不確実な時代を切り拓く「思考と行動の型」が、越境学習によって強化されることをパス解析で解明
大企業人材がベンチャー企業等で一定期間働く越境プログラム「レンタル移籍**」を提供する株式会社ローンディール(本社:東京都港区、代表取締役:後藤幸起・大川陽介)は、株式会社VITAL DESIGN(本社:東京都港区、代表:渡邉貴志)の協力のもと、レンタル移籍者260名を対象に、株式会社インディージャパン(本社:東京都中央区、代表:津嶋辰郎・津田真吾)が提供する「イノベーターDNA診断」を用いた前後比較の効果検証調査を実施いたしました。
本調査の結果、イノベーターに必要な主要な全7つのスキルにおいて、統計的に極めて有意な向上(p < .001)が認められました。これにより、レンタル移籍が「イノベーターとしての資質」を構築する非常に有効な手段であることが確認されました。


*国内初・大規模調査:イノベーターDNAの前後比較による効果検証(株式会社インディージャパン調べ)
**レンタル移籍とは?
大企業の人材を半年~1年間ベンチャー企業の事業に参画させ育成する、次世代リーダー育成プログラムです。
今回の調査でわかったこと:
1️⃣レンタル移籍の前後で、イノベーターの資質を現す全7項目全てのスコアが向上
2️⃣7項目全てにおいて極めて高い統計的有意差でスコアが向上(p < .001)
3️⃣レンタル移籍者の診断結果はクリステンセン教授が提唱したイノベーター資質の発現モデルに合致
イノベーターDNA診断とは:
本調査で使用した「イノベーターDNA診断」は、クレイトン・クリステンセン教授らが提唱したモデルに基づき、個人の資質・イノベータータイプを「発見力」「実行力」「勇気」の3つの観点で評価するものです。
クリステンセン教授は、イノベーションのカギは天性の才能ではなく、課題を発見する「発見力(行動特性)」にあるとし、これらは後天的に開発可能であると結論づけています。

特に重要となるのが、以下の5つの行動スキルです。
1.
質問力 (Questioning): 既存の枠組みを疑い、本質を問う力
2.
観察力 (Observing): 顧客や現場の細かな変化からヒントを得る力
3.
ネットワーク力 (Networking): 異なる背景を持つ人々と繋がり、知見を広げる力
4.
実験力 (Experimenting): 素早く試し、失敗から学びを得る力
5.
関連づける力 (Associating): 一見無関係な問いや問題、アイデアを結びつける力
(図1)『イノベーターDNA』モデル(提供:インディージャパン)
ローンディールでは、環境の異なるベンチャー企業への「越境」が、この行動特性にどのような影響を与えるかを可視化するため、260名のデータを分析いたしました。
調査結果1️⃣~2️⃣:全項目でスコアが向上
5つの行動スキルに「現状に異を唱える」「リスクを取る」の2つを加えた7項目において、レンタル移籍開始前後の比較において、全ての評価項目で統計的に有意な向上が確認されました。特に、ネットワーク力が顕著に向上していました。
 
【主要項目の平均ポイント変化(差分)】
 ★ 最大向上項目  
評価項目 越境前平均 越境後平均 差分(向上幅) p値
A. 現状に異を唱える 5.095 5.418 +0.323 < .001
B. リスクを取る 4.103 4.613 +0.511 < .001
C. 質問力 4.795 4.988 +0.193 = .001
D. 観察力 4.542 5.198 +0.656 < .001
E. ネットワーク力 4.420 5.307 +0.887 ★ < .001
F. 実験力 4.892 5.349 +0.458 < .001
G. 関連づける力 4.641 5.320 +0.679 < .001
なお、A~Gの全項目において、有意差が p ≦ .001という結果になりました。これは、偶然この差が発生する確率が0.1%以下であることを示す、極めて高い統計的精度であり、レンタル移籍を経験することによって上記の変化が起きることを示しています。
 
調査結果3️⃣:レンタル移籍が「イノベーターの土台」を創る
また、今回のパス解析(因果構造の分析)により、レンタル移籍が以下のプロセスで人材を変容させていることが確認できました。
1.
「イノベーションに取り組む勇気」の醸成: アウェイな環境下で、未知の課題に立ち向かう姿勢が生まれる。
2.
「行動的スキル」の実行: 質問・観察・実験といった具体的な行動が増加する。
3.
「関連づける力」の強化: 行動から得た知見が結びつき、革新的なビジネスアイデアを生む思考へ直結する。
 
このモデルはイノベーターDNAモデルと統計的に非常に高い適合度(CFI=0.9988など)を示しており、レンタル移籍という経験が、単なるスキルの習得に留まらず、イノベーターとしての思考・行動様式そのものを再構築していることを示唆しています。
各社代表のコメント
株式会社VITAL DESIGN 代表 渡邉貴志
「今回の分析で最も印象的だったのは、越境前後で『行動特性→関連づける力』というイノベーターDNAモデルの構造が統計的に成立していたことです。また、越境後に各スコアが有意に向上したことで、レンタル移籍がイノベーター資質の『強化』に機能することを示すことができました。人事施策の効果検証は定性的な声に頼りがちですが、260名の前後データとパス解析を組み合わせることで、施策の効果構造まで可視化できることを示せた点に意義があります。」
 
株式会社インディージャパン 代表取締役 津田真吾
「行動力そのものがイノベーション力である、と数々の企業やビジネスパーソンを支援してきた経験からも感じております。しかも、この「行動力は環境がつくる」ということを再確認できたのは私どもも大変嬉しく思います。益々多くの企業や個人がレンタル移籍、新規事業、起業といったイノベーション活動に関わっていくことを願っています。
 
株式会社ローンディール 代表取締役 後藤幸起
「現代の経営環境において、リーダーの役割は『既存事業の効率的な管理』から『未知の課題の発見と変革』へと移行しています。今回の調査で証明された資質は、『両利きの経営』の体現や、課題『解決』型から課題『設定』型への転換に不可欠なものです。AIが正解を出す時代だからこそ、ローンディールは『不確実な時代を切り拓く意志ある人材』の育成に、より一層貢献してまいります。」
 
 
調査概要
対象者: 2017年4月1日~2025年3月31日
    「レンタル移籍」を開始・終了した260名
調査・集計方法:イノベーターDNA診断をオンラインにて受講
分析期間:2025年9月30日~2025年12月14日
有効回答数:260名※レンタル移籍の前後でイノベーターDNA診断を回答
診断ツール: 株式会社インディージャパン「イノベーターDNA診断」
分析手法: 対応ありt検定、パス解析
調査協力: 株式会社VITAL DESIGN