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世界の都市は住民の獲得をめぐり激しい競争を繰り広げており、都市ブランディングは自治体や都市開発事業者にとって重要な政策手段です。都市ブランディングで象徴として位置付けられるのが公園です。ロンドンのハイドパークやニューヨークのセントラルパークに代表されるように、緑は都市のシンボルとして機能します。さらに、持続可能性を高める観点からも緑は重要な役割を果たすため、多くの再開発でも公園や緑が活用されます。 |
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持続可能性は、環境への配慮だけでなく、多様な人々が集まることで地域の経済が活性化することも同時に求められます。そこで、再開発を担う自治体や関連企業は、パース(完成予想図)でまちを描写し、その魅力を多くの人々に発信しています。 |
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パースの内容に関する議論は建物や設備に傾倒しがちで、描かれる「人物」がどのような影響を与えるかについては十分な知見が蓄積されておりませんでした。一般的なマーケティングコミュニケーションでは、消費者は商品・サービスよりも、それを利用する登場人物に注目する傾向があることを踏まえると、パースでもまちの人々の描写は重要であると想定されます。 |
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本研究では、都市公園の再開発パースとして、ベビーカーのない画像(統制群、図1)とベビーカーのある画像(処置群、図2)を用意し、参加者をランダムに割り当てて、いずれか片方を提示しました。その後、このまちの魅力を評価してもらいました。その結果、統制群では64.4%がまちに魅力を感じたのに対し、処置群では74.1%が魅力を感じ、約10ポイントの有意差がありました。 |
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ベビーカーの効果は、性別や年齢を問わず確認されました。女性では11ポイント(68.2%→79.2%)、男性では7.9ポイント(61.0%→68.9%)の向上が見られました。年齢別では、20~44歳で10.7ポイント、45~69歳で8.4ポイントの向上が確認されています。また、公園への態度的関与が低い層では13.0ポイント(37.7%→50.7%)、公園の利用頻度が低い層では14.0ポイント(61.0%→75.0%)と、効果がより大きくなりました。つまり、ベビーカーは従来公園に関心の薄かった層を新たに惹きつける要因として機能しており、都市の潜在的な参加者層の拡大に寄与することが示されました。 |
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本研究は、シティブランディングの知見をマーケティングコミュニケーションの領域に拡張し、パースにおけるベビーカーの価値に関する貴重なエビデンスを提供しています。子どもや子育て家族の存在がまちの活気を象徴し、心理的な参入障壁を下げるという知見は、今後の都市開発やまちづくりの実務に直接応用できるものです。ベビーカーが入りやすい場づくりをすることで、多様な人々にとってその都市の魅力が高まることが期待できます。 |
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