この度、LURF GALLERY(ルーフギャラリー)1Fでは、永野愛佳の個展「夏隣」を開催いたします。

永野愛佳は、日本画において「余白」とされてきた空間を光として捉え、画面の「地」として描き出す表現を探求してきました。描かれる対象だけでなく、その周囲に広がる空気や光の揺らぎといった、かたちを持たない気配を繊細な光の層として画面に立ち上がらせています。

本展タイトルの「夏隣」は、夏の気配がすぐそばまで近づく季節の移ろいを表す言葉です。本展では、日常の風景に潜む季節の変化や時間の気配にまなざしを向けた新作を発表いたします。ぜひこの機会にご高覧ください。

うららかな日差しに温められた空気の中、湿った土や新緑の匂いをのせたそよ風が通り過ぎてゆく。

頬を撫でるやわらかな風に季節がゆっくりと移ろっていくのが分かる。

日常の中にも、光の僅かな揺らぎや空気の湿りがあり、見慣れた風景がふと違って見える瞬間がある。

そうしたささやかな変化に目を向けながら、日々の風景を見つめ、描き続けていきたい。

無限空間である“間”を有限のものとして。

日本絵画における画面の構成は図と余白である“間”が重要視されるが、自身の作品では余白の間を光と捉え、画面の地、つまり“有限の間”をメインとしている。本来触れる事のなかった無限の間に光として白い地を与え、時間や湿度、季節などの機微を含み作者の肉感を得ることを狙いとした。ものとものの間隔、距離をキャンバス地のまま残すのではなく、白で描くことによって一見無限とも思える間は光に照らされ有限のものへと変容する。

光である地は図に影響を及ぼし、双方の関わりはより豊かさを増す、空間がものに調和する余韻を表現した。

2024年 「東京藝大オープンアーカイブ VIVA」(アトレ取手、茨城)

ルーフギャラリーは、現代社会の日常に潜む内面を、それぞれのスタイルで鋭く表現するアーティストたちを発掘・紹介し、同時代美術におけるひとつの潮流を提唱することを目的として、2022年に代官山で開廊しました。近代リアリズムが追求した人間の存在と社会の現実、また現代抽象が掘り下げた精神的・構造的探究などに関心をもちながら、モダンからコンテンポラリーへと続く美術の流れに敬意を払いつつ、時代の気配を繊細にとらえる感性をもつアーティストたちに光を当てています。 国籍やキャリアの枠にとらわれず、国際的な視点から、多様で本質的な表現を探究するアーティストをサポートしていきます。私たちは、こうした活動を通じて、現代社会を反映した、美術の普遍的な流れを紹介していくことを目指しております。