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知識表現AIを用い、会話・文章情報から組織課題を可視化するコグニティ株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役:河野理愛、以下「コグニティ」)は、Appleの開発者会議 WWDC(Worldwide Developers Conference)のKeynote(キーノート)を対象に、WWDCの中でも「特異点」として語られることが多い1997年の分析を行いました。 |
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WWDC1997をWWDC2010・2020・2025と同一指標で比較したところ、1997年は2010年・2020年とは異なり、2025年と同じく主線を強く保って前進する「直線展開」側に位置することが分かりました。 |
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一方で、1997年と2025年は同じスタイルではありません。フィラー・指示語で見ると、1997年はライブ感が強く、2025年は編集度が高い(作り込まれた提示)という差が明確です。本稿ではこの差を、「編集度 × 語りの起点」の2軸で整理し、直線展開という共通点だけでは説明できない“提示の質感”と“語り始める地点”の違いを示します。 |
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■ 調査の背景 |
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近年、企業トップによるスピーチ/キーノートは「伝える情報量」が増え続け、話量やス |
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ピードを上げても聞く側の理解が追いつかないという課題が生じています。コグニティ |
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はこれまで、高成長企業のCESキーノートやAppleのWWDCキーノート、SoftBank Worldのキーノートの分析を通じて、大量情報時代における“伝え方設計”の差が、理解や受け止め方に影響し得ることを示してきました。 |
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今回は、WWDCの中でも「特異点」として語られることが多いWWDC1997を、直近のWWDC2025の分析と同一指標で再評価し、WWDC2010・2020の分析およびSoftBank Worldの分析における手法を導入することで、WWDCに繰り返し現れる“基本モード”を整理することを目的としています。 |
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*既報 |
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・【調査報告】WWDC2025 Keynote分析で見えた「直線設計」: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000012053.html
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・【調査報告】SoftBank World年代比較分析で見えた「届け方」に加わる「語りの起点」という第2の軸: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000067.000012053.html
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・【調査報告】Apple WWDC2020 × CES高成長企業キーノートで「届け方の2系統」が判 |
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明: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000051.000012053.html
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・【調査報告】CES Keynote 予測分析で分かった“高成長企業の分岐点”: |
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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000012053.html |
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■ 分析方法 |
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コグニティ独自の特許技術CogStructureを用い、Keynoteの発話・構造を同一指標で比較しました。主に、以下の観点から差分を抽出しています。 |
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ストーリー展開(直線/枝分かれ/複数オプション)、指示語(1000文字あたり)、フィラー(1000文字あたり)、話すスピード(1分あたり文字量)、話題構成、主要話題(上位話題)等。 |
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■ 主な結果1.:WWDC1997と2025は「直線展開」―ストーリー展開の分析 |
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既報のWWDC2025分析では、2010年・2020年と比べて、2025年が主線を強く保ちながら前に進む「直線展開」の回であることを示しました。今回、同じストーリー展開指標でWWDC1997を分析したところ、1997年もまた、枝分かれ展開1.0に対して直線的展開が8.0と非常に多く、ストーリーを横に広げるより主線に沿って前進する直線展開側に位置づくことが分かりました。 |
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したがって、特異点として語られがちなWWDC1997は、単独で切り出すよりも、WWDCの中で繰り返し現れる直線展開モードの一例として捉え直すことができます。以下では、WWDC1997の分析をWWDC内の文脈に戻し、いくつかの分析指標で比較を行います。 |
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図1:ストーリー展開の違い(1997/2010/2020/2025) |
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【図の見方】ストーリー展開を「直線的展開/枝分かれ展開/複数オプション提示」の3指標で比較しています。 |
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【読み取れること】WWDC1997は直線的に前進する傾向が強く、WWDC2010・2020よりもWWDC2025の分布に近い位置にあります。 |
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【示唆】WWDC1997は単独の“外れ値”ではなく、WWDCの中で繰り返し現れる「直線展開」モードの一例として捉え直せます。 |
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■ 主な結果2.:WWDC1997は「高いライブ感」―編集度(フィラー除去)の分析 |
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過去のCES/WWDC分析では、大量情報時代の届け方には「ライブの即興」と「収録のコンテンツ化」という2系統があることを示しました。そこで、聞き手が受け取る“提示の質感”に影響するフィラー、1000文字あたりで正規化した指示語の数、話すスピード(1分あたりの文字量)を以下の図2~4により比較しました。 |
