トラック22%削減、積載率24%向上、SKUあたり労働生産性10%改善
株式会社シノプス(本社:大阪府豊中市、代表取締役社長:岡本 数彦、以下「シノプス」)、伊藤忠商事株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長COO:石井 敬太、以下「伊藤忠商事」)、および株式会社ハローズ(本社:広島県福山市、代表取締役社長:佐藤 利行、以下「ハローズ」)は、経済産業省の「持続可能な物流を支える物流効率化実証事業」において実証実験を実施しました。
本実証では、シノプスと伊藤忠商事が提供する食品バリューチェーン最適化プラットフォーム「DeCM-PF(ディーシーエムプラットフォーム)」を活用し、ハローズ店舗の需要予測を基にしたメーカーへの発注を行いました。小売業の欠品率に悪影響を及ぼさない範囲で「物流効率」を優先した発注コントロールを行い、メーカー物流におけるトラック積載率の向上(24%向上)や配送台数の削減(22%削減)を実現しました。そのほか、対象商品におけるセンター在庫日数の低減などの成果が得られました。
【ハローズ 早島物流センター】
実証実験の背景
現在、食品分野における物流の現場は様々な問題を抱えています。産業全体で深刻化している人口減少に伴う労働力不足、特にトラックドライバーの不足はきわめて深刻です。EC市場の成長と消費者ニーズの多様化による需要急増も重なり、物流現場は厳しい状況にあります。さらに、2024年4月から施行された働き方改革関連法による労働時間制限、いわゆる「2024年問題」を経て、2026年4月には「改正物流効率化法」により荷物の発送量の適正化や混雑時間をさけた配送日時の指定など、運送会社だけでなく荷主にも対応が求められる「2026年問題」が目前に迫っています。
中四国・近畿の7県に店舗を構えるハローズでは、2015年より需要予測型自動発注サービス「sinops-R(シノプスアール)」を採用し、現在ではグロサリ、日配、パン、生鮮など取扱い総アイテム数の約85%で同システムを活用しています。ハローズでは、物流2024年問題による”モノが届かない時代”に突入する中で、長期ビジョン「西日本5000億円構想」*¹ に向けて継続成長を支える安定調達を維持するために、バリューチェーン全体の効率化が必須とし、2023年から「DeCM-PF」による物流改善に着手しています。「sinops-R」で定番商品、特売リードタイム*² 長期化サービス「DeCM-DM(ディーシーエムディーエム)」で特売商品の需要予測・発注勧告値の提供を行ったうえで、従来では特売開始の1週間前に行っていた発注確定を14日前に早めるとともに、追加発注の抑制に取り組んでいます。本実証実験では、卸のメーカー向けの発注を、需要予測を基に算出した数量・タイミングで行うことで、店舗運営に影響を与えない範囲で、物流側が最も効率的に動ける発注量を逆算・コントロールする持続可能なモデルの構築を目指しました 。
 
*¹ 西日本5000億円構想:ハローズが掲げる長期ビジョン。瀬戸内沿岸部の主要都市(兵庫県以西)に250店舗規模で店舗展開を行い、営業収益5000億円を目指す成長戦略。
*² リードタイム:発注から納品までにかかる日数。
 
実証実験について
【取り組みイメージ】
実施期間
2025年11月14日~11月30日
参画企業
ハローズ(小売業)、伊藤忠商事(幹事)、シノプス(システム提供)、株式会社外林(卸売業/本社:広島県福山市、代表取締役社長:外林 大忠、以下「外林」)、大手菓子メーカー
【ハローズ物流センターの様子】
主な取り組み内容
1. 店舗需要予測・在庫情報に基づく発注勧告の採用(DeCM-W)
  ハローズ店舗の需要予測、特売計画、センター在庫を加味し、卸からメーカーへの物流効率の最適な発注量を算出。
2. 納品体制の最適化
  納品曜日を削減し、配送車両を集約。
実証実験の成果
1. 配送効率の向上
  1)トラック台数の削減:27台から21台へ削減(22%削減)
   納品曜日の集約と積載率向上により、2週間あたりの納品トラックを削減。
  2)積載率の向上:55%から79%へと大幅に改善(24%向上)
   適切な発注コントロールにより、平均積載率が向上。
  3)総荷待ち・荷役時間の短縮:19%削減
   納品回数の削減により、2週間あたりの総時間を削減。
2. 物流施設における労働生産性の改善
  1)SKU*³あたり人時の削減:約10%削減(0.08→0.07)
   納品曜日が削減されたことでセンターの労働時間削減。
3. 小売店舗・在庫の最適化
  1)店舗欠品率の改善:約41%改善(0.74%→0.44%改善)
  2)センター在庫日数の削減:約0.17日削減(6.39日→6.22日)
  3)自動発注の活用:店舗採用率 19%向上
   物流効率化と販売機会損失の防止を両立。
 
