業以来、モビリティを起点に社会課題に向き合ってきましたが、社会とモビリティがより深く結びつくこれからの時代において、どのような価値を世界に届け続けるのかが、今あらためて問われています。今回の協創は、東京大学の上流の知と、デンソーの技術・実装力を結び、社会価値へと転換する挑戦です。この挑戦を通じて、日本の競争力と価値を高め、世界に貢献していきます。 |
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注1:走行中無線給電システム(DWPT:Dynamic Wireless Power Transfer)とは、車両が走行しな |
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がら道路に埋設された設備から無線で電力供給を受ける技術です。走行中ワイヤレス給電や、 |
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Electric Road System(ERS)とも呼ばれます。車両を単なるエネルギー消費主体ではなく、エネ |
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ルギー需給を支える分散型蓄電装置として活用することを可能にします。本協創協定に先立ち、デ |
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ンソーと東京大学生産技術研究所は、2025 年10 月1 日より「脱炭素モビリティ・インフラ戦略」 |
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社会連携研究部門を設置しています。 |
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https://www.iis.u-tokyo.ac.jp/ja/research/department_center/Decarbonized-Mobility- |
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Infrastructure-Strategy/ |
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注2:本協創協定に先立ち、デンソーと東京大学大学院工学系研究科は、2025 年4 月1 日より「AI |
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技術を活用して持続発展する次世代生産システム運用基盤の構築」社会連携講座を設置していま |
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す。 |
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https://denso.fa.race.t.u-tokyo.ac.jp/ |
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