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その結果、WWDC1997はフィラー・指示語が多く、会場の緊張感を残したライブ感の強い提示として受け取られやすい一方、WWDC2025はフィラーがほぼ検出されず、WWDC1997と同程度の話速でも整理されたライブ感の弱い提示として成立しています。つまり両者の差は“速い/遅い”ではなく、ライブ感の残し方の違いとして整理できるので、同じ直線展開でも聞き手が受け取る印象は「ライブ感の残し方(編集度)」で分岐します。 |
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図2:フィラーの比較(1997/2010/2020/2025) |
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図3:指示語の比較(1997/2010/2020/2025) |
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図4:話すスピードの比較(1997/2010/2020/2025) |
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【図の見方】フィラーは総検出数、指示語は「1000文字あたり」で正規化し、話すスピードは「1分あたりの文字量」で比較しています。 |
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【読み取れること】WWDC1997は指示語・フィラーが多く、会場との緊張感を残した“ライブ感の強い提示”になっています。一方でWWDC2025はフィラーがほぼ検出されず、WWDC1997と同程度の話速でも“整理された提示”として成立しています。 |
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【示唆】直線展開は同じでも、聞き手が受け取る印象は「速度」ではなく「編集度(ライブ感の残し方)」によって大きく変わり得ます。 |
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■ 主な結果3.:WWDC1997は世界観寄り ―主要話題(語りの起点)比較分析 |
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既報のSoftBank Worldの分析では、ライブ感を表す編集度(1000文字あたりのフィラー数)に加え、話の起点をどこに置くのか(世界観か機能か)がキーノートを特徴づける第2の軸になることが判明しました。そこで、WWDC1997とWWDC2025について編集度と話の起点を比較しました。 |
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その結果、編集度の代理指標であるフィラー頻度は、WWDC1997で0.87、WWDC2025では0となりました。また、図5から読み取れる話の起点は、WWDC1997では世界観寄り、WWDC2025では機能中心となりました。 |
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これらを、「編集度 × 語りの起点」の2軸で表される分布図上にプロットすると(図6)、WWDC1997と2025は明らかに異なる位置に分布しており、WWDC1997は“世界観側から入り、ライブ感が強い回”、WWDC2025は“機能側から入り、編集度が高い回”として整理可能になります。 |
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図5:主要話題(上位話題)の比較(1997/2010/2020/2025) |
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図6:Keynoteの型の分布(編集度×語りの起点) |
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【図の見方】図5では、各年の主要話題(上位話題)の内容を一覧化しています。上位3つのうち、世界観の話題を赤枠で示してあります(その他は機能の話題)。図6では、横軸はフィラー頻度(1000文字あたり、対数軸)を「編集度」の代理指標として扱い、縦軸は図5で読み取った「世界観」判定の件数(0/3~3/3)により、世界観中心/世界観寄り/機能寄り/機能中心の4段階で「語りの起点」を表現しています。 |
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*図6の横軸は対数表示のため、フィラー0(検出なし)は表示上の最小値に置換して扱います。 |
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【読み取れること】WWDC1997では、上位3つのうち2つが世界観の話題であるので、世界観寄りから語り始めてライブ感の強い位置に置かれます。一方、WWDC2010・2020・2025では、上位3つはいずれも機能の話題でした。このうちWWDC2025はフィラーがほぼ検出されないため、編集度が高く、機能中心から語り始める位置に置かれます。 |
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【示唆】「直線展開」という共通点だけでは説明できなかったWWDCの差が、編集度(提示の質感)と語りの起点(世界観/機能)の2軸で整理可能になります。 |
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■ 主な結果4.:WWDC1997と2025は話題集中 ―話題構成の分析 |
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各回のWWDCにおける話題構成を見ると、WWDC1997・2025では話題数が少ないうえに掘り下げのない話題がとても少なく、話題を集中させて丁寧に説明している展開が見えてきます。一方で、WWDC2010・2020では話題数が多いうえに掘り下げられていない話題が複数出てきており、発散的に話題を広げて話している展開が見えてきます。 |
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ここで、図5に示した各年のWWDCの主要話題からそこで何を語っているのかを見ていくと、WWDC1997は顧客体験・市場・開発者との再接続を軸に、Appleの立て直し(前提の置き直し)を語る回と表現できます。一方でWWDC2010・2020は、既存の製品・サービス・機能を積み上げて、Appleが今何をやろうとしているのかを語る回と表現できます。そして、WWDC2025はApple Intelligenceを核に、iPhone、Apple Watch、Apple Vision Pro、Mac、iPadを横断する構想を示し、Appleの次世代への移行を語る回と表現できます。 |
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つまり、WWDC1997・2025はAppleの前提や新たな方向性を丁寧に語っており、WWDC2010・2020は既存製品の拡張的進化について発散的に語っている、と受け取ることができます。このことから、WWDCには、少なくとも2つの基本モードが見えてきます。ひとつは前提や進む方向を置き直す『基軸再設定』(1997/2025)、もうひとつは既存領域を広く積み上げて前進させる『定常拡張』(2010/2020)です。 |
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図7:話題構成の違い(1997/2010/2020/2025) |
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【図の見方】検出された主要話題を、話題提示後に根拠・理由・具体化が付与されているか |
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で分類しています。 |
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【読み取れること】WWDC1997とWWDC2025では、話題数が絞られて掘り下げもほぼすべての話題に対して行われているのに対し、WWDC201・ 2020では、話題数も掘り下げのない話題も多く出ています。 |
