VeritasChain株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:上村十勝)は、同社が運営する仏教AI対話サービス「AIブッダ 禅」において、ユーザーの悩みの深さに応じてAIが対話の仕方を自動的に切り替える「深掘り対話モード」を導入したことを発表いたします。

従来の「1回の発言に対して経典を引用して応答する」方式から、悩みの内容に応じて1〜3ターンの対話で文脈を理解してから最も適切な経典を引用する方式へと進化しました。

◼️ 背景と課題

AIブッダ 禅はこれまで、ユーザーの悩みに対して「受容→経典引用→実践提案→出典」という固定の構造で応答していました。この方式は明確な悩みには効果的でしたが、二つの課題がありました。

第一に、「つらい」「モヤモヤする」のような漠然とした悩みに対して、文脈が不十分なまま経典を引用してしまうケースがありました。職場の人間関係の問題なのか、家族の問題なのか、存在の不安なのかによって、最適な経典は大きく異なります。

第二に、臨床心理学で「スピリチュアルバイパッシング」と呼ばれる問題がありました。これは1984年に心理学者John Welwoodが提唱した概念で、未解決の感情的課題をスピリチュアルな言葉で回避してしまう傾向を指します。悩みの本質に向き合う前に経典の言葉で「解決した気」にさせてしまうリスクは、仏教AIサービスが最も注意すべき設計上の課題です。

◼️ 3層の対話分類

新しいシステムでは、ユーザーのメッセージを自動的に3つの層に分類し、それぞれ異なる対話パターンで応答します。

第一の層は「スコープ外」です。天気やレストランなど仏教の智慧と関連しない情報検索に対しては、「私の知恵の外にございます」と丁重に伝え、無理に仏教に結びつけません。1〜2文で簡潔に返します。

第二の層は「浅い悩み」です。「最近疲れた」「なんとなくモヤモヤ」のような漠然とした悩みに対しては、まず共感を示したうえで、深掘りの質問を1つだけ返します。「その疲れは、体の疲れでしょうか、それとも心の疲れでしょうか」のように。ユーザーが具体的に答えてくれた次のターンで、文脈に合った経典を引用します。

第三の層は「深い悩み」です。死別、喪失、生きる意味、関係の断絶、深い孤独など、重い心理的テーマに対しては、経典を出さずにまず気持ちを丁寧に聴きます。2〜3ターンにわたって傾聴と穏やかな問い返しを続け、十分に聴き取れたと感じた段階で、その人の具体的な状況に最もふさわしい経典を引用します。

◼️ 四聖諦の対話構造への変換

この3層設計は、仏陀が説いた四聖諦(苦・集・滅・道)の構造を対話に変換したものです。

四聖諦は歴史的に「偉大な医師」としての仏陀による診断モデルとして解釈されてきました。第一聖諦(苦)が症状の特定、第二聖諦(集)が原因の診断、第三聖諦(滅)が回復の可能性、第四聖諦(道)が治療法に対応します。

AIブッダ 禅の深掘りモードでは、第一聖諦と第二聖諦に相当する「苦しみの受容と原因の探索」を対話の前半で行い、十分な理解を得てから第三聖諦と第四聖諦に相当する「経典引用と実践提案」に進みます。

仏教においてティク・ナット・ハンは深い傾聴について「聴くのはただ一つの目的のため。相手が心を空にする手助けをすること」と説いています。この原則が深掘りモードの設計思想の根幹にあります。

◼️ 心理学的エビデンス

深掘りモードの設計には、以下の心理学的フレームワークを参照しています。

認知行動療法(CBT)のソクラテス式質問法では、即座にアドバイスを与えるのではなく、質問を通じてユーザー自身の洞察を引き出すアプローチが推奨されています。

動機づけ面接法(MI)のOARS技法(Open questions, Affirmations, Reflections, Summaries)は、AIの対話設計に直接転用可能なフレームワークです。特にElicit-Provide-Elicit(引き出す→提供する→引き出す)パターンを応用し、経典引用を一方的な「教え」ではなく対話的な探究の一部として位置づけています。

アクセプタンス&コミットメントセラピー(ACT)の「座る」技法は、仏教の瞑想的アプローチと構造的に一致しており、「この感情と一緒にいてみましょう」という深掘りモードの傾聴姿勢に反映されています。

メンタルヘルスAI業界では、Woebotが認知再構成の段階的フロー、Wysaが明示的な2段階モデル(リスニング→セラピューティック)を採用しており、即座のアドバイスを避ける段階的対話が標準的なベストプラクティスとして確立されています。

◼️ セーフガード設計

深掘りには心理学的リスクが伴うため、3つの安全機構を組み込んでいます。

第一に、ターン数の厳格な制限です。深掘りは最大3ターン、各ターンの質問は1つまでに制限しています。研究では9ターン付近で対話の境界違反が発生しやすいことが示されており、十分な安全マージンを確保しています。

第二に、危機検知の即時介入です。自傷・自殺に関連する表現が検知された場合、深掘りを即座に停止し、相談窓口を案内します。AIブッダ 禅はC-SSRS(コロンビア自殺重症度評価尺度)に準拠した3段階のリスク評価システムを実装しています。

第三に、深夜帯との連動です。23時から6時の深夜帯では時間帯適応型AIが自動発動し、深掘りモードの安全性がさらに強化されます。

◼️ 対話の変化イメージ

従来の応答パターンでは、「つらい」と入力すると即座に経典が引用されていました。

新しい深掘りモードでは、以下のような対話が展開されます。

ユーザーが「つらい」と入力すると、AIブッダは「そのつらさは、お心の中にございますか。それとも、お体や日々の暮らしの中にございましょうか」と穏やかに問い返します。ユーザーが「職場の人間関係で…」と具体的に答えると、その文脈に最も適した経典を引用し、具体的な実践を提案します。

深い悩みの場合はさらに丁寧に傾聴を重ね、「お話しくださりありがとうございます」と承認しながら、十分に文脈を理解してから経典を届けます。

◼️ 今後の展開

2026年5月に情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会(CH141)にて研究発表を予定しています。深掘りモードの対話ログデータを分析し、段階的対話がユーザーの相談満足度と経典引用の適合性にどのような影響を与えるかを報告する計画です。

また、悩みの分類・セッション構造・応答反応シグナルなど対話メタデータの収集基盤を整備しており、これらのデータに基づく「悩み白書」の発行を検討しています。

◼️ サービス概要

サービス名:AIブッダ 禅(AI Buddha Zen)

提供形態:LINE Bot(@buddha_zen)/ iOSアプリ(v1.5・App Store公開中)

公式サイト:

https://buddha.aimomentz.ai

料金:基本無料(無料ユーザーは1日あたりの相談回数に上限あり。プレミアムプランあり。初回3日間無料トライアル)

経典データベース:パーリ仏典・大乗経典18種、10,023偈句(全偈句テーマタグ設定済み)

AIプロバイダー:Anthropic社 Claude

開発・運営:VeritasChain株式会社

所在地:東京都渋谷区恵比寿西2丁目4-8

代表:上村 十勝(Tokachi Kamimura)

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Forbes JAPAN掲載記事:

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