2026年3月12日から14日まで大阪市で開催された『STROKE2026※1』において、順天堂大学医学部附属浦安病院 脳神経内科の栗田 尚英先生により「急性期虚血性脳卒中における高発酵性食物繊維含有経腸栄養剤の投与」の研究成果が発表されました。本研究は、臨床研究法に基づく特定臨床研究※2として実施され、ネスレ日本株式会社 ネスレ ヘルスサイエンス カンパニー(本社:兵庫県神戸市、カンパニープレジデント:中島昭広)は、本研究の実施に際し、順天堂大学医学部附属浦安病院との臨床研究契約に基づき、研究資金を提供しました(本研究の計画や実施、発表に対して関与しませんでした)。
 
ネスレ ヘルスサイエンスは、科学的な根拠に基づき、顧客課題や社会課題の解決に向けた栄養に関するソリューションを提供し続けることを目指しています。今後も、研究活動や学術発表によって栄養療法の発展に寄与するとともに、科学的根拠に基づいた製品やサービス、情報提供を行っていきます。
 
※1第51回日本脳卒中学会学術集会、第55回日本脳卒中の外科学会学術集会、第42回SAH/スパズム・シンポジウムによる合同会議の総称。本学会のテーマは「脳卒中克服への挑戦:次なる10年の展望」。脳卒中医療に関する最新の研究成果、外科・血管内治療の進歩、遠隔医療・デジタルヘルスの応用、リハビリテーションなど、多領域の専門家が集い議論される包括的な学術集会である。
 
※2本研究に関する情報は臨床研究等提出・公開システムに登録されております
https://jrct.mhlw.go.jp/latest-detail/jRCTs031230208
急性期脳卒中における食物繊維含有乳清ペプチド消化態流動食の有用性
研究背景
脳卒中急性期では、腸内細菌叢の異常(ディスバイオシス)や短鎖脂肪酸の減少が生じ、全身性炎症の亢進や予後不良と関連することが報告されています。一方で、急性期における高発酵性食物繊維の早期投与が、消化管耐容性や神経学的転帰に与える影響については、十分に検証されていませんでした。
研究方法
本研究では、急性期虚血性脳卒中患者を対象に、入院後72時間以内に患者背景の偏りが生じないよう無作為に2群へ割り付け、鼻から胃へ挿入したチューブ(経鼻胃管)を用いて、14日間の経腸栄養投与を行いました。
 
介入群には食物繊維含有乳清ペプチド消化態流動食を、対照群には水溶性食物繊維非含有の標準的な経腸栄養剤を使用しました。
 
主要評価項目として、投与開始から14日間における下痢の発生率をブリストルスケールで評価しました。さらに副次評価項目として、水様便(ブリストルスケール7に該当)の出現状況に加え、脳卒中の神経学的重症度を評価する指標であるNIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)を用いて、神経学的変化を評価しました。
研究結果
下痢の発生率については両群間で差は認められませんでした。一方、介入群では、投与8~14日後における水様便の出現日数および頻度が、対照群と比較して有意に減少しました。
 
また、対照群では NIHSS が悪化傾向を示したのに対し、介入群では維持または改善傾向が認められ、神経学的悪化を抑制する可能性が示されました。
 
本研究については現在、腸内細菌叢および短鎖脂肪酸解析を含む詳細解析が進行中です。
 
 
左:栗田 尚英(くりた なおひで)先生(順天堂大学医学部附属浦安病院 脳神経内科 准教授、 一宮西病院 脳神経内科 医長)右:山城 一雄(やましろ かずお)先生(順天堂大学医学部附属浦安病院 脳神経内科 先任准教授)
‐発表概要‐
演題名:急性期虚血性脳卒中における高発酵性食物繊維含有経腸栄養剤の投与

試験デザイン:ランダム化比較試験
 
発表者:栗田 尚英(順天堂大学医学部付属浦安病院 脳神経内科、一宮西病院 脳神経内科)、山城 一雄(順天堂大学医学部付属浦安病院 脳神経内科)、牧野 健作(順天堂大学医学部付属静岡病院 脳神経外科)、山本 拓史(順天堂大学医学部付属静岡病院 脳神経外科)、田中 亮太(自治医科大学附属病院 脳卒中センター)、波田野 琢(順天堂大学医学部 脳神経内科)、卜部 貴夫(順天堂大学医学部付属浦安病院 脳神経内科)
 
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