発災以来約2ヶ月ぶり且つ停電下に行った手術(6月2日撮影)
日本発祥の国際医療NGOである特定非営利活動法人ジャパンハート(東京都台東区 理事長:吉岡春菜)は、2026年3月28日をもってミャンマー大地震から一年を迎えることを機に、年間の治療実績と現地の状況を報告します。
 
2004年のジャパンハート設立とともに開始した、ミャンマー・ザガイン管区ワッチェ慈善病院での医療支援活動。20年間にわたり、民主化移行、新型コロナウイルス感染症流行、クーデターと再度の軍事政権化など、激動の時代とともに活動を継続するなかで、2025年3月28日にM7.7のミャンマー大地震が発生しました。
 
震源地エリアに位置するワッチェ慈善病院は、一部病棟が崩壊、約2ヵ月にわたり運営中断を余儀なくされるなど大きな影響を受けます。その後は、6月1日の入院受入れ、6月2日の手術実施を皮切りに病院運営を再開。8月に政府より活動終了要請を受けるまで各地域への巡回診療も継続しました。
 
これらの活動を通じて、2025年度は外来および巡回診療件数は約9,500件、手術500件超、のべ約1万件の治療につながりました(最終集計後の確定数値は2026年9月発表予定)。
大地震直後の混乱からはじまり、年末の総選挙による情勢不安が加速した2025年度は、特に患者の医療アクセス面が大きな壁となりましたが、前年度と同等規模の治療件数を維持しています。
 
一方で、その背景には、災害支援としての巡回診療で多くの患者を診たことが影響しており、発災前よりも、「ジャパンハートの病院に行きたいけど治安が悪くて行けない」との理由で来院を断念するケースが激増しています。ジャパンハートのミャンマー事業では今後、医療拠点の分散化などを進め、このような情勢下でも無償の医療を届け続けるための体制を強化していきます。
 
【河野朋子(現地駐在20年、ミャンマー医療事業統括・看護師)コメント】
国全体が不安定ななかで、まず現場の医師・看護師などのスタッフの安全を確保したうえで、彼らとどうすれば医療にアクセスできない人に医療を届けられるかを考え続け、工夫を重ねています。医療を一度でも止めてしまうと、その後は患者さんは来なくなってしまう可能性が高いため、医療を止めるわけにはいきません。状況を慎重に見ながら、これからも「活動の継続」こそが重要と考えます。
ミャンマーの方々は、日本に対して非常に強い信頼と安心感を寄せてくれている一方で、日本側ではミャンマーへの関心はあまり高くないかもしれません。日本の皆さんからミャンマーの現状に目を向け、関心を寄せてくださること自体が、現地の方々にとって大きな励みとなっています。より多くの方にミャンマーの現状を知っていただければ幸いです。

医療を一度でも止めてしまうと、その後は患者さんは来なくなってしまう可能性が高いため、医療を止めるわけにはいきません。