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【示唆】WWDC1997・2025では、少ない話題提示から丁寧に説明回収を行うことで、どのような変化を起こそうとしているのかを正しく伝える構成を取っているのに対し、WWDC2010・2020では、より多くの話題を時に掘り下げずに提供することで、聞く側に補完や連想を促しやすい構成になっていると考えられる。 |
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■ コグニティの示唆 |
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<直線/枝分かれだけでは足りない--WWDCは“モード”ごとに、異なる設計変数の組み合わせを取っている可能性がある> |
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本分析から、WWDCは少なくとも「基軸再設定(1997/2025)」と「定常拡張(2010/2020)」という2つの基本モードを持ち、伝えるべき内容に応じて使い分けられている可能性が見えてきました。 |
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また、同じ直線展開であっても、聞き手の受け取り方は一様ではなく、編集度(ライブ感の残し方)と語りの起点(世界観/機能)、さらに展開構造(話題回収のされ方)の組み合わせで分岐します。 |
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つまり大量情報時代の発信は、「ライブか収録か」だけで決まるのではなく、提示の質感、語りの起点、そして展開のされ方を組み合わせて設計されている可能性があります。今後は、こうした差を生む設計要素を「伝達設計」として整理し、提示の質感・語りの起点・展開構造の観点から、各社キーノートの比較分析を進めてまいります。コグニティは今後も、発話・文章の構造分析を通じて、企業の発信を「改善に使える指標」と「行動に落ちる示唆」に変換し、目的に応じた“伝達設計”の設計支援に資する分析を提供してまいります。 |
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■ 分析レポートについて(限定公開) |
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本分析の詳細版(構造図、比較観点の定義、抽出ルール、参考図表を含む)は限定公開です。技術プレゼンに関係する皆様には、高成長企業の事例から得られる「伝える技術」に関する情報を共有します。取材・内容確認・レポート閲覧をご希望の方は、下記お問い合わせ先までご連絡ください。 |
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*お問い合わせ先:https://cognitee.com/contact
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*本リリース中で言及している会社名・製品名は、各社の商標または登録商標です。 |
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*本分析は発信構造の比較であり、特定の企業・人物の優劣を断定するものではありませ |
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ん。 |
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■ トライアルのご案内:Baseline Review機能 |
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コグニティは、会話・文章などの定性データを、独自の構造化技術により「改善に使える指標」と「行動に落ちる示唆」に変換する分析サービスを提供しています。商談・会議・社内共有・研修・顧客対応・IRなど、目的に応じてコミュニケーションの“伝わり方”と“成果につながる要因”を可視化し、改善の優先順位と打ち手を提示します。 |
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その入口として、短期間で現状の課題と改善の方向性を把握できる「Baseline Review(お試し)」を5万円(税別)で2026年1月27日にリリースいたしました。個人・組織の力量を確かめるため、パフォーマンスが良いトーク/悪いトークの違い(構成・論点の置き方・説得の流れ等)や最終版の再レビュー(Before/After比較)として、録画・音声・書類等を2本ご提出いただくことで、分析結果とブリーフィング1時間でフィードバックします。(個人利用の場合は、ブリーフィングに代わりメールもしくはオンラインセミナーにて実施) |
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申込ページ:https://cognitee.com/baseline-review-cog-evidence
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【コグニティ株式会社 会社概要】 |
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◯ 社 名:コグニティ株式会社 |
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◯ パーパス :技術の力で、思考バイアスなき社会を。 |
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◯ 事業内容 :定性情報の定量化技術を使った組織分析サービス |
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◯ 本 社:〒140-0015 東京都品川区西大井一丁目1番2-208号 |
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◯ 設 立:2013年3月28日 |
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◯ Web:https://cognitee.com/
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◯ 資本金:6億円(準備金含む) |
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◯ 従業員:71名(リモートワーカー含む) |
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◯ 代表者:代表取締役 河野 理愛 |
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◯ 受賞歴他 : |
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■EY Innovative Startup エンタープライズ部門受賞(2019) |
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■第11回 HRアワード 人材開発・育成部門 最優秀賞(2022) |
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■第22回 一般社団法人日本テレワーク協会 テレワーク推進賞 優秀賞受賞(2022) |
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■第3回TOKYOテレワークアワード 推進賞(2023) |
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■一般社団法人生成AI活用普及協会協議員(2023~) |
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