*³ SKU:在庫・受発注管理における「最小管理単位」。
 
参画企業からのコメント
小売業:ハローズ 上席執行役員 業務システム部長 橋元 克浩 様
「今回の実証実験は、sinops-Rが店舗の定番売場だけでなく催事売場も含めて需要予測をした上で自動発注を行い、この情報をもとにDeCM-Wが卸様に物流センターに向けた補充量を勧告するというもので、需要を起点として流通や販売等の全体プロセスを改善するチャレンジになりました。実験結果は良好で、店頭欠品率は抑えられ、物流センター在庫は適正、メーカー様がセンターに納品するトラックの積載率は改善しました。実験では一部の卸様、メーカー様に限定しましたが、今後は多くの卸様、メーカー様にこの取組みを波及させ、製配販の効率改善に寄与したいと考えております。」
卸売業:外林 ご担当者 様
「卸売業の立場では、在庫管理における需給調整は基本的に過去の出荷実績を基に行いますが、今回の取り組みでは小売店舗側の需要予測に基づいた発注勧告を受け取れるため、非常に有用と感じています。結果として、メーカー物流効率を考慮しつつもセンター欠品を最小限に抑えた安定的な運用が実現出来ると感じております。」
 
今後の展望
卸へのメーカー向け発注勧告提供の対象を拡大し、在庫・欠品リスクを抑えつつ物流効率を最大化する本モデルの他小売業への展開を目指します。また、需要予測に基づいたセンターの人員割当・納品予約の最適化等についても検討を行い、社会課題の解決に寄与してまいります。
 
株式会社シノプスについて
株式会社シノプスは、「世界中の無駄を10%削減する」をビジョンに掲げ、需要予測型自動発注サービス「sinops」(シノプス)を開発・販売しているソフトウェアメーカーです。日配食品や惣菜といった賞味期限が短く需要予測がむずかしいとされるカテゴリーのシステム化に成功。多くの食品小売企業に採用いただいております。在庫に関わる人、もの、金、時間、情報を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源を有効活用することで、広く社会に貢献していきます。東証グロース上場(証券コード:4428)。
食品バリューチェーン最適化サービス「DeCM-PF」について
DeCM-PFは、小売業・卸売業・製造業をつなぐことで、食品バリューチェーン全体を最適化するプラットフォームです。現在、製造業や卸売業では、小売業や消費者が欲しい商品数を正確に把握することがむずかしく、見込みで生産・在庫計画をたてた結果、余分な在庫が発生したり、効率の悪い物流が生じています。DeCM-PFは、小売業の実績や計画に基づいてAIが算出した高精度な需要予測データを、卸売業や製造業に連携することで食品流通の課題を解決し、バリューチェーンの最適化を推進します。
自動発注サービス「sinops」について
日配品・パン・惣菜にも対応した需要予測型自動発注サービスです。幅広いカテゴリの発注を自動化することで小売業の生産性を向上させながら、値引・廃棄ロスの削減、利益率の改善などに貢献します。自動発注のほか、棚割修正をタブレット端末で行える「sinops-Pad」や売り場やバックヤードの在庫の賞味期限チェックが簡単に行える「sinops-Dcont」など幅広いサービスをラインナップしています。
「sinops-CLOUD」製品サイト
 
参考
シノプスと伊藤忠商事、小売業を起点とした発注コントロールにより特売リードタイムを長期化 参画企業100社突破
シノプスと伊藤忠商事、食品バリューチェーン最適化サービス「DeCM-PF」を提供開始